旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]25・・・勝尾寺

 箕面

 

 大阪府最後の札所は、第23番勝尾寺かつおうじ)。箕面市の山の中に境内を構えています。

 箕面市は、市の南部地域が市街地で、北側は山林地帯が広がります。かつては、箕面と言えばニホンザルが住むところ、とのイメージも強かったようにも思うのですが、今は、大阪市などと一体化した大都会の一部です。北部に残る豊かな自然がすぐ傍にある箕面の街は、それこそ、都市の人が憧れる、住み良い街なのかも知れません。

 続く札所への道筋は、大阪の北部の街をすり抜けて、一気に箕面の山中に入ります。

 

 

 山道へ

 箕面市の市街地を通り抜け、山道に入ります。道は蛇行を繰り返し、谷に沿って上流へと向かいます。

 やがて、右方向の斜面には、寺院らしい建物が。道路沿いも整備され、左手には、舗装された自動ゲートの駐車場がありました。

 

勝尾寺の駐車場から斜面の境内を望みます。

 正面へ

 駐車場に車を停めて、勝尾寺の正面へと向かいます。事務所風の建物のすぐ左には、立派な門柱が置かれています。そこには、「応頂山 勝尾寺」。そして傍には、「西国二十三番札所」の表記と併せ、「法然上人 二十五霊場 第五番札所」と刻まれた石の碑がありました。

 西国三十三所霊場は、言うまでもなく、観音菩薩を祀った古刹。この霊場に、浄土宗の始祖である、法然上人の足跡も残されていたのです。*1

 

勝尾寺正面の石柱など。

 

 山門へ

 境内へは、石柱の右にある、事務所兼土産物の建物で拝観料を支払って、敷地の中へと進みます。拝観料は400円。すっきりとした山門前の導入路が広がります。

 山門は、がっしりとした建物で、重みを感じる楼門の造りです。背後の山は神聖で、その斜面に広がる境内に、参拝者を導きます。

 

※山門。

 

 ダルマ

 山門の直前に差し掛かったところには、御賽銭の箱があり、その上は幾つもの小さなダルマが置かれています。

 目の感じが独特の、一風変わったダルマの置物。後に分かったことですが、勝尾寺は、時の天皇の病気祈祷に由来があって、”病に勝った”、ことがその名前の起源とか。

 ダルマは、勝利の祈願につきもので、今は、”勝ち”を求める人々が、数多く訪れているということです。

 

※山門前には数多くのダルマが置かれています。

 

 境内

 私たちは、ダルマの置物に見送られ、山門を潜ります。山門の先の境内には、大きな池がありました。参道は、その池の中央付近に架けられた、歩道の橋に続いています。あまり見たことのない池の上の参道を、周囲の景観を楽しみながら進みます。

 

※山門直後に広がる池。

 

 参道

 橋を渡ると、その先は、厳粛な参道が続きます。左右には幾つもの灯籠が、参拝者を見守るように並んでいます。

 視覚だけでは伝わらないのが残念ですが、この参道を歩いていたら、どかからともなく、読経の響きが伝わってきたものでした。厳かな山懐の境内に響き渡る音韻は、静かな景観とあいまって、他では味わえない、不思議な空間を作っています。

 

※読経の響きを味わいながら参道を進みます。

 

 本堂へ

 参道を奥へ奥へと進んで行くと、その先で、今度は左手の方向へ。幾つもの案内表示がその進路を示しています。

 行く手には、まだ階段が続いています。そして、階段の右脇には、勝ちダルマの奉納棚。溢れんばかりのダルマさんが、その棚に並んでいます。

 

※勝ちダルマの奉納棚を横に見ながら階段を上ります。

 

 三宝荒神

 階段を上りきった右側が、中心となる境内です。そこには、本堂を始めとして、幾つかのお堂が並んでいます。

 まず目についたのが、三宝荒神堂。厳密には、お寺のお堂ではなく社なのかも知れません。ただ、お堂の傍の説明書を見てみると、次のように書かれています。

 

 「勝尾寺荒神様は、日本で最古の荒神さまです。千三百年前、勝尾寺の初代住職が瞑想中にこの仏を感得したのが始まりで『厄を祓う』『難を祓う』荒神さまとして、その威神力は絶大で、日本全国より参拝者の絶えない有名な荒神さまです。」

 

 「この仏」が「荒神さま」、ということは、やはり仏さまなのか。なかなか、一筋縄ではいきません。

 

 

三宝荒神堂。

 

 本堂

 境内には、ひと際目立つ、朱塗りのお堂が正面に構えています。これが勝尾寺の本堂です。ご本尊は、十一面千住観世音菩薩像。

 私たちは、本堂で参拝し、右隣りの受付で御朱印をいただきました。

 

勝尾寺本堂。右奥が受付の建物です。

 

 大師堂

 本堂での参拝後、今度は、先ほどの三宝荒神堂と本堂との間にあった、大師堂へと戻ります。そこそこ年代を重ねたようなこのお堂、周囲には、付属の建物が囲っています。

 周囲にある建物内には、四国八十八カ所の御本尊が祀られていて、足元に敷かれているのは、これらの寺院のお砂です。弘法大師をお祀りするお堂の前で参拝し帰路の途につきました。

 

※大師堂と付属の建物。

 

 帰路

 本堂のある境内から、帰路の途へと向かいます。途中には、色んなところに小さなダルマが置かれています。

 境内にある”勝ちダルマ”の授与所では、このダルマが売られています。そこで願い事を記入して、境内に置いておくのでしょう。いわば、おみくじ代わりのダルマでしょうか。勝尾寺独特の風景が、いたるところで見られます。

 

※勝ちダルマに願い事を書くようです。

 

*1:法然上人は、後鳥羽上皇により土佐の国に流罪となるのですが、土佐に向かう途中に赦免され、この勝尾寺に逗留されたということです。