旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)32・・・土佐路(35番→33番)

 高知市近郊の霊場

 

  高知市の西側の近郊には、3か所の霊場が、程よい間隔で並びます。この辺りは、太平洋の近くであっても、小高い山が海岸付近に横たわり、海の香りを感じることはありません。清流の仁淀川を挟んで広がる平野は、盆地のような地形です。

 それでも、太陽の光は容赦なく降り注ぎ、南国の雰囲気が覆います。

 土佐の国の霊場は、これまでは、札所間の間隔が開き、長距離のドライブでしたが、この地域は、効率よく巡ることが可能です。

 

 

 清滝寺

 青龍寺から次の札所の清滝寺(きよたきじ)へは、もう一度、宇佐大橋を渡ります。青龍寺がある半島と、土佐の陸地を往き来するには、この橋を利用するしかありません。便利というより、今では唯一の交通路。その重要性は、計り知れません。

 半島から対岸に渡って、一気に山の中をすり抜けます。その先は、土佐の平地が、仁淀川を挟むように広がります。

 35番清滝寺は、土佐市の市街地の北に広がる山の中。国道56号を西進した後、北に向かって、高知自動車道路の高架下を通り抜け、山道へと入ります。

 

 途中の道は、とても車の対向ができないような狭さです。対向車が来ないようにと祈りながら、つづら折れの細い道を一気に上り進みます。

 

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清滝寺の境内。左が大師堂、薬師如来像の奥が本堂。

 

 清滝寺

 坂道を上った先を右に折れると、すぐに砂利が敷かれた境内に入ります。車は、境内の一角に停めさせていただいて、清滝寺(きよたきじ)の参拝です。

 この寺院の特徴は、何と言っても、大きな薬師如来像。銅色に覆われながら、そびえるようにそそり立つその像は、見事という他ありません。優しく、参拝者を見守っていただいているようにも感じます。

 

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※本堂。

 石段を一段上った先に、本堂と大師堂が並びます。これらのお堂の裏手には、山の斜面が迫っていて、狭隘な敷地です。本堂の右奥には、小さな滝が斜面を流れ、その水を取り込むように、地蔵尊などが祀られている一角がありました。

 

 土佐の平野

 参拝を終え、納経を済ませた後で、少し開けた境内の隅に足を運ぶと、眼下には、土佐の平野が一望に見渡せる場所がありました。

 平地の向うが太平洋に面する山並みで、左から中央に連なるグリーンベルトは、おそらく、仁淀川の川筋です。自然豊かな土佐の平野を目におさめ、次の札所へと向かいます。

 清滝寺の次の札所は、仁淀川の向うにある、34番種間寺(たねまじ)です。再び、対向が困難な細い坂道を急いで下り、高知市の春野の町へと向かいます。

 

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清滝寺の境内から土佐市を望みます。左奥が高知の春野です。

 

 種間寺

 土佐市から仁淀川を越えると、高知市に入ります。農地が広がり、集落が点在する、のどかな景色を味わいながらのドライブです。

 種間寺は、土佐の平野の南東の端。高知市の春野という町に位置します。霊場は、低い山を背にして広がる集落の中。おおらかな、農地に延びる道を進むと、道路脇がすぐ種間寺の敷地です。道路から右手にある、石造りの門を通ると、右奥に駐車場。境内は、駐車場から少し戻って、幅の狭い門を入ったその先です。

 整然とした参道の、右手に並ぶ建物前をすり抜けて、奥の方へと進みます。

 

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※左、境内への入口。右、参道に連なる幾つかの建物。

 

 種間寺

 種間寺の境内は、明るく、開けた感じのところです。境内の正面奥には、コンクリート造りのような、本堂がありました。本堂前の正面には、金剛杖を模した柱が立てられ、弘法大師への信仰の深さを感じます。

 大師堂は、本堂に向かって右手前。この辺り、幾つもの石像が並びます。

 

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※左、本堂。右、大師堂。

 

 雪蹊寺

 種間寺に続く札所は、33番雪蹊寺(せっけいじ)。高知市の浦戸湾に流れを注ぐ、運河のような川の近くに境内を構えます。

 雪蹊寺から、少し南に進むと、広大な太平洋が広がります。海岸線に沿った道は、桂浜花街道。時期によっては、水平線と花々に挟まれた、見事な景色の中のドライブが楽しめます。

 32番札所から、順序通り巡拝するとき、この花街道を通って雪蹊寺に向かいます。今回は、陸側からのアクセスです。低い山をすり抜けて、運河と山に挟まれた、33番目の札所に到着です。

 

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雪蹊寺の境内。正面左が本堂で右手前が大師堂。

 

 雪蹊寺

 雪蹊寺の門前に車を停めると、すぐ傍が境内です。数段の石段を上ったところの石の門を通り抜けると、正面に境内が広がります。

 境内の正面奥には、見事な建物の本堂がありました。大師堂は、右側の少し小さなお堂です。

 高知という、温暖な地にある寺院の名前が雪蹊寺。どうも、気候からは想像できない名称です。四国霊場の解説によると、雪蹊とは、戦国時代に、土佐の地を一時期治めていた、長宗我部元親の戒名ということです。

 それ以前は、この寺院の名前は、別の名が付けられていたようですが、長宗我部氏の信仰が厚く、この名に変えられたというのです。

 

 桂浜から禅師峰寺

 雪蹊寺を後にして、次は、高知市の南を回り込み、32番禅師峰寺へと向かいます。途中には、坂本竜馬の像がある桂浜や、浦戸湾を豪快に越える浦戸大橋など、高知の魅力が満載の地域を通ります。