旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[日光道中]23・・・新田宿と小金井宿

 下野市(しもつけし)

 

 小山市の3つの宿場を過ぎた後、街道は、下野市に入ります。栃木県のかつての地名、下野の国に由来している下野市。このような名前の都市があったのかと、不思議に感じたものでした。

 ただ、調べると、この都市は、平成の大合併で誕生した新しい自治体だということです。かつては、3つの町だったようですが、そもそも、その町の名前すら聞いたことがありません。わずかに、JR東北本線の、小金井という駅名だけが、頭の片隅にあったのみ。

 初めて出会う下野の街。街道を歩きながら、新鮮な空気を感じます

 

 

 喜沢の一里塚

 里道のような狭い道を進んで行くと、左手に、雑木林が現れます。手つかずの林なのか、公園なのかは分かりませんが、その一角だけ、鬱蒼とした木々が覆っています。

 資料を見ると、この辺りには、喜沢の一里塚があるようです。どこにあるのか、目を凝らして探します。

 

※雑木林のような一角。

 

 よく見ると、雑木林の入り口辺りに、少し盛り上がった塚が見られます。何の表示もないために、確かにそれとは分かりませんが、おそらくは、この塚が一里塚なのだと思います。

 塚そのものがありながら、表示すらない一里塚。少し残念にも思えます。江戸日本橋から21番目の一里塚を眺めながら、先の道を急ぎます。

 

※喜沢の一里塚と思われる塚。

 

 新幹線

 街道は、依然として幅の狭い、路地のような道筋です。右からは、東北新幹線の高架の軌道が、じわじわと迫ってきます。

 小さな交差点で右手を見ると、街道を横切る道は、高架下から軌道の東側へと向かう道。街道は、さらに直進し、民家の隙間に入ります。

 

※線路を横切る少し広い道路を渡り、幅の狭い街道を進みます。

 

 民家の間を抜けた後、街道は、新幹線の高架下を進みます。おそらく、本来の街道は、軌道敷にあったのでしょう。鉄道の整備とともに、旧来の道筋は失われてしまった様子です。

 

※新幹線の管理道路のような道を進みます。

 

 新田宿(しんでんじゅく)へ

 しばらくの間、東北新幹線の高架に沿って歩いて行くと、その先に、住宅地内を斜に横切る、左手先の旧道が現れます。

 街道は、ここから、再び幅の狭い旧道へ。

 

※左、東北新幹線の高架に沿って歩きます。右、斜め左に旧道が現れます。

 

 旧道は、昔ながらの道幅を保ちながら、敷地の広い住宅が並ぶ道を、すり抜けます。旧道の先を見ると、車が走る幹線道路。この先で、国道と合流です。

 

※旧道の道筋。

 

 やがて、旧道は、幹線道路と合流します。この道路、小山の市街地の直前で、左にそれた国道の4号線。市街地の西を周って、再びここで、街道と合流することになりました。

 そして、街道は、いよいよ次の宿場の新田宿に入ります。

 

※国道4号線と合流した街道。

 

 新田宿(しんでんじゅく)

 国道と合流した街道は、一転して、広々とした幹線道路を進みます。歩道には、灯籠のようなモニュメント。そこには、「日光街道 羽川 新田宿」と書かれています。

 羽川とは、この辺りの地名なのだと思います。羽川にある、新田宿。小山宿から、5.5キロ離れています。

 

※国道に合流した街道は、かつての新田宿にあたります。

 

 新田宿は、本陣と脇本陣が各1軒、旅籠は11軒ありました。日光道中の宿場としては、最も小さかったということです。

 完全に国道の風景となった宿場町。今は、かつての面影はありません。

 

※新田宿の様子。

 

 国道の歩道を歩いていると、ところどころに、灯籠風のモニュメントが置かれています。また、民地のフェンスに吊り下げられた屋号の札。

 町の様子は変わっても、確かにここが、かつては宿場町であったということが、こんなところからも分かります。

 

※フェンスに架けられた屋号の札。

 

 北へ

 整然とした国道の道筋を、さらに北に向けて進みます。新田の宿場町の北限は、どの辺りまででしょう。その規模からも、そんなに長い区間ではなかったのだと思います。

 

※新田宿の様子。

 

 代官屋敷跡

 少し歩くと、今度は、「幕府代官屋敷跡」と記された、大きな看板がありました。その向こうにある、細い路地を入っていくと、屋敷跡があるようです。

 私たちは、寄り道せずに、街道の先を急ぎます。

 

※代官跡と書かれた大きな看板。

 小金井へ

 国道伝いの街道は、しばらくすると、左手の旧道に入ります。その入り口は、整備された脇道ですが、すぐに、右に折れ、本来の旧道を辿ります。

 

※旧道につながる脇道。

 

 住宅が軒を連ねる旧道を進んで行くと、右手には、幾棟もの公営住宅が並んでいます。ここをさらに直進し、小金井の町へと向かいます。

 

※旧道の街道。

 街道は、国道の一筋西を、緩やかな弓なり状に進んでいます。途中には、開発が途切れたような一角が。

 そこを過ぎると、今度は、比較的新しい住宅地に入ります。

 

※開発の狭間のようなところを通り過ぎます。

 

 やがて、左手には、広々とした農地が現れます。街道脇の見事な花は、どなたかの計らいなのか。心安らぐ道筋です。

 

※見事に花が咲き誇る道筋。

 

 街道は、その先で、再び住宅地に入ります。小金井の町はその辺りから。間もなく、次の宿場の小金井宿を迎えます。

 

※小金井の町中を進む街道。

 

 小金井

 街道は、国道に最接近する場所で、わずかの区間、区画された道を辿ります。本来は、道なりに、国道に吸収されるはずですが、開発の影響で、かぎ型の区画された道に沿って、国道に入ります。

 この辺り、小金井の町の中心部。かつてはもう、小金井の宿場だったのかも知れません。

 私たちは、この日はここで一区切り。国道のすぐ東(右)にある、小金井駅へと足を向け、宿泊地に移動です。

 

※すぐ先の国道へとつながる区画された道。

 この日は、後半の日光道中歩き旅の1日目。昼過ぎに、間々田の駅を出発し、小山・新田と歩きつないで、小金井宿の入口まで。およそ16キロを歩きつなぐことになりました。

 国道のすぐ近くの小金井駅。駅に着いた頃には、空は間もなく夕暮れ時。その様子をご覧いただければと思います。 

 

※夕暮れ時の小金井駅