旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[奥州道中]1・・・宇都宮追分から

 奥州へ

 

 今回から、「歩き旅のスケッチ」は、奥州に向かう街道を描きます。江戸時代に整備された五街道。これまでに、中山道東海道甲州道中、日光道中の順番に、4つの街道を歩きつないで、その道筋を描いてきたところです。

 残すところは、奥州道中ただ一つ。宇都宮の宿場途中の追分で、日光道中から分岐した街道は、下野の国を縦断し、奥州の玄関口、白河宿を目指します。

 

 

 追分

 奥州道中起点の場所は、宇都宮の宿場にある追分です。今は、宇都宮駅西口から、およそ2キロ西の位置。駅につながる大通りから、小さな路地に入るところが、その追分(分岐点)にあたります。

 宇都宮の追分は、日光道中甲州道中との分かれ道。日光道中の道筋は、小さな路地へと入り込み、北方向に進路を向けて日光を目指します。一方で、ここから始まる奥州道中の道筋は、追分を東の方向へ。駅前の大通りを、宇都宮の駅に向けて進みます。

 追分は、街道の分岐点であったと同時に、合流点でもありました。近代的な都市の中では、それほど重要には感じませんが、かつては、往来の要の場所だったのだと思います。

 

 

 追分へ

 日光道中の旅をしたのは、昨年(2022)秋のことでした。その時通った追分に、再び足を向けたのは、それから数か月後のこと。今年(2023)春3月に、再びこの追分に立ちました。

 写真にもあるように、宇都宮の追分は、ごく普通の曲がり角。ただ一つある標識だけが、歴史の名残りを伝えています。

 

※宇都宮追分。真っ直ぐの細い道が日光道中奥州道中は写真の右にある大通りです。

 

 奥州道中起点の場所を、別の角度でご覧いただければと思います。右に見える大通りこそ、かつての奥州道中です。この大通り、およそ2キロ先のところが、宇都宮駅という位置関係。街道は、しばらく駅に向けて進みながら、その先で、少し複雑なルートを辿ります。

 一方で、この角(追分)を左に折れると、日光道中の先線です。昨年秋は、ここを左折し、日光へと足を進めたことでした。

 

※宇都宮追分。

 

 大通り

 街道は、宇都宮駅前の大通りを進みます。片側3車線の広々とした幹線道路。道沿いは、事務所などの中層ビルが並んでいます。

 この先、道路標識にあるように、T字路の交差点を迎えます。この交差点のすぐ右先が、東部線の宇都宮駅という具合。この辺りから、宇都宮市の中心地に入ります。

 

※大通りを東に向かう街道。

 

 木戸跡

 私たちは、T字路の交差点で、右側の歩道に移り、大通りを左に見ながら駅方面に向かいます。

 しばらくすると、右に向かう路地の付け根に、「張番木戸跡」の標識がありました。説明書きには、「奥州街道(現大通り)から宇都宮城の大手門に向かうには、最初に通らなければならない木戸でした。」と書かれています。

 宇都宮は、宿場町でありながら、城下町でもあったのです。おそらく、この路地の奥(南)の方に、宇都宮のお城があって、城下町が形成されていたのでしょう。

 

※張番木戸跡の標識。

 

 本町

 駅前の大通りは、この先で本町交差点に入ります。ここの左、少し向こうが、栃木県庁の建物で、その一角は、官庁街の様子です。

 

※本町交差点付近。

 

 この交差点の辺りには、幾つかの飲食店を見かけます。時刻は丁度お昼時。交差点の右手にあったラーメン屋さんが目に入り、私たちは、そこで腹ごしらえをすることになりました。

 この日は、奥州道中歩き旅の初日です。追分を発ったばかりではありますが、とりあえず、空腹を満たすことを優先し、午後からの、半日の行程に臨みます。

 

宇都宮市本町交差点近くの”鶏そばHIBARI”での昼食です。鶏そばとパクチーメンマは最高でした。

 商店街へ

 街道は、本町交差点を過ぎた後、少し複雑な道を辿ります。まず、交差点の次にある、小さな路地を右折です。

 右折した先に見えるのが、商店街のアーケード。そこには、”ORION”という表示がありました。街道は、その、アーケードの商店街に向けて進みます。

 

※大通りから路地に入り、”ORION”の商店街を確認します。

 

 アーケードの中に入ると、そこから商店街が始まります。街道は、突き当りを左手の方向へ。

 

※アーケードの商店街の北側の入口。

 

 この商店街、平日の昼時で、買い物客はまばらです。それでも、感じの良いお店が並び、休日は、大勢の人が集う、賑わいの通りになるのでしょう。

 屋根は、三角に尖っていて、透明板が覆っています。明るい日差しが差し込む通路は、清々しささえ感じます。

 

※商店街を通る街道。

 二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ)

 アーケードの商店街を抜け出ると、左奥に、立派な鳥居が見えました。この鳥居、その奥の高台にある、二荒山神社の入口です。

 鳥居の前は、先に通った、駅前の大通り。宇都宮市の象徴の一つである立派な神社は、市街地の中央部に位置しています。

 

※アーケード商店街を出て左方向に二荒山神社の鳥居が見えます。

 

 二荒山神社のことについては、日光道中の記事の中で紹介させて頂きました。特に、日光の二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)との関係にも触れていますので、ご覧いただければと思います。

 とにかく、宇都宮は、宿場町、城下町、そしてなおかつ、二荒山神社門前町であるという、幾つのも顔を有しています。

 

soranokaori.hatenablog.com

 

  駅方面へ

 街道は、この先、交差点を横切って、今度は、アーケードがない商店街に入ります。細い路地道の商店街。かつて街道であった時は、どのような状況だったのか。

 町屋が並ぶというよりも、老舗や土産物のお店が並ぶ都市の様子が、どことなく、思い浮かぶような通りです。

 

※アーケードのない商店街に入ります。