旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

2021-01-01から1年間の記事一覧

歩き旅のスケッチ[東海道]45・・・見付宿へ

磐田の街と見付宿 磐田市は、元々国府が置かれ、遠江の国の中心地だったところです。今も、府八幡宮が街道沿いに姿を留め、遠江国分寺跡や数々の史跡が残ります。この磐田市にある見付の宿場は、古くから、東西をつなぐ街道の要衝地。江戸期には、東海道が公…

歩き旅のスケッチ[東海道]44・・・天竜川から磐田市へ

磐田の街 浜松市の東隣は、天竜川の東に位置する磐田市(いわたし)です。それほど有名な街ではないものの、サッカーのジュビロ磐田の本拠地として、知る人ぞ知る、サッカーの街でもあるのです。 この磐田市は、その昔、国分寺が置かれていて、遠江の国の中…

歩き旅のスケッチ[東海道]43・・・天竜川へ

川越えの街道 浜松の宿場から先の街道は、幾つもの河川を越えて、箱根の峠を目指します。この先の川越しで、最初の難関とされていたのが、天竜川。浜松市と磐田市の間を流れ、遠州の平野を二分する河川です。 天竜川は、信州の諏訪湖をその源流として、伊那…

歩き旅のスケッチ[東海道]42・・・浜松宿

遠州の府 浜松市は、静岡市と並ぶ静岡県の大都市です。県庁は静岡市にありますが、人口では浜松市が勝ります。この人口順序は、昔から同じような状況で、浜松市の優位は変わりません。 遠州灘を前にして中田島の砂丘が広がる浜松は、徳川家康と武田信玄の戦…

歩き旅のスケッチ[東海道]41・・・舞坂宿から浜松宿へ

舞阪 舞阪は、今は浜松市に属します。平成の大合併で、近隣の自治体と共に、浜松市の一部となりました。 前回の記事でも触れたように、地名や駅の名前は「舞阪」で、宿場の名前は「舞坂」です。どうして、「坂」の字が異なっているのか、その理由は分かりま…

歩き旅のスケッチ[東海道]40・・・浜名湖から舞坂宿へ

浜名湖と東海道 浜名湖は、東海道を代表する景勝地の一つです。下流域では、太平洋とつながっていて、海水と淡水が入り混じる汽水湖です。上流部では、地形が入り組み、その景色は一様ではありません。 この、変化に富んだ自然のかたちは、一方では、豊かな…

歩き旅のスケッチ[東海道]39・・・新居宿と新居の関所

関所の町へ 浜名湖の西岸に位置する新居の宿場は、関所の町としても有名です。東海道の沿線で、どれほどの関所があったのか、調べたことはないのですが、新居の関所と箱根の関所は、余りにも有名です。 東海道を往き来するとき、浜名湖の辺りは必ず通らなけ…

歩き旅のスケッチ[東海道]38・・・東海道の第2章、遠州白須賀宿

遠州路から駿河路へ 今回から、「歩き旅のスケッチ[東海道]」に戻ります。先に紹介した第1部では、中山道と分岐する、草津宿の追分から始まって、三河の国のはずれまでを紹介してきたところです。 続く第2部のシリーズは、遠州路と駿河路です。今の静岡…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)最終回・・・京の2寺(乙訓寺)

混乱の中で 空海がまだ若い頃、世の中は大きく動きます。空海が10歳の時、都は平城京から長岡京へと遷都して、わずかその10年後には、平安京へと移るのです。この頃、長岡京の造営を巡る混乱や、桓武天皇の後を継いだ平城天皇を巡る動きは、混沌とした情…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)52・・・京の2寺(神護寺)

空海を追って 空海は、774年に、讃岐の国(今の香川県)善通寺で生まれます。その後、若くして奈良に赴き、大学に入るのですが、早々に大学を辞し、修行の道に進みます。 紀伊の辺りの山中や、阿波の国の舎心嶽(しゃしんがだけ)で修行を積んで、いよい…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)51・・・阿波路(1番札所、霊山寺)

四国巡礼の起点 四国八十八か所霊場の、1番札所は、鳴門市にある霊山寺(りょうぜんじ)。関西からは、淡路島を縦断し、渦潮を見下ろしながら、大鳴門橋を通って鳴門市に入ります。その後、県道12号線を10分ほど西に進むと、霊山寺に到着です。 1番札…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)50・・・阿波路(3番→2番)

発心の道場 阿波の国の巡礼は、「発心の道場」と呼ばれます。四国八十八か所の霊場巡りを始めるところは、一般的には阿波の国。1番札所の霊山寺を皮切りに、阿波にある23か寺を巡るのが、まず最初の目標です。 巡礼を心に発し、1番札所の霊山寺を訪れた…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)49・・・阿波路(6番→4番)

板野の3か寺 徳島県板野郡の2つの町(上板町と板野町)には、4か所の霊場が並びます。いずれの札所も県道12号線の傍にあり、バスを利用して巡ることも可能です。 十楽寺の参拝を終えた後、再び農地が広がる平地に向かい、その後は、もう一度讃岐山地の…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)48・・・阿波路(9番→7番)

吉野川左岸の巡拝 9番札所の法輪寺から、最終の霊山寺までの10か寺は、吉野川の左岸に広がる徳島平野の霊場です。それぞれの霊場は、程よい間隔でつながっていて、車で一気に巡ります。 数年前、この区間だけ、歩き遍路で訪れましたが、地域に暮らす人た…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)47・・・阿波路(11番→10番)

吉野川 四国八十八か所の巡拝も、いよいよ佳境を迎えます。11番目の札所である藤井寺を終えた後は、四国の大河、吉野川を北へと渡り、阿波の国の北辺に連なる霊場へ。最後の10か寺が甍を並べる、四国巡礼発心の地の巡拝です。 吉野川は、讃岐山地と四国…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)46・・・阿波路(12番焼山寺)

遍路ころがし 四国遍路の巡礼では、幾つかの独特の言葉が使われます。例えば、今回の私たちがしているように、八十八か所の霊場を逆回りで巡る巡礼は、「逆打ち」と呼ばれます。また、四国4県の、ひとつの県だけ巡る場合は、「一国参り」と言うそうです。 …

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)45・・・阿波路(15番→13番)

徳島市の3か寺 徳島市の霊場は、残すところ3か寺です。四国三郎(しこくさぶろう)の異名を持つ、吉野川の南の地域を、南西の方角へと向かいます。 吉野川を挟んだ霊場は、この先、11番目の札所までは、概ね東から西へと進み、川の流れに逆らうように、…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)44・・・阿波路(18番→16番)

小松島から徳島へ 奥深い四国山地の霊場を一旦離れて、しばらくは、市街地近くを巡ります。小松島市のもう1か所の霊場は、18番恩山寺。そして、その後、徳島市へと向かいます。 徳島市には、17番井戸寺から13番大日寺まで、5か所の霊場がありますが…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)43・・・阿波路(20番→19番)

山から里へ 阿波の国の霊場巡りは、海から山へ、山から里へと、変化に富んだ巡礼です。歩いて辿る遍路では、一つひとつ、深い峰を克服しなければなりません。その道中は、車で巡る私たちには、想像もつかない過酷さだと思います。 空海の修行の地にほど近い…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)42・・・阿波路(21番太龍寺)

空海と太龍寺 後に弘法大師と崇められ、多くの人々の信仰を集めることになる空海は、若い頃、奈良の都で学問を修めるも、途中で大学を退いて、修業の道を歩みます。 当初は、奈良の山々などで修業に励まれたようですが、やがて紀州に渡り、そして、阿波の国…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)41・・・阿波路(22番→21番)

空海の修行の地へ 阿波の国は、吉野川を境にして、南北に深い山地が広がります。北は讃岐につながる山々で、南は、阿波一帯から、土佐にまで続きます。 空海が、都での勉学を辞した後、修行の地と定めたところが、阿波に広がる山地です。標高こそ、それほど…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)40・・・阿波路(鯖大師と23番薬王寺)

阿波の国へ 室戸岬を出た後は、一気に阿波の国を目指します。阿波の国の最初の札所は、ウミガメで有名な日和佐(ひわさ)にある23番薬王寺。室戸から、80Kmの距離があり、歩いてつなぐと、途方もない長さです。 かつて空海は、阿波山中での修行を終えて…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)39・・・土佐路(24番と室戸岬)

室戸岬 室戸岬は、空海にとって、極めて重要な場所でした。まだ19歳という若々しい空海が、阿波の山中で修業を重ね、さらに、室戸の地へと向かうのです。室戸岬は、最御崎(ほつみさき)とも呼ばれるように、最果ての岬です。8世紀の時代には、人が歩く道…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)38・・・土佐路(25番→24番)

室戸岬へ 室戸岬は、弘法大師信仰の重要な聖地とも言える場所。空海の足跡は、伝記などにも書かれていますが、室戸の地での修行については、間違いのない事実だったと思います。 今でこそ、道がつながり、人が往き交う場所ですが、8世紀の時代には、人里か…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)37・・・土佐路(26番金剛頂寺)

真言密教 神峯寺(こうのみねじ)に続く3か寺は、室戸にある霊場です。空海は、讃岐に生まれ、都に出た後、若くして阿波の国の山中で、厳しい修行を行います。 四国山地の東部を覆う峰々の様子を見れば、どれほどの難行か、想像に難くはありません。それで…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)36・・・土佐路(27番神峯寺)

安芸へ 逆回りに進む四国八十八か所の巡拝は、高知県の安芸市を経て、さらに東へと向かいます。土佐の平野は次第に狭まり、太平洋と険しい山がその距離を縮めます。 27番神峯寺(こうのみねじ)は、土佐湾に挑むようにそそり立つ、険しい山の中にある古刹…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)35・・・土佐路(30番→28番)

高知市の東部へ 五台山の竹林寺に続く3か所の霊場は、高知市の東に位置します。それぞれが、車で20分ほどの位置にあり、高知市から、南国市、香南市(こうなんし)へと進みます。 土佐の国は、太平洋を抱き込むように、東西に翼を伸ばす姿です。その東の…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)34・・・土佐路(31番竹林寺)

五台山と竹林寺 高知市の南東に位置する五台山。高知市を代表する観光地のひとつです。五台山は、市街地にほど近く、市民の憩いの場所でもあるようです。季節によっては、多くの人で賑わいます。 次の札所の31番竹林寺(ちくりんじ)は、この五台山の中に…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)33・・・土佐路(桂浜と32番禅師峰寺)

土佐湾と桂浜 次に向かう霊場は、32番禅師峰寺(ぜんじぶじ)。その前の札所である雪蹊寺から向かう時、途中には、有名な桂浜の海岸近くを通ります。 禅師峰寺は、高知市の市街地の南東部に位置していて、所在地は南国市。太平洋に向かって広がる土佐湾が…

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)32・・・土佐路(35番→33番)

高知市近郊の霊場 高知市の西側の近郊には、3か所の霊場が、程よい間隔で並びます。この辺りは、太平洋の近くであっても、小高い山が海岸付近に横たわり、海の香りを感じることはありません。清流の仁淀川を挟んで広がる平野は、盆地のような地形です。 そ…