旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[日光道中]36・・・鉢石宿へ

 旧日光市

 

 今市を後にした街道は、旧日光市へと向かいます。平成の大合併以前から、日光市として、市政を敷いていたこの都市は、後に、今市市などと合併し、今日の日光市になりました。

 足尾の町や、周辺の幾つかの町村を吸収し、栃木県では屈指の広さを誇るほどの、地方都市になったのです。誰もが知る日光は、まさに、旧日光市にあたります。家康が祀られた、東照宮を目指す道。いよいよ、終着点が近づきます。

 

 

 集落

 上今市から並木道を歩いて行くと、途中で木々が途絶えて、小さな集落に入ります。以前から、この辺りには、集落があったのか。あるいは、茶店などが軒を連ねる、立場のような場所だったのか。

 杉の並木は一旦途切れ、少しの間、空が開けた静かな通りに変わります。

 

※杉並木が途切れたところの集落を通ります。

 並木道

 街道は、小さな集落を過ぎた後、再び杉並木に入ります。往時のままの道幅を保つ並木道。鬱蒼とした木々が覆い、陽光を遮ります。

 

※杉並木が続く街道。

 薬師堂など

 並木道を進んで行くと、やがて、右方向に小さなお堂が現れます。紅葉とお堂が重なる光景は、緑が続いた杉の並木に、ひとつのアクセントを与えています。

 この辺り、元はお寺の境内地だったということで、今はこの、薬師堂と石仏などだけ残されているような状況です。

 

※薬師堂がある一角。

 国道へ

 薬師堂を過ぎた後、杉並木は片側だけ残ります。街道の左手は、集落の民家が並び、変則的な道筋をつくっています。

 道は、石畳風の舗装が敷かれ、今日的な修景が施された感じです。街道は、この先で、国道119号線に合流し、これまでの、古くからの並木道を離れます。

 

※片側に民家が並ぶ石畳の道。

 街道は、やがて、国道に接続します。その先は、歩道のない車道に沿って、日光の方向へ。車が往き交う道筋を、安全を確認しながら、ゆっくりと進みます。

 道は、緩やかな上り坂。これまでも、少しずつ標高を上げてきましたが、ここからは、さらに、山懐に向かうような勾配へと変わります。

 

※国道に接続する街道。

 

 国道の道

 国道に合流した街道は、広い敷地の民家の前を通り過ぎ、杉が覆う道筋へと進みます。杉林の手前には、少し趣のある常夜燈がありました。この常夜燈、日光型常夜燈と呼ぶようで、その意匠がお洒落です。

 

※左には常夜燈が見えます。その先は杉林の道になります。

 

 杉並木の国道

 国道は、この先で、杉の並木道へと変わります。本来は、人馬が通る街道筋。今は、国道が並木の中を通っています。

 

※並木道の国道。

 

 上り坂の国道は、両側から杉の大木が覆っています。歩道はなく、危険な道で、安全を確認しながら歩きます。

 

※歩道のない坂道の国道。

 

 戊辰戦争隊士の墓

 国道の右側にある杉林。その途中には、お墓のような石柱が置かれた一角がありました。解説では、戊辰戦争の宇都宮の戦いに従軍し戦死した、幕府方の隊士達が祀られているということです。

 どのような戦いがあったのか。知る由はないものの、東照宮に向かう道の一隅に、手厚く葬られている様子を見ると、幕府への忠誠を抱いた人たちへの、弔い心が伝わるような気がします。

 

戊辰戦争隊士の墓。

 

 大杉

 坂道の街道をさらに進むと、生岡(いきおか)神社前のバス停留所に至ります。この左奥に、生岡神社があるようです。

 ところで、このバス停を過ぎた先に、見事な樹形の杉の大木が並んでいます。資料によると、「並木太郎」と呼ばれている、特別な木もあるようですが、私たちが眺めると、どの木も並木太郎に見えるほど、立派な樹形を誇っています。

 

※並木太郎の杉並木。

 

 七里と宝殿

 並木太郎を過ぎた後、街道は、やや勾配を緩めます。杉の並木も途切れがち。左には、民家なども見られます。

 左から、低い山が迫る中、日光の山裾へとつながる道を進みます。信号には、「七里」の表示がありました。右手の林の向こうには、七里の町があるようです。

 

※山が迫る七里の地域を進みます。

 

 街道は、その先で、宝殿の交差点を迎えます。今歩く国道は、斜め右の方向へ。やや左手に進む道は、日光自動車道の日光ICの方向です。

 

※宝殿の交差点。

 旧道

 宝殿の交差点を、斜め右に進んだ後で、左先に、旧道の並木道が現れます。街道は、ここで一旦、国道を離れます。

 この先、わずかの区間ではありますが、再び、杉並木の旧道が、旅人を迎えます。

 

※国道119号線からそれ、旧道に入ります。

 旧道をしばらく歩くと、再び国道と出合います。その先は、国道を、JR日光線の軌道の橋が跨いでいます。

 旧道の出口には、杉並でよく見かける、並木保護の地域を示す表示板がありました。そこには、「普通地域 保護地域」と書かれています。ここまでの旧道が、保護地域。この先は、普通地域に区分され、特別な並木の地域は、おおかた、終焉を迎えたのかも知れません。

 

※旧道の出口。JR日光線の軌道下を潜ります。

 

 JRの高架下を潜った先は、急勾配の坂道です。そして、今度は、斜め右方向に、地道の旧道が現れます。

 これまでの、杉並木の旧道と比べると、随分と、狭い道のようにも感じます。おそらく、道路整備などにより、かつての道は、手が加えられているのでしょう。

 

※再び現れた旧道。

 

 日光駅

 地図を見ると、あと少しで、JR日光駅に着くようです。いよいよ、最後の街道歩きに挑みます。