旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

2021-01-01から1年間の記事一覧

歩き旅のスケッチ[東海道]75・・・富士川から富士の街へ

富士市 富士市は、なかなか、特徴ある街だと思います。新幹線や高速道路を利用して、街の様子を眺めていても、製紙工場の煙突と、そこから吐き出す白い蒸気に目が止まり、街の様子を窺い知ることはできません。一方では、富士山の秀麗な姿が圧倒的で、その裾…

歩き旅のスケッチ[東海道]74・・・富士川へ

富士川越え 富士川は、その流域の広さから、水は川幅一面に、とうとうと流れます。この川を越えるには、川越人足の技では敵いません。舟の利用が不可欠で、古くから、発達していた水運を利用して、対岸に向かったということです。 今は、県道に架かる富士川…

歩き旅のスケッチ[東海道]73・・・蒲原宿から富士川の町へ

富士川の町 街道は、この先で、駿河湾に流れ注ぐ富士川を、どこかの場所で渡らなければなりません。富士川は、その延長は、大井川より短いものの、流域は、大井川の3倍です。甲斐の国から水を集めて、富士の裾野に達する川は、日本でも有数の河川です。 街…

歩き旅のスケッチ[東海道]72・・・蒲原宿へ

静岡市の最後の宿場 街道は、次の宿場の蒲原宿(かんばらじゅく)に向かいます。直前の由比の町と、この次の蒲原は、かつては、それぞれが単独の自治体でした。それでも、遂には合併の波が押し寄せて、静岡市の一部になったのです。 合併により市域を広げた…

歩き旅のスケッチ[東海道]71・・・由比宿から蒲原宿へ

由比と蒲原 もう、半世紀近く前のこと。私がお世話になっていた、静岡の方に勧められ、由比(ゆい)と蒲原(かんばら)を訪れたことを覚えています。古くからの家並が、良く残っているということで、旅情をかき立てられるようにして、由比の駅に降り立ちまし…

歩き旅のスケッチ[東海道]70・・・由比宿へ

街道の風景 薩埵峠を下った先は、かつての街道の面影がよく残る道筋が続きます。崖地の下の僅かな隙間に、街道と家並が、細長く伸びて行き、16番由比の宿場へとつながります。 駿河の国の街道は、その多くは、市街地の中ですが、ここから先、富士川までの…

歩き旅のスケッチ[東海道]69・・・薩埵峠と富士の絶景

富士の絶景 東海道53次の浮世絵で、風光明媚な景観が描かれた、代表作とも言えるのが、薩埵峠(さったとうげ)から富士山を望んだ一枚です。 左には、急峻な崖がそそり立ち、その中腹の、僅かな隙間に張り付くような街道を、数人の旅人が往き交います。右…

歩き旅のスケッチ[東海道]68・・・興津宿から薩埵峠へ

交通の要衝 興津宿は、それほど大きな宿場ではありません。それでも、この先に薩埵峠(さったとうげ)が控えているため、旅装を整える場所などとして、賑わっていた様子です。 興津は、また、甲斐の国の山中にある、日蓮宗の総本山、身延山久遠寺(みのぶさ…

歩き旅のスケッチ[東海道]67・・・興津宿と清見寺

歴史が残る町 次の宿場は、17番目の興津宿(おきつじゅく)。この先の、興津・由比(ゆい)・蒲原(かんばら)は、それぞれが、特色ある歴史を残しながら、宿場町の淡い香りを放っています。 3か所の宿場をつなぐ街道は、左には山が迫り、右側は駿河湾の…

歩き旅のスケッチ[東海道]66・・・江尻宿から興津宿へ

駿河湾 清水から、沼津市の伊豆半島のつけ根までは、弓なりに湾曲した海岸線が続きます。この辺りは、駿河湾が奥に食い込み、海面が、陸地の懐に抱き込まれたような地形です。湾内は、深い水深が特徴で、深海魚など、珍しい魚介類も数多く見られます。 街道…

歩き旅のスケッチ[東海道]65・・・江尻宿へ

清水 平成の合併で静岡市になるまでは、清水の街は、清水市として、そこそこの規模を誇る都市でした。 歴史ある清水港(湊)や、羽衣の伝説と富士山を望む絶景地として有名な、三保の松原などがあり、多くの人が訪れるところです。 近年では、ちびまる子ちゃ…

歩き旅のスケッチ[東海道]64・・・府中宿と静岡市

静岡の街 静岡平野を、埋め尽くすように広がる静岡市。元は、日本平の南西に位置する静岡市と、北東側の清水市は、別々の街でした。両市は、平成の大合併で統合し、今では、政令指定都市のひとつとして、都市形成が進んでいます。 街道は、元の静岡市にある…

歩き旅のスケッチ[東海道]63・・・府中宿と駿府の城下

駿府城と府中の宿場 街道は、安倍川を渡った先で、府中の宿場に入ります。安倍川寄りの宿場には、川越しに関係した町並みが続いたはずで、その後次第に、城下町の色合いが深まっていったのだと思います。 城下の近くを、街道が通るところは数多くありますが…

歩き旅のスケッチ[東海道]62・・・府中宿へ

安倍川越え 丸子宿から府中宿に向かうには、途中で安倍川の川越しが待ち受けます。安倍川は、天竜川や大井川と比べると、その規模は、僅かに劣りはするものの、日本では有数の大河川のひとつです。 街道が通る辺りの河川敷には、小石の河原が広がりますが、…

歩き旅のスケッチ[東海道]61・・・丸子宿から駿府の城下へ

峠と川の狭間 丸子(まりこ)の宿場は、都に向かう場合には、峠を控える宿場町。一方で、江戸を目指す人にとっては、峠越えの苦労の後で、ようやく辿り着けた宿場です。 ここからは、あと少しで駿府の城下。府中の宿場は、もう目と鼻の先のところです。丸子…

歩き旅のスケッチ[東海道]60・・・宇津ノ谷峠

府中へ 駿河湾に面した焼津市と、少し山手の藤枝市。両市から、東隣の静岡市に向かうには、間を隔てる山並みを、通り抜けなければなりません。 海岸沿いは、大崩(おおくずれ)と称されて、崖地の端が海まで達し、厳しい地形を作ります。ひと山奥へと向かっ…

歩き旅のスケッチ[東海道]59・・・岡部宿と峠道

峠越え 岡部の宿場を後にして、静岡市を目指す街道は、宇津ノ谷(うつのや)の峠へと向かいます。 この辺りを通過する、東名高速道路などの幹線は、日本坂トンネルを通り抜け、難なくこの区間を過ぎることができますが、歩き旅では、そう簡単にはいきません…

歩き旅のスケッチ[東海道]58・・・岡部宿へ

近づく山々 駿河の国の中心は、今の静岡市、かつての駿府(すんぷ)の城下です。この城下町の真っ只中に、府中の宿場が設けられ、町人と旅人たちが入り混じる、賑わいの町ができました。 街道は、府中の宿場を目指しつつ、一路東に向かいます。 ただ、この先…

歩き旅のスケッチ[東海道]57・・・藤枝宿から岡部宿へ

藤枝 藤枝は、JR藤枝駅周辺と、瀬戸川を越えた先の、北東地域が市街地の中心です。宿場町は、後者の方。川を越え、かつての藤枝の中心地、田中城の近くを通る道沿いです。 歴史的には、駿府城の守りの要。徳川の世にあって、重要な地勢上の役割りがあったと…

歩き旅のスケッチ[東海道]56・・・島田宿から藤枝へ

駿河の街道 駿河の国の街道を、島田宿、藤枝宿へと向かいます。これらの都市は、静岡県の地方都市。焼津市の北にある、岡部宿の辺りまで、比較的新しい街の景色がつながります。 駿河の国の中心地、駿府の城下は、岡部宿の先にある、宇津ノ谷峠(うつのやと…

歩き旅のスケッチ[東海道]55・・・川越遺跡

川越遺跡 大井川の川越しは、”越すに越されぬ大井川”と言われるように、大変厳しいものでした。東海道の道中にある、幾つかの厳しい峠の道は、体力さえ保てれば、何とか凌ぐことが可能です。仮に、自力で越えられない場合でも、馬や駕籠が先の宿場に導いても…

歩き旅のスケッチ[東海道]54・・・金谷宿と大井川

大井川の拠点 静岡県の金谷と言えば、大井川鉄道の拠点の町として有名です。元は、町政が敷かれていましたが、大井川を挟んだ対岸の島田市と合併し、今は島田市に属します。 大井川鉄道は、金谷駅と大井川上流の千頭駅(せんずえき)とをつないでいる、大変…

歩き旅のスケッチ[東海道]53・・・菊川から金谷宿へ

石畳の峠越え 菊川の集落から、24番金谷宿(かなやじゅく)に向かう街道は、再び、厳しい峠道。この山道は、石畳が敷き詰められて、往時の様子が偲ばれる道筋です。 先の宿場の日坂宿と、金谷宿の間の距離は、僅か6.5Kmほどの道のりですが、2つの峠を…

歩き旅のスケッチ[東海道]52・・・小夜の中山峠と菊川

広がる茶畑 延々と続く坂道は、やがて、茶畑が際限なく見渡せる、牧之原の台地に入ります。お茶の葉は、畝状に美しく刈り取られ、緑の波がどこまでも広がります。これほどの見事な茶畑の景観は、これまで、目にしたことはありません。 緑の垣根に囲まれなが…

歩き旅のスケッチ[東海道]51・・・日坂宿と峠への道

日坂宿と二の曲り 東海道53次の宿場町、25番の日坂宿(にっさかじゅく)は、広大な牧之原台地の西にあり、台地を挟んだ東の位置に、次の宿場の金谷宿(かなやじゅく)が控えます。 台地を挟んだ東西の宿場の間は、7Kmほどの距離ですが、厳しい坂道が続…

歩き旅のスケッチ[東海道]50・・・掛川宿から日坂宿へ

牧之原へ 掛川の次の宿場は、25番日坂宿(にっさかじゅく)。掛川市にある2つ目の宿場です。掛川の駅の辺りで手に入れた資料によると、日坂宿は、宿場町の状態がそこそこ保存されているということです。どのような町なのか、期待に胸が膨らみます。 ただ…

歩き旅のスケッチ[東海道]49・・・掛川宿と掛川城

掛川市 袋井の次の宿場は、26番掛川宿。掛川には、東海道新幹線の駅もあり、遠州東部の中心です。 掛川は、また、城下町としても有名で、街の中には雅な姿の天守閣がそびえます。東海道は、城下の中を東西に横断し、東に向かうと、次第に牧之原台地が近づ…

歩き旅のスケッチ[東海道]48・・・掛川宿へ

歴史道 袋井の次の宿場は、26番掛川宿。袋井宿を出てからは、しばらくは市街地の道ですが、その後、掛川までの道筋は、歴史の香りが漂います。 松の並木がところどころに見受けられ、街道は、緩やかな曲線を保ちます。落ち着いた空気が漂う沿道は、歴史の…

歩き旅のスケッチ[東海道]47・・・袋井宿から掛川へ

遠州の道 浜名湖を過ぎた後、東海道は次第に太平洋から遠ざかり、なだらかな台地状の平地の中を一路東へと向かいます。その先は、次第に丘陵地が近づいて、視界は遠方の木々の緑を捉えます。 前面に立ちはだかるのは、遠江の東に広がる、牧之原台地と呼ばれ…

歩き旅のスケッチ[東海道]46・・・見付宿から袋井宿へ

東海道の真ん中へ 江戸日本橋と京都三条大橋を結ぶ東海道。この街道の中間地点は、天竜川の右岸にある、浜松の中野町だと言われています。*1実際に、中野町に掲げられた案内には、東海道中膝栗毛の記載を受けて、「江戸へも60里、京へも60里」のところと…