旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[日光道中]33・・・今市宿へ

 今市

 

 平成の合併で、日光市となった今市(いまいち)の町。元は、今市市として、単独の市政が敷かれていたところです。この今市は、日光への玄関口とも言える場所。日光西街道(”日光裏街道”とも呼ばれています。また、途中から”日光例幣使街道”が合流しているため、この名が使われる場合もあります。)と日光道中が合流し、さらには、会津や奥州方面とも結ぶ道、会津西街道も、この町とつながって日光への最後の歩みを刻みます。

 今日の今市は、日光市の中心です。西に向かうと、日光東照宮中禅寺湖の名所が控え、北方面には、鬼怒川沿いの温泉地などが連なります。観光の拠点の町の今市は、今も、多くの人が訪れます。

 

 

 大沢宿から

 大沢宿を通り過ぎた街道は、その直後、再び旧道の並木道に入ります。この先、杉が覆う並木の道は、往時のままの幅員が保たれているような狭さです。

 ただ、路面はアスファルトで舗装され、自動車も通ることが可能です。

 

※旧道の杉並木道へ。

 

 道端の堤に植わる杉の木は、次から次へと補植されているのでしょう。樹齢は、まばらな状態で、若木なども見られます。

 一方で、見事な幹回りの古木もあって、歴史をつなぐ、並木保全の努力の様子が窺えます。

 

若木や古木が見られる杉並木。

 

 並木道の保全

 しばらくすると、旧道を横切るようにガードレールが設置され、傍には、「車両の排ガスや振動から日光杉並木を守るため 車両通行止め」との表示です。

 文字通り、この先は、車両の進入はできません。車は、右方向の杉林の小道をすり抜けて、国道119線の方向に進むことになるのです。一方で、歩行者は、より安全に、並木道を満喫できるという訳です。

 

※ここからは、車両の進入はできません。

 

 古木の並木道

 この先、舗装された並木の道は、車は全く通りません。私たちは悠々と、舗装道を歩きます。

 鬱蒼とした、林のような並木の中を、街道は、一筋の流れを作っています。途中、何回か、途切れる場所があるものの、どこまでも北西に向かって続きます。

 しばらくすると、樹齢を感じる、幾本もの杉の大木が連なるところがありました。江戸時代から、この位置に植えられていたものなのか。見事な樹勢に圧倒されたものでした。

 

※杉の大木が連なる並木道。

 

 桜杉

 杉林の途中には、”桜杉(さくらすぎ)”と呼ばれている、少し変わった杉の木がありました。資料によると、根元から1.5mの杉の幹の割れ目のところに、山桜が寄生したものだそう。

 これだけ多くの杉の木です。中には、一風変わった木があっても、不思議ではありません。この櫻杉、並木道の位置確認の目印として、貴重なポイントでもあるのです。

 

※桜杉。

 

 今市宿へ

 桜杉を過ぎた後も、まだ少し、杉の並木は続きます。見事な樹勢の杉の木は、益々、そのすごさを増してきているようにも思えます。

 日光街道の表示板には、「保護地域」或いは、「特別保護地域」との表示もあって、厳格に並木道は保全されている様子です。

 

※まだまだ杉の並木は続きます。

 一里塚

 堤に沿って杉の並木が続く中、少し分かりにくい状態の一里塚がありました。その塚は、周囲の堤の高さと比べると、ややこんもりとした感じ。かろうじて、一里塚と認識できる状態です。

 そして、塚の上には、幹の下が空洞の杉の大木がありました。この一里塚、七本桜の一里塚と呼ばれています。江戸日本橋から33里。ゴール地点の日光は、もう随分と迫ってきた感じです。

 

※七本桜の一里塚。

 七本桜交差点

 杉並木の街道は、やがて、七本桜の交差点を迎えます。並木の道が続く中、交差点のところだけ、木々が伐採さているのです。

 並木道のすぐ左には、街道に沿うように、国道119号線が走っています。一般に、国道が整備される段階で、並木の木々は除却される運命だと思うのですが、ここ日光は、並木を残して、国道の道筋が敷かれているのです。

 ちなみに、この辺りの並木道は、車両の通行止めが解除され、国道の抜け道的な存在に、変化しています。

 

※七本桜の交差点。

 

 今市宿へ

 辺りは、依然として杉の並木が続く中、街道を跨いで通る鉄道(東部日光線の軌道)や、歩道橋が現れます。

 車の通りも、心なしか増えてきたようにも思えます。いよいよ、今市の市街地に近づいてきたのでしょうか。かつての今市宿も、もう間近のところです。

 

※左、東武日光線の軌道をくぐります。右、杉並木を跨ぐ歩道橋。

 

 杉並木の街道は、この先、まるでトンネルを抜け出すように、前方に光の窓が構えています。

 この後、一旦、松並木を抜け出すと、そこは、今市の宿場町。日光への拠点の宿場に到着です。

 

※一旦杉並木が終焉を迎え、今市宿に入ります。