旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[奥州道中]17・・・芦野宿

奥の細道 越堀(こえぼり)の宿場町辺りから街道を西にそれ、高久へと足を向けた芭蕉と曾良は、那須温泉を訪れて、温泉神社に参詣します。そして、神社近くにある、殺生石(せっしょうせき、謡曲の舞台にもなっています)を訪ねることになるのです。*1 湯を…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]16・・・芦野宿へ

芦野温泉の宿 下野(しもつけ)の国の大田原と、陸奥(みちのく)の白河との、ほぼ中間にあたるところが芦野宿。そして、この宿場町の直前に、この日の宿となる、芦野温泉ホテルが位置しています。 このホテルがある場所は、街道沿いではないものの、それほ…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]15・・・越堀宿から芦野宿へ

芦野温泉 大田原から先の街道は、那須に広がる丘陵地帯を進みます。そのために、人家もまばらで、公共の交通機関もありません。宿泊施設も限られていて、この先は、芦野の宿場近くにある、芦野温泉で宿をとるのが最適の方法です。 今どきの歩き旅の難点は、…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]14・・・鍋掛宿と越堀宿

2つの宿場 大田原の次の宿場は、那須に広がる丘陵地を進んだ先の鍋掛宿(なべかけじゅく)。そして、そのすぐ隣には、越堀宿(こえぼりじゅく)が控えています。鍋掛宿と越堀宿。この2つの宿場町は、那珂川の流れを挟んで向かい合わせに並んでいます。 お…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]13・・・鍋掛宿へ

那須の道 大田原を後にした街道は、下野の北の地域を進みます。この辺り、那須という名で有名な土地ですが、私たちには未知の場所。新鮮な気分を感じて台地の道を歩きます。 この那須の地は、鉄道や高速道路が通っている西側が、特に、よく知られた地域です…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]12・・・大田原宿と黒羽

芭蕉と黒羽(くろばね) 奥の細道の旅を続ける芭蕉と曾良は、日光から東に向かい、最短距離*1で黒羽を目指します。この、黒羽というところ、奥州道中沿線の大田原の宿場から、およそ10キロ東に位置し、那珂川の流れを見下ろす場所に、城下町を築いています…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]11・・・佐久山宿から大田原宿へ

大田原 街道は、大田原市の佐久山から、市街地へと向かいます。この都市は、栃木県の北部に位置し、その北は、那須町と那須塩原市に接しています。市の中心部には鉄道の駅は無く*1、最寄りの駅は、隣接する、那須塩原市の西那須野駅になるようです。 鉄道か…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]10・・・佐久山宿へ

佐久山と矢板 下野(しもつけ、栃木県)の北部地域は、丘陵が広がる中に、幾つもの小さな盆地が点在します。奥州に向かう街道は、それらの盆地を繋ぎながら、ひたすら北を目指します。 一方で、今日の動脈である鉄道や、高速道路などが通っているのは、街道…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]9・・・喜連川から佐久山宿へ

丘陵地 喜連川を過ぎた街道は、関東平野の北に広がる丘陵地帯に入ります。これまでは、白坂宿の直前で緩やかな丘があった他、氏家宿と喜連川宿とを隔てている、わずかな山を越えたのみ。おおかたの道中は、平坦な道筋です。 それでも、陸奥に向かう街道は、…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]8・・・喜連川宿

喜連川(きつれがわ) さくら市は、氏家と喜連川の2つの町が合併し、新しくできた自治体です。街道は、まず、氏家の町に入って、その先で、もう一つの町である喜連川へと向かいます。 さくら市の北部に位置する喜連川。この町は、独立した盆地状の地形のと…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]7・・・喜連川宿へ

古道 氏家(うじいえ)から喜連川(きつれがわ)に向かう街道は、町の境で、ひとつの丘を跨ぎます。この丘は、さくら市の早乙女と言うところ。古くは、宇都宮の軍勢と那須氏傘下の喜連川の軍勢が戦を交えたところです。これから向かう喜連川の宿場町は、丘を…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]6・・・氏家宿と氏家の町

氏家 宇都宮の追分で、日光道中から分岐して奥州へと向かう街道は、白沢の宿場を過ぎた後、鬼怒川の渡しを越えて、氏家に入ります。今は、さくら市となった氏家は、かつて、坂東の有力な武将が治めていたところです。江戸期には、奥州道中の宿場町が設けられ…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]5・・・氏家宿へ

さくら市 鬼怒川を越えた街道は、さくら市に入ります。これまで、知ることがなかったこの都市は、平成の合併で誕生した、新しい自治体です。元々は、奥州道中の宿場町として名を馳せた、氏家(うじいえ)と喜連川(きつれがわ)の2つの町が、独自に町政を敷…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]4・・・白沢宿と鬼怒川

鬼怒川 奥日光に端を発する鬼怒川は、渓谷を流れ下って、関東平野の北部地域に注ぎます。その先は、下野(しもつけ)から常陸の国へ。そして、利根川の流れと合流し、犬吠埼の先端で、太平洋に入ります。 鬼怒川温泉でよく知られるこの川は、名前からも、鬼…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]3・・・白沢宿へ

白沢街道 県道125号線は、別名、白沢街道と呼ばれています。宇都宮の次の宿場の白沢へと向かう道。奥州道中と呼ぶよりも、地元の人にしてみれば、この方が親しみやすいのかも知れません。 白沢宿を通り過ぎると、その先は、この地方の大河川、鬼怒川(き…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]2・・・駅前から白沢宿へ

多様な顔の街 栃木県の県庁所在地である宇都宮。市街地の中心は、駅前の辺りまで続きます。日光道中との分岐点である追分から、駅近くまで、宿場町、城下町、門前町の顔を持ちながら、この都市は発展してきたのです。そしてその先は、或いは、物流が盛んな商…

歩き旅のスケッチ[奥州道中]1・・・宇都宮追分から

奥州へ 今回から、「歩き旅のスケッチ」は、奥州に向かう街道を描きます。江戸時代に整備された五街道。これまでに、中山道、東海道、甲州道中、日光道中の順番に、4つの街道を歩きつないで、その道筋を描いてきたところです。 残すところは、奥州道中ただ…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]20・・・六角堂頂法寺

親鸞聖人 西国三十三所の次の札所は、六角堂頂法寺。これまでの、京都東山の札所を終えて、市街地の中心部に入ります。位置的には、烏丸三条にほど近い三条通りの一筋南、六角通りに境内は佇みます。大通りに面してはいませんが、周囲にはビルが建ち並び、今…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]19・・・六波羅蜜寺

六波羅 "六波羅(ろくはら)"という言葉を聞くと、まず頭に浮かぶのが、歴史で習った”六波羅探題(ろくはらたんだい)”と呼ばれる組織です。鎌倉時代の重要な役所だったと思うのですが、学んだのは遥か昔こと。恥ずかしながら、言葉だけしか頭に残っていない…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]18・・・清水寺

東山 京の都は、京都盆地を埋めるように広がります。この都の西側を流れ下る、桂川。そして、反対の東の境に立ちはだかるのが、東山三十六峰と呼ばれる山並みです。 東山三十六峰。実際に幾つの峰が存在するのか、はっきりとは分かりません。それでも、調べ…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]17・・・今熊野観音寺

再び京都へ 近江の国の3か寺を終え、再び京都に入ります。次の札所は、第15番、今熊野観音寺。京都市の東に連なる峰々の南に位置し、有名な東福寺のすぐ傍に、境内は佇みます。 東山と呼ばれるこの区域、幾多の寺院が密集し、特に、多くの観光客が訪れま…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]16・・・三井寺

大津京 滋賀県の県庁所在地である大津市には、かつて都がありました。平安京より1世紀以上も前のこと、大化の改新で権力を強大にした天智天皇が、この地に政治の中枢を置くことにしたのです。時あたかも、大陸と朝鮮半島が不穏になった時代です。大和の国を…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]15・・・石山寺

瀬田川 瀬田川は、琵琶湖から流れ出る、唯一の河川です。古くから、歴史の舞台として、或いはまた、水都を代表する景勝地のひとつとして、よく知られた川でした。 この川は、近江と宇治とを隔てている深い山の谷間を削り、京都盆地の南へと下ります。その先…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]14・・・岩間寺

近江へ 京都伏見を後にして、西国三十三所巡りは、近江の国に入ります。近江には、都合6か所の霊場がありますが、前半は、湖南地域の3か所です。 京の都に隣接し、東西を結ぶ主要な街道が通過する近江の国は、古くから、戦略上の要として、数々の歴史の舞…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]13・・・醍醐寺

伏見と山科 宇治に続く霊場は、京都伏見の醍醐寺です。伏見と言えば、伏見稲荷や伏見桃山城があるところ。ところが、醍醐寺は、そこからは、少し離れた場所にあるのです。 宇治市の最北端の六地蔵。そこから平地は、V字状に2方向に分かれます。左に向かうと…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]12・・・三室戸寺

宇治 西国三十三所の霊場は、奈良の都を後にして、京都盆地の南方の、宇治の地へと向かいます。宇治と言えば、平等院鳳凰堂を連想される方も多いでしょう。十円玉に刻まれた優雅なお堂は、この国を代表する、貴重な文化遺産です。 宇治はまた、宇治川の流れ…

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]11・・・興福寺南円堂

西国三十三所(第二章) 今回から、10回のシリーズで、再び「巡り旅のスケッチ」を綴ります。紀州熊野の青岸渡寺から始まった、西国観音霊場を巡る旅。紀伊半島の西側を、紀ノ川から泉州へ、そして、河内、飛鳥と辿った後に、三輪山の奥に姿を隠す長谷寺へ…

歩き旅のスケッチ[日光道中]39・・・最終回(二荒山と芭蕉)

最終回 「歩き旅のスケッチ[日光道中]」のシリーズは、今回が最終回。既に、本来の街道歩きは、前回で終点の日光神橋(しんきょう)に到着し、その目的を終えたのですが、今回は、エピローグとして、もう少しだけ日光を巡ります。 最終回にあたっては、奥の…

歩き旅のスケッチ[日光道中]38・・・終着点

東照宮 かつて、しばらくの間、静岡市に住まいしていた私にとって、東照宮という名を聞くと、どうしても、久能山東照宮(くのうざん・とうしょうぐう)が先ず頭に浮かびます。駿府の地で生涯を終えた家康を祀る場所。駿河の国が一望できて、富士山が間近にそ…

歩き旅のスケッチ[日光道中]37・・・鉢石宿

2つの日光駅 日光東照宮の交通機関の玄関口は、JRと東武線の日光駅。この2つの終着駅は、隣り合わせに並んでいます。 JRの日光線は、宇都宮からやや南側に回り込み、鹿沼を経て、日光西街道の道筋を辿りながら日光へ。一方の東部日光線は、茨城の古河…