旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[日光道中]28・・・宇都宮宿から並木の道へ

 丘陵地へ

 

 江戸日本橋から、概ね、北に向かった街道は、宇都宮から、やや西寄りに進路を変えて、日光を目指します。この先の道筋は、次第に丘陵地の方向へ。そして、小高い山の隙間を縫うように進みます。

 広葉樹の木々の葉は、鮮やかな色彩を放ちながらも、進むにつれて、落葉が増していく感じです。

 徐々に近づく、日光の山並みは、懐深くに旅人を誘います。

 

 

 追分

 駅前の大通りに入った街道は、すぐに、奥州道中との追分を迎えます。今残る追分は、どこにでもありそうな、大通りと路地裏の道の交差点。街道を意識しなければ、追分と気づく人は、それほど多くはないでしょう。

 道の角に、遠慮気味に置かれている標識が、唯一、この場所が追分であったことを知らせています。

 日光への街道は、この追分を左折です。一方で、追分を真っ直ぐ進む道筋が、奥州へ向かう道。この追分は、いわば、奥州道中の起点でもあるのです。

 私たちは、この角を左に入り、旧道の狭い道に進みます。

 

※かつて追分があった交差点。

 旧道

 追分を左に折れた街道は、旧道のような狭い道。それでも、便利な裏道のような状況で、多くの車が往き交います。

 

※幅の狭い旧道には、多くの車が往き交います。

 

 旧道の道筋は、時代を感じる木造の建物も見られます。ただ、ところどころで、工事が進み、そのような建物も、姿を消しつつあるようです。

 いずれはこの道も、幅の広い道路へと整備されていくのでしょう。少し、残念な気がします。

 

※工事が進む旧道沿い。

 一里塚

 工事が進む旧道を歩いていると、道端に、「日光道中宇都宮宿追分一里塚」と記された、案内板がありました。工事により、少し心もとない状況ですが、何とか、自立して、一里塚の存在を伝え残しているようです。

 ここで少し、案内板の記載の一部を紹介したいと思います。

 

 「元和五年(1619)宇都宮城第二十八代城主・本多正純公は、城下の町割りを行うとともに、五街道奥州道中日光道中を伝馬町で分岐(追分)させ、街道を整備しました。当地は日本橋から十七番目の宿場「宇都宮宿」として栄えました。」

 「・・・この二十七里は、昨年(平成25)に当委員会(小幡清住まつづくり委員会)が、絵図からその存在を明らかにしました。」

 

 この記載を読むと、この旧道辺りは、依然として、宇都宮の宿場町だったことが分かります。そして、一里塚は、27里目であり、最近、この辺りにあったことが立証された様子です。

 

※一里塚を説明する案内板。

 

 宿場の外れ

 宿場町は、どこまで続いていたのでしょう。資料を見ても良く分かりません。おそらく、今歩いている、旧道のどこかには、北側の出入り口があったのだと思います。

 街並みは、もう、宿場町の面影はどこにも見ることはできません。それでも、緩やかに弧を描く旧道の道の流れは、街道の情緒を残しています。

 

※宿場町のはずれ辺りの旧道。

 国道119号線へ

 旧道は、やがて、国道119号線と合流します。合流地点のところには、戸祭大橋歩道橋が架けられて、複雑に交差する、幾つかの道路の歩道をつないでいます。

 歩道橋の名前にもある通り、この辺りは、戸祭(とまつり)というところ。街道は、この先しばらく、戸祭の街中を通ります。

 

※国道と合流する直前の街道。前方に歩道橋が見えます。歩道橋の向こうはもう国道です。

 

 戸祭

 国道に入った街道は、中戸祭から上戸祭の街中を進みます。道は、上下各2車線の、そこそこ広い道路です。単調な、道筋をしばらくの間、ひたすら北西へと向かいます。

 途中には、福祉関係の建物や体育館など、様々な施設が配置され、多くの市民が利用されている様子です。

 

※中戸祭の街並み。左前方が県体育館。

 

 宮環上戸祭町交差点

 国道は、やがて、宇都宮環状線と呼ばれる道路を横断します。何本もの車線が通り、しかも、交差点の地下を走る道もあるようです。そのために、この、宮環上戸祭の交差点は、幅の広い交差点。

 「世界遺産 日光の社寺」と記された道路標識に導かれ、この交差点を渡ります。

 

※宮環上戸祭の交差点。

 

 日光への入口

 交差点を越えたところに、先ほどの標識です。一本道で示された国道119号の矢印と、「世界遺産 日光の社寺」の案内は、確かにここが、日光への入口であることを示しています。 

 先を見ると、並木道も始まっているようです。いよいよ、日光へとアクセスをするような、神聖な気持ちになったことを覚えています。

 

※日光への入口を感じさせる道路標示。

 

 桜並木

 しばらくすると、桜の並木道が始まります。それほど長くはないものの、古くからある並木道の様子です。

 どうして、松や杉ではなくて、桜の並木なのかは分かりませんが、街道の雰囲気を盛り上げます。

 

※桜並木が始まった街道。

 

 しばらくすると、今度は、杉のような大木も現れます。広葉の落葉樹の木々に混じって、針葉樹も植えられた、並木の歩道が続きます。

 道沿いは、次第に郊外の雰囲気に。どこか、丘陵地に向かうような道筋です。静かな住宅地へと姿を変えた道筋は、並木の変化が素晴らしく、心地よい街道歩きを楽しみます。

 

※並木の歩道を進む街道。