旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

2022-01-01から1年間の記事一覧

歩き旅のスケッチ[東海道]98・・・平塚宿と相模の路

相模路 平塚の宿場を過ぎた後、街道は、茅ヶ崎を経由して藤沢宿に向かいます。この間の道筋は、概ね、整備が進んだ幹線道路。国道1号線を中心に、都市間をつないでいる、主要道路を歩きます。 時折、姿を見せる、松の並木の名残りなど、街道の面影を感じる…

歩き旅のスケッチ[東海道]97・・・大磯宿から平塚宿へ

神奈川の中央部 大磯から先の街道は、次第に、人口集中地域へと向かいます。この先、平塚、茅ケ崎、藤沢は、神奈川県でも有数の市街地を形成している地域です。街並みは、一気に都会の様相を見せ始め、整備された広い道路が続きます。 大磯の次の宿場は、7…

歩き旅のスケッチ[東海道]96・・・大磯宿

松並木と偉人の町 大磯は、松並木が素晴らしいところです。東海道の沿線には、今でも各地に松の並木は残っていますが、大半は、幹線道路ではなく旧道沿い。そんな中でも、ここ大磯は、国道伝いに立派な並木が残っています。 国道の松並木では、三島にある、…

歩き旅のスケッチ[東海道]95・・・大磯宿へ

湘南の奥座敷 相模湾の、風光明媚な海岸線のすぐ側を、大磯に向けて東進します。その後、街道は、三浦半島に延びている山並みを避けながら、やや内陸側に進路を変えて、横浜へと向かいます。そのために、有名な湘南海岸の傍を通る街道は、次の宿場の大磯が、…

歩き旅のスケッチ[東海道]94・・・酒匂川と国府津

相模路 小田原から先の街道は、相模湾のすぐ内側を通っている、国道1号線に沿って進みます。今では、海岸線には、西湘バイパスの自動車道路が延びていて、車で東に向かうには、この道を利用するのが便利です。国道は、整備が進んではいるものの、所々で渋滞…

歩き旅のスケッチ[東海道]93・・・小田原宿

小田原 小田原は城下町として有名ですが、関西人にしてみれば、その位置関係を正しく把握できているかどうかは微妙です。その原因は、点で結ぶ移動手段を主流とする、今日の観光の形態にあるのではないかと思います。そして、もう一つ、小田原の近くには、箱…

歩き旅のスケッチ[東海道]92・・・小田原宿へ

相模路 箱根湯本を過ぎた後、街道は、比較的平坦な道を進みます。これからは、相模の国の名所をつないで、一路、武蔵の国を目指します。先ず訪れるのは東海道53次の9番目の宿場町、小田原です。 小田原は、戦国時代に、北条早雲が治めた城下町。豊臣秀吉…

歩き旅のスケッチ[東海道]91・・・箱根湯本へ

箱根の里 箱根の山の玄関口は、西は三島の初音ケ原の杉並木。反対の東側は、箱根観光の基地である、箱根湯本の温泉町といえるでしょう。この間、およそ25キロの道のりは、三島宿と小田原宿をつないでいる、箱根八里(32キロ)の行程の、最も険しい区間で…

歩き旅のスケッチ[東海道]90・・・畑宿へ

寄木細工 箱根には、古くから親しまれている、寄木細工のお店が並ぶ町があり、道ゆく人の目を惹きつけます。この町は、畑宿というところ。有名な温泉などが点在する、国道沿いの町ではなくて、国道から尾根を挟んだ南側。街道と肩を並べて斜面を下る、県道沿…

歩き旅のスケッチ[東海道]89・・・箱根の里へ

東の坂道 箱根の山の東側は、かなり厳しい坂道です。芦ノ湖がある盆地から、外輪山の峠に上り、その後は、一気に下り坂に入ります。今は、階段の場所もありますが、延々と、下りの道が続きます。 私たちが箱根の山へと辿った道は、三島からの上り道。その道…

歩き旅のスケッチ[東海道]88・・・箱根の関所と杉並木

芦ノ湖辺り 箱根には、たくさんの観光スポットがありますが、中でも、芦ノ湖の東の地域は、観光の中心地。 そこには、芦ノ湖の水上観光の基地があり、湖と富士山の絶景が味わえます。また、箱根の関所があったところは、往時の施設などが再現されて、興味深…

歩き旅のスケッチ[東海道]87・・・箱根峠と箱根宿

峠から箱根の宿場へ 峠を越えると、道は一気に下り坂。芦ノ湖の水面が広がる、箱根の盆地に近づきます。以前にも触れた通り、箱根は火山状の地形です。外輪山とカルデラが、見事な自然景観を醸し出し、多くの観光客を迎えます。 それでも、かつては、厳しい…

歩き旅のスケッチ[東海道]86・・・箱根峠へ

峠の風景 箱根峠は、三島と箱根の2つの宿場を、直線状につなぐ街道の最高地点。標高は、846mのところです。この峠を境にして、街道は、芦ノ湖を湛えている、箱根の盆地に向かいます。 箱根の山は、火山地帯とも言える土地。熊本の阿蘇山と同じように、…

歩き旅のスケッチ[東海道]85・・・スカイウォークと山中城

峠への道 峠に向かう街道は、上り坂の連続です。次から次に、姿を変えた坂道が現れて、体力を奪います。 石畳の坂道や、土道の凹凸が激しい坂道などもありますが、国道の単調な道筋は、かえって疲れを誘います。着実に、峠に近づいてはいるものの、思うほど…

歩き旅のスケッチ[東海道]84・・・箱根の坂道

続く坂道 三島宿と箱根宿の間の距離は、およそ15Kmの行程です。「箱根八里は馬でも越すが」と言われてきたのは、その通り。それでも、延々と続く上り坂は、並大抵ではありません。山道に慣れない体に鞭を打ち、坂道をひたすら歩き続けます。 ただ、救われ…

歩き旅のスケッチ[東海道]83・・・三島宿から箱根の坂へ

東海道の最終章 今回から、「歩き旅のスケッチ[東海道]」に戻ります。箱根の山への上り道から始まって、江戸日本橋まで、東海道を歩いてつなぐシリーズの最終章。 この区間には、名所や観光地が目白押し。最後の”海道”歩きを楽しみます。 ※左、箱根の杉並木…

出会い旅のスケッチ15・・・下北半島(2)

最果ての地 本州の北の端の下北は、自然が厳しいところです。陸奥湾沿いの、僅かな農地からの収穫と、湾内の水産物が、地域の生活を支えます。平坦地は限られて、山地や崖地が半島の大半を覆っている状況です。 冬の季節は北風が厳しくて、風雪に悩まされる…

出会い旅のスケッチ14・・・下北半島(1)

下北半島 下北は、青森県の北東にある、斧のように突き出した半島です。最北端は西側の大間崎。ここは、北海道の松前より、緯度的には北の位置にあたります。 津軽とともに、気候的には厳しい土地でありながら、人々は、たくましく、新たな時を刻んでいるよ…

出会い旅のスケッチ13・・・津軽半島(5)

太宰治の足跡 今回の「出会い旅のスケッチ」は、津軽半島を巡る旅。太宰治の『津軽』とともに、幾つかの史跡名勝を訪れました。 いよいよ、このシリーズも最終回。太宰治が、若き日に、暮らし訪ねた思い出の地を巡ります。 五所川原 金木から、五所川原の中…

出会い旅のスケッチ12・・・津軽半島(4)

津軽平野 津軽平野の中心は、半島の付け根に位置する五所川原。ここから南に向かったところが、岩木川の上流にある、津軽藩の拠点の街、弘前です。弘前の、少し手前を東に向かうと、青森県の中心地、青森市方面で、五所川原から西に向かうと、日本海沿岸の、…

出会い旅のスケッチ11・・・津軽半島(3)

西津軽 津軽半島の西側は、変化に富んだ風景が特徴です。竜飛岬とその少し南の地域は、険しい崖地が続きます。その後は、高台から、一気に海へと下る道。北日本海の荒波に吸い込まれるようにして、海岸線に下り立ちます。 平地に下りると、小泊という、小さ…

出会い旅のスケッチ10・・・津軽半島(2)

竜飛岬 津軽の旅は、半島の北の端、竜飛岬へと向かいます。本州の最北端は、下北の大間崎。竜飛岬は、位置的には、下北より南にありますが、北の地の裏寂しい風景が、脳裏に浮かんでしまうのは、津軽という、地名の響きがなせる技かも知れません。 津軽とは…

出会い旅のスケッチ9・・・津軽半島(1)

津軽へ 久しぶりの「出会い旅」シリーズです。前回は、アメリカ・カリフォルニア州のベイエリア、オークランドが輩出した小説家、ジャックロンドンに出会う旅。それから2年、今回は一転して、青森の津軽へと向かいます。津軽と言えば、太宰治を抜きにしては…

歩き旅のスケッチ[熊野古道]11・・・熊野三山(後編)

3大社と2寺 「歩き旅のスケッチ[熊野古道]」の最終回は、熊野三山の最後の聖地、熊野那智大社です。崖地から、糸を引いたような那智の滝を崇める霊地は、壮大な自然への畏敬の念を抱き続けた、先人達の信仰の深さを伝えています。 そして、熊野那智大社…

歩き旅のスケッチ[熊野古道]10・・・熊野三山(前編)

熊野の3大社 古くから、熊野の地を目指した人々は、熊野本宮大社に参詣するのが、最大の目的でした。深くて険しい山道を越え、熊野の清流が注ぎ下る水際に、目指す聖地はありました。(大斎原(おおゆのはら)と呼ばれ、今も熊野川のほとりにその敷地が残っ…

歩き旅のスケッチ[熊野古道]9・・・熊野本宮大社へ

巡礼の道 いよいよ、熊野詣の聖地である、熊野本宮大社に迫ります。かつて、ここまでの道のりは、参詣者の目的ごとに、幾つかのルートがありました。 都から、直接参詣に向かう場合には、川を下って難波に入り、紀州を経て、今の田辺市辺りから東に広がる熊…

歩き旅のスケッチ[熊野古道]8・・・発心門王子から熊野本宮大社へ

熊野本宮大社へ 中辺路を辿りながら、熊野本宮大社を目指す旅。いよいよ最後の、歩き旅の区間に入ります。 この日に歩く行程は、大社の北西の峠にある、発心門王子から、熊野本宮大社まで。熊野古道の、最も人気のあるルートです。この区間には、幾つかの王…

歩き旅のスケッチ[熊野古道]7・・・近露王子と発心門王子

車の移動 私たちの熊野古道歩きの計画は、中辺路を完歩して、熊野本宮大社に向かうというものでした。ところが、出発地点の滝尻王子から、牛馬童子口までの行程が余りにも厳しくて、とても続けて、すべての道を歩くことは、不可能と思うようになりました。 …

歩き旅のスケッチ[熊野古道]6・・・牛馬童子と近露の里

牛馬童子の事 およそ四半世紀前、私が熊野の地を訪れたということは、このブログのシリーズで、何回か触れてきたところです。その時に、実際に訪ねた熊野古道の史跡の一つが、牛馬童子(ぎゅうばどうじ)像だったのです。 山の中の小高い場所の一角に神聖な…

歩き旅のスケッチ[熊野古道]5・・・大坂本王子から牛馬童子口へ

峠の先へ 十丈峠を越えた先は、富田川の流域から、日置川の流域に入ります。熊野の山地は、峰々が幾重にも重なる地形。それぞれの峰の間に、深い谷間が形成されて、そこには水の道が通ります。 川の流れは、谷底を削りながら、蛇行を重ねて、ひたすら海へと…