旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[日光道中]32・・・大沢宿へ

 杉並木

 

 大沢の宿場に近づくと、街道の様子は随分と変わります。有名な、日光の杉並木。これまでも、断続的に続いてはいましたが、それは例えば、東海道の松並木と同様の、街道際に一列に並ぶ並木です。

 ところが、この辺りから、並木の姿は一変します。それは、並木と表現するよりも、一種の、細長い森のよう。厳かな道筋に姿を変えた街道を、一筋の日の光に誘われて、神聖な二荒山の麓の地へと向かいます。

 

 

 上小

 街道は、宇都宮市上小池という集落を、北西に向けて進みます。道筋は、依然として、杉の並木の歩道です。

 この辺り、これまでの並木道と同様に、杉の木は整然と1列に並んでいます。ただ、並木が植わる堤の高さは、随分と、低くなったような気がします。

 

※整然とした杉並木を進みます。

 日光市

 しばらくすると、道路際に、「日光市」の標識です。ここで、宇都宮市と別れを告げて、日光道中最後の市域に入ります。

 日光市は、平成の大合併で、かなり大きな面積になりました。宇都宮と接する地域は、それまでは、今市市(いまいちし)と呼ばれたところ。この先の、大沢宿の次の宿場の今市宿が、今市市の中心です。

 

日光市に入った街道。

 

 街道は、杉並木が一旦途切れ、明るい日差しが降り注ぐ、眺望が開けた道筋に変わります。

 そして、この日の沿線では珍しく、食事がとれそうなお店の看板が見えました。時間も丁度昼時で、食事場所を求めていた最中です。早速、お店に直行し、美味しいお蕎麦をいただきました。

 

※昼食のお蕎麦がおいしかった栗山の食堂。

 

 杉並木へ

 食堂を出た後は、並木がまばらな歩道を進み、山口の交差点へと向かいます。街道は、ここを直進し、その先のY字に分かれる分岐点に近づきます。

 

※山口の交差点が前方に見えます。

 

 交差点を過ぎた後、国道は、やや左方向に向きを変え、明るい日差しの中に向かいます。一方で、街道は、真っ直ぐか、やや右寄りの方向へ。そこには、森のような木々の緑が続いています。

 

※国道は左にそれて、街道は、正面の森の中に入ります。

 杉並木

 杉並木の入口は、紅葉した落葉樹もありますが、その先は、鬱蒼とした杉の森。そして、堤の左の、杉が始まるところには、石柱や表示板が置かれた一角がありました。

 

※杉並木の入口辺り。

 

 境石

 左側に屹立する石柱は、「特別史跡」「特別天然記念物」の2列の文字と、「日光杉並木街道」の表示です。

 そして、表示板との間の奥には、随分と古そうな石の碑が置かれています。表示板には、次のように記載され、ここが、重要な場所であったことを示しています。

 

 「並木寄進碑 今市市山口 松平正綱公が杉並木を植栽して東照宮に寄進したことが記された石碑である 並木の起点となる神橋畔および各街道の切れる今市市山口(日光街道)同小倉(例幣使街道)同大桑(会津西街道)の四ケ所に建っている この碑は日光神領の境界に建てられているので境石と呼ばれている」

 

※境石と石柱など。

 

 並木道

 杉並木は、途中、見事な紅葉が見られる区間を挟んでいます。並木の中を通る道は、基本的には車道です。歩道は、これまでと同様に、堤の上にあるようですが、国道が大きく左に迂回する中、車道を走る車は、ほとんど見かけることはありません。

 私たちは、美しい並木を眺めながら、気を付けて車道の道を歩きます。

 

※紅葉が美しい並木道。

 しばらくすると、今度は見事な杉並木。左側は、1~2列の並木が植わり、右側は、杉の森が続いています。

 見事な並木に感心し、時を遡ったような景観に、酔いしれたものでした。ところが、この光景は、まだ序の口であったことを、この後すぐに、気づくことになるのです。

 このように、見事な日光の杉並木。ぜひ、多くの方に訪れていただきたいと思います。

 

※見事な杉並木が続きます。

 

 大沢宿

 街道は、この先で、一旦杉並木から離れます。木々が覆う薄暗い道筋から、再び、明るい光が降り注ぐ、空が開けた空間へ。

 そして、しばらく進んだその先で、5叉路の交差点に至ります。街道は、ここを右折して、左から右へと延びる、国道119号線に入ります。

 

 

※杉並木を終え、大沢宿へと向かいます。

 5叉路の交差点は、大沢の交差点。ここから先が、かつての大沢の宿場だったところです。今は、国道の沿線で、車が往き交う幹線道路。往時の宿場町の面影はありません。

 大沢宿は、前の宿場の徳次郎宿(とくじらじゅく)から、およそ9.5キロ離れています。この宿場には、本陣と脇本陣が各1軒、旅籠は41軒ありました。何回もの大火に見舞われ、その姿を大きく変貌させたということです。

 

※大沢の交差点。街道は、右手から交差点に入り、真っ直ぐ向こうの方向へ右折します。

 私たちは、国道の歩道に沿って、かつての宿場町を北西へと進みます。

 

※かつての大沢の宿場町。

 

 杉並木へ

 やがて、国道が前方に延びる中、変則の交差点を迎えます。そこからは、左前方の杉並木に吸い込まれて行くような、一筋の道が分かれています。

 街道は、この杉並木の方向へ。再び、並木の道に入ります。

 

※大沢宿を過ぎた後、再び杉並木に入ります。

 

 街道は、大沢宿を後にして、次の宿場の今市宿へと向かいます。