芦ノ湖辺り
箱根には、たくさんの観光スポットがありますが、中でも、芦ノ湖の東の地域は、観光の中心地。
そこには、芦ノ湖の水上観光の基地があり、湖と富士山の絶景が味わえます。また、箱根の関所があったところは、往時の施設などが再現されて、興味深いところです。
この地域には、たくさんの土産物店を始めとして、飲食店や観光施設も豊富です。箱根駅伝の往路復路の起終点も、芦ノ湖のほとりにあるため、駅伝を記念する施設などもあるようです。
街道は、湖の東の地域をかすめるように通過して、再び、外輪山の峠へと向かいます。
※箱根駅伝の往路ゴールを示す石標。
箱根駅伝の石標
国道1号線に戻った街道は、真っすぐな直線道路を進みます。この辺りは、箱根駅伝の往路最後の区間として、また、復路の最初の区間として、よくテレビに映る場所。国道から、湖近くの、駐車場に続く道路が、起終点となるところです。そこには、駅伝の折り返し地点を明示する、石柱の目印が置かれています。
私たちは、箱根の宿で一夜を過ごし、駅伝の石柱近くの国道から、次の日の歩き旅を始めます。
箱根宿
国道の直線道路は、かつて、箱根の宿場が置かれていたところです。今は、お店や食堂などが建ち並び、往時の面影はありません。
私たちは、舗装された国道の歩道に沿って東へと向かいます。しばらく進むと、左手に、「箱根関所」の標示です。
箱根では、宿場の町並みが見られないのは残念ですが、一方で、関所跡が整備され、その様子を味わうことができるのは、ありがたいことだと思います。
※国道のすぐ傍に掲げられた関所の標示。
箱根の関所
意匠を凝らした、関所跡の標示のところを左に曲がると、そこは、たくさんの土産物店が軒を連ねる観光地。時期が良ければ、多くの観光客で賑わう場所なのだと思います。
私たちが訪ねた時は、人の姿は限定的。閑散とした状態でした。
土産物店が並ぶ道の正面には、関所の建物が構えています。木造の黒塗りの門に向かって、街道は続きます。
※箱根の関所の京口御門前。
箱根の関所の西口は、京口御門と呼ばれています。門の辺りは厳格そうで、通行料でも取られそうな雰囲気ですが、誰でも入れて、通行は自由です。そこは、かつての街道で、今も、公の道なのだと思います。
ただ、道の両脇に設けられた、関所の施設への入場は有料です。そこは、見学ゾーンとなっていて、ビジュアルに復元された関所の内部などを見学することができるのです。
※箱根関所資料館となっている関所の施設。
箱根の関所は、江戸幕府を守る目的で、1619年に設けられました。特に、江戸に留め置いていた、西国大名の子女の出国を防止する役割が大きかったということです。今の施設は、2007年に、史料に基づき、完全復元されたもの。史跡として、観光の施設として、多くの人が訪れます。
箱根の関所が置かれたところは、かつては、街道の右手が山の崖地になっていて、左側は芦ノ湖に阻まれます。砂時計の首のような地形のところに、旅人は、吸い寄せられるようにして、この関所に入ることになったのです。
※箱根の関所の案内とその概要図。
関所を通過した街道は、東の出入り口である、江戸口御門を潜り抜け、東側の宿場町へと向かいます。
※江戸口御門。
恩賜箱根公園駐車場
江戸口御門を出た先は、元は、宿場町があったとのことですが、今は、整備された、遊歩道のような状態です。
木々が連なる道筋を、心地よい、朝の空気を浴びながら歩きます。
※関所の先の道筋。
遊歩道状の道の先には、大きな駐車場がありました。そこは、恩賜箱根公園の駐車場。芦ノ湖に面した公園や、関所などへの基点として、利用されているところです。
杉林へ
駐車場前の国道をしばらく歩き、その後、山側の反対車線に渡ります。街道は、そこで国道から少しそれて、山裾の道に入ります。
国道と平行して、すぐ脇を通るこの道は、昔からの街道で、立派な杉の並木道。歴史の重みを感じるような道筋です。
この杉並木、東海道では唯一のものということです。東海道には、松の並木は至るところにありますが、貴重な杉の並木道。その樹形は、どの一つをとってみても、重厚感を感じます。
並木が少し途切れたところで左を見ると、芦ノ湖の湖面が広がり、その後方に、雪をいただく、美しい富士山の姿がありました。
※杉並木の途中から見えた芦ノ湖と富士山。
やがて、杉並木の道が終わると、街道は、国道1号線に合流します。そして、その先には、箱根の一里塚がありました。この一里塚は、葭原久保(よしわらくぼ)の一里塚。そこには、見事な杉が勇姿を誇り、一里塚の石標などが置かれています。
※葭原久保の一里塚。
芦ノ湖湖畔
街道は、この後しばらく、国道を歩くことになりますが、この辺りの道筋は、芦ノ湖湖畔の素晴らしい景観が続く道。
湖のほとりに足を向け、その景色に酔いしれながら、次の峠への道に向かいます。