旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)49・・・阿波路(6番→4番)

 板野の3か寺

 

 徳島県板野郡の2つの町(上板町と板野町)には、4か所の霊場が並びます。いずれの札所も県道12号線の傍にあり、バスを利用して巡ることも可能です。

 十楽寺の参拝を終えた後、再び農地が広がる平地に向かい、その後は、もう一度讃岐山地の麓へと戻ります。ジグザグに、平地と山里の訪問を繰り返し、少しずつ東へと進みます。

 

 

 安楽寺

 十楽寺から安楽寺(あんらくじ)へは、僅か数分ほどで到着します。農地が広がる県道を東に進むと、道沿いに、安楽寺の駐車場がありました。砂利敷きの駐車場に車を停めて、南方向の、集落につながる道を歩きます。

 集落の中に入ると、間もなく右手方向に、色鮮やかな仁王門が現れます。この仁王門、先の十楽寺と同様に、竜宮造りのような建物です。ただ、少し様子が違うのは、門の左右に、金剛力士の像が入る建物が、張り付いているのです。

 

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※仁王門。

 

 安楽寺

 一風変わった仁王門をくぐり抜けると、その前に、広々とした境内が現れます。境内の右側には、本坊などの建物が連なって、正面奥に、幾つかのお堂が並びます。境内の左側は、立派な池や庭園のスペースです。そこには色鮮やかな多宝塔が、控えめな姿で佇みます。

 

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安楽寺の境内。正面奥が本堂。

 

 安楽寺の本堂は、珍しく、正面に拝殿の屋根が設けられ、本堂の姿を遮るような格好です。私たちは本堂の参拝を終えた後、本堂の右奥へと回り込むような格好で、右隅にある大師堂へと向かいます。

 

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※左、茅葺と瓦屋根のお堂。右、大師堂。

 大師堂から境内へ戻ったところには、少し変わった、茅葺屋根の建物がありました。この建物は、方丈(ほうじょう)と呼ばれていて、格式高い雰囲気を放ちます。

 

 温泉山

 安楽寺山号は、温泉山と言うようです。昔から、この辺りは温泉が湧く土地で、多くの方が訪れたということです。

 今も、この温泉は健在で、寺院の宿坊にも利用されている様子です。

 

 地蔵寺

 安楽寺から先の札所は、県道12号線に沿って進みます。

 農地が広がり、集落が点在する県道を東に向かうと、羅漢という町に至ります。広い道路の交差点を左に入り、緩やかな坂を上ったところが5番札所の地蔵寺(じぞうじ)です。

 

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※仁王門。

 地蔵寺

 地蔵寺(じぞうじ)は、白壁が境内をとり囲むように、寺院の敷地を守っています。その南側の中央付近に、仁王門が配されて、参拝者を迎えます。

 仁王門をくぐり抜け、境内に踏み入ったところの右前には、立派な大銀杏の木がありました。銀杏の大木の向うには、大師堂も望めます。

 境内を見回すと、それほど多くの木々は無く、広々とした印象です。本堂は、境内の左奥。その隣には、美しい八角堂が寄り添います。

 

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※左、仁王門をくぐったところの左奥の様子。本堂と八角堂が見えます。右、右前の大銀杏とその奥が大師堂。

 地蔵寺には、境内の左手奥に、五百羅漢をお祀りしたお堂があるということです。この五百羅漢は、結構、名が通ったものであるらしく、地蔵寺は、”羅漢さん”との別名も。この辺りの地名が”羅漢”なのも、ここに由来しているのだと思います。

 私たちは残念ながら、今回は羅漢堂へは向かわずに、次の札所を目指します。次回には、必ず訪れたいと思います。

 帰り際、仁王門のすぐ傍の、立派な弘法大師像に手を合わせ、次の札所の大日寺へと向かいます。

 

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弘法大師像。

 

 大日寺

 地蔵寺を出て、さらに山際の道へと向かいます。徳島自動車道路の高架下を潜り抜け、直進すると、僅かに数分ほどの運転で、大日寺に到着です。

 大日寺の境内へは、広々とした駐車場から、さらに奥へと進みます。立派な自然石の門標を越え、朱塗りの山門を通り過ぎて、細長い境内に入ります。

 

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※山門。

 大日寺

 大日寺は、三方を山に囲まれたところにあって、境内は、その谷間のような空間です。敷地内は丁寧に管理され、明るささえ感じます。

 仁王門から真っすぐ進んだ正面奥、一段上がったところに見えるのが本堂です。大日如来を本尊とする本堂に参拝し、大師堂へと向かいます。

 

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大日寺の境内と本堂。

 大師堂は、本堂手前の左側、境内の中ほどの左手です。大日寺の大師堂は、本堂とそれほど規模は変わりません。

 2つのお堂の参拝を終え、仁王門近くに設けられた納経所で御朱印を頂きます。

 

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※左、本堂。右、大師堂。

 3か所の大日寺

 四国八十八か所霊場で、大日寺は3か寺です。土佐の国では28番、そして、阿波の国には、13番とこの4番が同じ名前の大日寺という具合です。

 大日寺は、大日如来を祀る寺ではありますが、「巡り旅のスケッチ(四国巡拝)45」でも触れたように、13番は例外です。それでも、13番目の霊場も、どこかで大日如来とのつながりはあるのだと思います。真言密教にとっては切り離すことができない大日如来曼荼羅の世界の原点は、深遠な世界そのものです。

 

 残る札所は、あと3か寺。続いて、3番札所の金泉寺(こんせんじ)へと向かいます。