喜連川(きつれがわ)
さくら市は、氏家と喜連川の2つの町が合併し、新しくできた自治体です。街道は、まず、氏家の町に入って、その先で、もう一つの町である喜連川へと向かいます。
さくら市の北部に位置する喜連川。この町は、独立した盆地状の地形のところに、一つの地域をつくっています。盆地には、荒川と内川の2つの川が流れ下り、豊かな自然が広がります。かつては、足利氏ゆかりの土地だったようですが、今は、温泉地として旅人の人気を博しています。
※喜連川の町中に置かれた観光案内板。
荒川へ
氏家から、丘陵地の山並みを越えた後、喜連川の地域に入ります。盆地状の平地には、農地が広がり、農家が辺りに点在します。
少し先には、緩やかな丘陵地。清々しい青空の下、心地よい風が流れる空間です。
※丘陵地の古道を下り、喜連川の地域に入った街道。
農地の中を進んで行くと、やがて、荒川の堤防に出くわします。枯れ草が美しく堤を覆う様相は、何とも言えない、穏やかさが感じられる光景です。
街道は、堤の手前を右折して、枯れ草の香りを味わいながら舗装道を下ります。
※荒川右岸を下る街道。
しばらくすると、荒川に架かる連城橋。私たちは、車道の橋の下流側に設けられた、歩道橋を利用して、この荒川を渡ります。
※荒川に架かる連城橋。すぐ下流隣には歩道橋が架かっています。
喜連川宿
荒川を渡り終えると、道は少し下り坂。川の位置は、町並みよりもやや高く、天井川の状況です。増水時には、余程の警戒が必要になるのでしょう。
堤防の坂道の向こうには、小さな町並みが続きます。おそらく、この辺りから、喜連川の宿場町。ただ、この位置から見る限り、往時の面影はありません。どこか、雑然とした町並みが目の前に広がります。
※荒川を渡った直後の町の様子。
喜連川の宿場町は、先の宿場の氏家からおよそ7.5キロのところです。この宿場には、本陣と脇本陣が各1軒、旅籠は29軒ありました。東海道や中山道の宿場町と比べると、その規模は小さいものの、奥州道中の宿場としては、平均的な大きさだったと言えるでしょう。
※喜連川宿の町並み。
喜連川温泉
町中を進んで行くと、ところどころに、「日本三大美肌の湯 喜連川温泉」と表示された、美しいバナーが見られます。
冒頭でも触れたように、ここは、温泉地でもあるのです。ただ、歴史は浅く、温泉街がある訳でもありません。何軒かの湯宿とともに、市営の温泉施設が、来訪者を迎えています。
本町
街道は、緩やかに曲線を描きながら、町の中ほど、本町の交差点に至ります。交差点の右角のところには、商店街の駐車場。そこそこ広く、その中には、路線バスの待合施設などもありました。
時刻は、丁度お昼前。私たちは、交差点の左にあった、「中華そば 竹末」の看板に魅せられて、少し早い昼食に。幾つかのグループも、駐車場に車を停めて、その「竹末」に向かっています。
※喜連川の中心地、本町の交差点。
竹末
竹末は、本当に小さな店ですが、入れ替わり立ち替わり、たくさんのお客さんが訪れます。店の中を見回すと、どうも最近、テレビの取材があったよう。なるほど、宣伝効果は抜群だ、と、感心したものでした。
この時、お店の売りは、「初代竹末食堂の焼きそば」だったように思います。それでも、私たちが求めたものは、やはり王道のラーメンです。コクのある、美味しい喜連川のラーメンを、ありがたく頂きました。
※「竹末」のお店とラーメン。
宿場の中心地へ
昼食を頂いて、もう少し先へと進みます。2日前、歩き始めたところまで*1が、この日に予定していた行程です。地図を見ると、残すところ、あと約700mほどの距離。とりあえず、そこまで行って、再び、本町の交差点に引き返します。
本町からは、バスで氏家の駅まで戻り、この日の宿泊所へと向かうのが、この日の当初の計画です。
と、いう訳で、喜連川の宿場町を、もうしばらく北へと向かいます。
※喜連川宿の様子。
しばらくすると、大正時代の雰囲気が感じられる、幾つかの建物が現れました。洋館建てや木造など、趣は異なるものの、懐かしさを感じる建物です。
喜連川は、宿場町の役割を終えた後も、老舗などが跡を継ぎ、そこそこの活況を呈していた様子です。
※大正時代の香りを感じる建物。
しばらくすると、今度は、木造の立派な建物が目立つ地域に変わります。何となく、宿場町の雰囲気が感じられる町並みです。
※宿場町の雰囲気が漂う町並み。
公共施設
街道が、大きく湾曲しているところには、「←喜連川交番」と表示された交差点。そこを左に向かった先に、図書館や市庁舎の支所などがあるようです。
また、喜連川を治めていた、武将の城跡もあるようで、住民の憩いの場、或いはまた、観光地ともなっているのでしょう。
※公共施設が固まる地域と街道をつなぐ交差点。
北へ
街道は、この先、仲町の交差点を通り過ぎ、さらに北へと向かいます。
※仲町交差点。
しばらくすると、道は緩やかな上り坂。大きな屋敷に連なる塀や、しおらしく整えられた庭木の容姿は、街道の雰囲気を盛り上げます。
※歴史あるお屋敷の塀を眺めて、さらに北へと向かいます。
大きくカーブを描いて、北に向かう街道は、やがて、昨日歩き始めた、起点の場所に行き着きます。
私たちは、そこから、先の本町交差点に引き返し、この日の行程を終了です。
※喜連川宿の北端辺りの様子。