旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

巡り旅のスケッチ[西国三十三所]18・・・清水寺

 東山

 

 京の都は、京都盆地を埋めるように広がります。この都の西側を流れ下る、桂川。そして、反対の東の境に立ちはだかるのが、東山三十六峰と呼ばれる山並みです。

 東山三十六峰。実際に幾つの峰が存在するのか、はっきりとは分かりません。それでも、調べてみると、北の比叡山から南端の稲荷山まで、都の中心部辺りから、36の峰々が認められるというのです。

 京都を訪れる人にとっては、誰もが目にする東山。都の中心地にほど近い、東山の麓には、誰もが知る八坂神社や清水寺など、有名な寺社が集まります。

 西国三十三所霊場の次の札所は清水寺。東山の中心部へと進みます。

 

 

 清水坂

 京都の街中の巡拝は、公共交通機関を利用するのが一番です。ただ、時期によっては、相当の込み具合。時間のロスも覚悟しなければなりません。

 私たちは、自由気ままに巡る旅。この時は、市街地の遠方に車を停めて、街中を散策しながら、幾つかの霊場を辿ることにしたのです。

 時は、一昨年(2021)の10月のこと。まだ、コロナの影響が冷めやらない時期でした。暑さの残る京都盆地を歩きつつ、東大路通りから、清水坂へ。意外にも、修学旅行生のグループや、一般の観光客で大賑わいの門前でした。

 

※修学旅行生などで賑わう清水坂

 仁王門

 清水寺の境内は、東山の音羽山の山裾に広がります。そのために、斜面沿いに境内が連なって、入り口の辺りから、幾つものお堂や塔などを重層的に望むことができるのです。

 清水坂の正面は、色鮮やかで勇壮な仁王門。その左右には、境内に向かう石段が、至る所に見られます。

 

※仁王門、西門、三重の塔を望みます。

 

 境内へ

 私たちは、正面の仁王門から境内に入ります。仁王門をくぐった先は、さらに石段が続いていて、そこを上り詰めると、落ち着いた雰囲気の随求道(ずいぐどう)。そこからは、右方向の石段へ。

 石段の右上には、朱に染められた三重の塔が聳えています。反対の左には、これも朱塗りの経堂です。

 色鮮やかな寺院の建物を通り抜け、本堂へと進みます。

 

 

※三重の塔と経堂。参道は、その狭間を手前方向に辿ってきます。

 

 しばらくすると、右側に受付の建物がありました。私たちは、拝観料400円を支払って、本堂のある境内へと進みます。

 この先は、比較的落ち着いた雰囲気の、モノクロ基調の建物が並んでいます。先ずは、重要文化財の轟門。厳かな雰囲気で、参拝客を迎えています。

 

※轟門をくぐって本堂のある境内へ。

 本堂

 轟門をくぐった先は、丸木の柱で支えられた、長屋根を配した回廊です。そして、その先にあるのが、本堂です。

 清水寺の本堂は、この回廊伝いに、側面からお堂の中に入ります。

 

※本堂につながる回廊。

 

 清水寺の本尊は、十一面千手千眼観世音菩薩。33年に一度の御開帳ということで、普段は目にすることはできません*1

 それにしても、33年間隔とは気の長い話です。彼の、信州善光寺の本尊も、7年間隔だったはず。ほとんど、拝見できないこの本尊、次に開帳されるのは、2033年だということです。

 その時まで生きながらえれば、一度はご尊顔を仰ぎたいものだと思います。

 私たちは、本堂で参拝し、奥にある納経所へと向かいます。

 

※清水の舞台がよくわかる本堂の様子。

 

 清水寺と言えば、「清水の舞台」が有名です。山の斜面にせり出したこの舞台。「清水の舞台から飛び降りた気持ちで・・・」というフレーズは、子どもの頃、親や親戚のおじさんから、良く聞かされたものでした。

 さずがに、足がすくむような構造で、”神様・仏様”と、思わず拝みたくなるようなところです。

 納経所へと向かうまでに、舞台に立って眺望を楽しみます。

 

 阿弥陀堂奥の院

 本堂を出た後は、向こう側の側面からさらに奥へと進みます。その先の順路は右方向。そこには、朱塗りの阿弥陀堂が構えています。”南無阿弥陀仏”の念仏が、人々を救うとの教えを広めた法然上人。この方のゆかりのお堂です。

 阿弥陀堂の次のお堂は、奥の院。これも朱塗りの建物ではありますが、なぜか柱は木地のまま。少し異なる二つのお堂で参拝し、都の景色を望みます。

 

阿弥陀堂奥の院

 

 奥の院は、本堂と同様に、舞台を配した構造です。舞台の先に進んで行くと、見事な、京の都の街並みが、眼下一体に広がります。

 街中は、所々に、寺院などの大屋根が見られるものの、高層ビルが主流をなして、近代的な都市の姿を呈しています。その昔、ここから見下ろす都の姿は、どのようなものだったのか。想像を膨らませつつ、帰路の途に足を進めます。

 

奥の院の舞台から、京の都の街並みを見下ろします。

 帰路

 帰り道は、奥の院から南に向かい、境内を取り巻くように、坂道を下ります。木々が覆う坂道は、全体が庭園のように美しく、静かな空気が漂います。

 下り切った辺りから、上方を見上げてみると、美しい三重の塔の姿です。

 私たちは、有名な、清水寺の参拝を終え、続く札所の第17番、六波羅蜜寺へと向かいます。

 

※帰路の坂道を下って、三重の塔を振り返ります。

 

*1:33年に一度と聞いて、もしやと思ったのが、西国三十三所の札所の数。実は、この33という数字は、観世音菩薩が人々を救うため、33の姿に変化するという思想からきています。清水寺本尊の御開帳の間隔も、この思想に起因しているということです。