旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]4・・・上諏訪宿から茅野へ

 諏訪盆地

 

 街道は、上諏訪宿を過ぎた後、諏訪湖の南東側に細く広がる、諏訪盆地の東の縁を辿ります。この辺りの盆地の地形は、二等辺三角形の形をしていて、平地は、次第に先細りながら、そこそこ長く続きます。

 急峻な山脈に挟まれた諏訪盆地。この先で途切れるものの、街道は、山間の隙間をうまく擦り抜け、それほど厳しい坂道にはなりません。

 

 

 古くからの道

 上諏訪宿を後にした街道は、国道20号線の清水1・2丁目交差点から、斜め右方向の、細い道に入ります。この道が旧道で、道幅は往時のままの感覚です。わずか、100メートルほどの区間ですが、上諏訪の町中に、密かに姿を隠しています。

 

※町中に隠れる旧道。

 

 その後、街道は、再び国道20号線に合流し、しばらくの間、ごく普通の国道の沿線を進みます。

 やがて、道は二手に分かれる分岐点。直進するのが国道で、斜め左に弧を描くのが、甲州道中の旧道です。

 

※直進する国道に対し、街道は左に迂回します。

 

 山際の道

 旧道は、しばらくは、それなりの道幅を保っています。車もたまには往き来する、抜け道のような道路です。

 やがて、旧道は、もう一度分岐点を迎えることに。ここを、真っすぐに進んで行くと、先ほどの、国道につながるようですが、街道は、再び、斜め左の旧道に入ります。

 分岐のところの角地には、歴史を感じる、大きな石碑がありました。

 

※左、国道と別れた後の旧道。右、さらに二手に分かれます。左手が甲州道中。

 

 左手に進んだ街道は、往時のままの道筋を残しているように感じます。左には山の斜面が迫る中、右方向には、住宅の隙間から諏訪盆地が見下ろせます。

 途中、霧ヶ峰に向かう道との交差点を過ぎた先には、秋葉山の常夜燈。ところどころに残された、石碑などを確認しながら、南へと向かいます。

 

秋葉山常夜燈。

 

 旧道には、再び常夜燈が現れます。細長く続く街道は、わずかな屈曲を幾度となく繰り返し、古からの集落の中をすり抜けます。

 

※再び現れた常夜燈。

 一里塚

 しばらくすると、今度は、一里塚跡の石碑です。塚自体は、今は残っていませんが、立派な礎石で、その痕跡を伝えています。

 この一里塚がある場所は、神戸という地域です。説明板には、「甲州道中五十一里塚」の表示がありました。

 

※神戸の一里塚跡。

 

 大門追分

 旧道を、数キロにわたって歩いた先で、大門の追分を迎えます。甲州道中の方向は、追分の右方向。左に向かうと、蓼科山中にあるらしい、大門の集落につながるのだと思います。

 この追分には、幾つかの古い石碑が置かれてます。その一つは、大きな岩で造られた道標です。よく見ると、「右江戸道」と彫られています。江戸へと向かう甲州道中、斜め右方向に、ゆっくりと下る道を進みます。

 

※左、大門追分。右、追分に置かれた石標。

 国道へ

 この先、道は、緩やかな下り坂。そして、右に大きく進路を変えて、盆地の底の平坦部へと向かいます。

 

※下り坂の街道。

 

 やがて、JR中央本線の軌道の下を潜り抜けると、茅野上原の郵便局。そして、その先の交差点が、国道20号線との合流地点という具合です。

 この辺り、新旧の住宅などが入り混じる状況です。街道は、もう、往時の姿を残すところはありません。しばらくは、国道の歩道に沿って進みます。

 

※茅野上原の郵便局と、その先の国道との交差点。

 

※国道との合流点から、今通って来た道を振り返ります。

 

 茅野駅(ちのえき)へ

 国道と合流した街道は、それほど特徴を感じる道ではありません。時に、石碑などが見られるものの、大方は、住宅や、事業所などが入り混じる、ごく普通の沿線です。

 途中、上原頼岳寺など、上原〇〇という交差点を幾つか過ぎると、やがて、上原の交差点に行き着きます。街道は、この交差点を左に折れて、すぐに、右に延びる旧道に入ります。

 国道は、交差点を直進です。そして、左に向かう大きな道は、この先で、右側に大きく迂回して、JRの茅野駅へと向かうのです。

 

※左、上原頼岳寺の交差点。右、上原の交差点。直進は国道。街道はここを左手に進み、すぐ右の方向へ。

 

 ちなみに、上原交差点のすぐ手前のところには、その地下に、トンネルが走っています。このトンネル道は、有名なビーナスライン霧ヶ峰へと観光で訪れる道路です。国道のすぐ右手の坂を下ったところに、トンネルの入口があるようです。

 

 一方、旧道に入った、甲州道中は、やや趣のある道筋です。道幅はそこそこ広く、おそらくは、拡幅なども行われてきたのでしょう。それでも、白壁のある木造家屋や、弧を描く道路の感じは、良い雰囲気を奏でています。

 

茅野駅近くの旧道。

 旧道をしばらく歩くと、少し複雑な形態の、交差点を迎えます。街道は、ここを真っ直ぐ進むのですが、私たちの街道歩きは、この日は、ここで終了です。交差点を左に折れて、すぐ先の、茅野駅へと向かいます。

 この日の朝、下諏訪駅に降り立って、そこから下諏訪の宿場に向かい、甲州道中を、一気に南下してきた行程は、およそ13Km。諏訪湖の姿を眺めながらの街道歩きも、茅野駅では、もう、その姿は望めません。

 

 翌日は、茅野駅から、上諏訪宿の次の宿場の金沢宿を目指します。

 

※複雑な形態の茅野駅近くの交差点。左に折れると茅野駅です。