旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)33・・・土佐路(桂浜と32番禅師峰寺)

 土佐湾と桂浜

 

  次に向かう霊場は、32番禅師峰寺(ぜんじぶじ)。その前の札所である雪蹊寺から向かう時、途中には、有名な桂浜の海岸近くを通ります。

 禅師峰寺は、高知市の市街地の南東部に位置していて、所在地は南国市。太平洋に向かって広がる土佐湾が見渡せる、小高い山の上に境内が佇みます。

 

 

 桂浜

 33番雪蹊寺から、少し南に向かって行くと、太平洋の潮風漂う海岸道路に出てきます。この道は、桂浜花街道と呼ばれていて、実に爽快感ある道路です。道路際に美しく咲く花々や、南国風の木々を見ながら、桂浜方面へと向かいます。

 花街道の途中のところで、少しだけ右方向の脇道にそれると、その先が桂浜。松林の小高い丘を越えたその先に、砂浜が広がります。弓なりに少し窪んだ汀線の向うには、展望台が設置され、そこからは、雄大な太平洋が望めます。

 

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※左、松の木の間から、桂浜の砂浜を見通します。右、展望台から西方向を望みます。かすかに足摺岬も確認できます。

 

 坂本龍馬の像

 桂浜を見下ろす高台は、松林に囲まれた広場のようなところです。坂本龍馬銅像は、その広場の中央部。テレビなどでよく目にすることがありますが、実物を眺めると、想像以上に大きくて、圧倒的な重厚さを感じます。

 幕末に活躍し、数多くの歴史の舞台を渡り歩いた坂本龍馬。超有名な志士を生んだ土佐の国は、まさに、海を隔てて世界とつながるようなところです。武士の世を変え、新しい国づくりを思い描いた背景には、桂浜から眺望する、雄大な大海の風景が後押ししたのかも知れません。

 

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※桂浜の坂本龍馬像。

 

 浦戸大橋

 桂浜から、再び花街道に戻ります。目指すは、32番禅師峰寺。急坂を上って進むと、その先に大きな橋が現れます。この橋は、浦戸大橋と呼ばれていて、高知市の市街地に大きく食い込む、浦戸湾の最下流に架かります。

 水面から、かなりの高さを維持して延びるこの橋は、少し恐怖感も感じます。

 

 禅師峰寺

 浦戸大橋を越えたところは、海岸伝いに公園などが整備され、交通量も頻繁です。ところが、少し進むと、次第に車の数も減少し、辺りの景色も次第に農地へと変わります。

 途中には、高知市の市街地に向かう道路があって、ほとんどの車は左折して、市街地方面に向かうのです。

 

 農地に入ってしばらくすると、やがて、十市という農村の集落に入ります。畑地と住宅が散らばった集落には、所々に、禅師峰寺の案内があるものの、極めて分かりにくい道筋です。境内の位置が山の中にあるためか、カーナビの導線は、混乱していて、使い物になりません。ここは、きっちりと、地図で確認することが重要です。

 苦労の末、何とか、山に入る入口を探し当て、そこから、細く続く山道を上ります。この山道も、対向が困難なところが幾つもあって、対向車が来ないことを祈りながらの運転です。

 

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禅師峰寺の駐車場から境内に続く階段。

 

 禅師峰寺

 山道の終点は、禅師峰寺(ぜんじぶじ)の駐車場。少し山を削ったようなスペースに、舗装された駐車場が整備され、スッキリとした印象です。

 駐車場から山に向かって右側に進むと、まだ新しい十一面観音像が厳かに佇みます。その先には、境内に向かう石段の入口です。斜面に沿って、駐車場の外周を取り巻くように湾曲しながら、細い階段が続きます。一旦、平らな場所に辿り着くと、そこには、不動明王像が待ち受ける、小さな池がありました。池の辺りは、石柱などが建ち並び、厳かな雰囲気です。不動明王の後ろには、地層があらわにむき出した、巨大な岩が壁になり、より一層、辺りの様子を厳格にしています。

 

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 ※左、不動明王像とその周辺。右、仁王門。

 

 不動明王の一角を通り過ぎると、仁王門。そして、その先は、再び石の階段です。今度は、真っ直ぐに延びる階段で、その脇には、ごつごつとした岩肌の奇石が並びます。斜面には、丁寧に手入れをされたツツジなどの低木も植えられていて、奇石とは対照的でありながら、双方が一種独特の景観を放ちます。

 石段を上り切ると、お堂が連なる境内です。右奥には本堂があり、参道の左右には、奇跡の前に、幾つもの石像が並びます。

 

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禅師峰寺の境内。正面が本堂で、その左が大師堂。

 

 大師堂は、本堂の左側。少し小じんまりとしたお堂です。禅師峰寺の境内は、小高い山の上にありますが、全体として、整然とした印象です。

 

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※大師堂。

 

 境内からの眺望

 境内には、眼下の景色を見下ろせる、絶好のスポットがありました。そこからの眺望は、絶景と言っても過言ではないほど、素晴らしい景色が広がります。

 南方に、大きく弧を描く土佐湾と、海に面して立ち並ぶ農村地域の風景は、高知のひとつの象徴です。また、南西の方角に見える桂浜、浦戸湾をまたぐように結んでいる浦戸大橋の姿も目に止まります。

 遠くには、幾層もの山並みが見え、遥か先には、足摺岬も望めます。

 禅師峰寺からの眺望は、四国巡拝の旅だからこそ味わえる、隠れた高知の名所です。

 

f:id:soranokaori:20210417155349j:plain 禅師峰寺の境内から桂浜方向を望みます。