旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[北国街道]6・・・小諸宿へ

 宿場町

 

 街道歩きの醍醐味は幾つかありますが、中でも、宿場町の風景を味わうことは最も楽しみとするところです。ただ、街道の時代から時は流れて、今では往時の面影が残された町並みはそれほど多くありません。この北国街道の宿場町も、おそらく同じようなことでしょう。

 信州の追分宿から始まって近江の国の鳥居本まで、70数か所あったとされる宿場町。最初の宿場は、小諸宿だと言われています。城下町でありながら、宿場町の側面も併せ持つ小諸の街。果たして、往時の町の面影はどれほどれほど残っているのでしょう。期待を半分胸に秘め、市街地に迫ります。

 

 

 四ツ谷交差点

 国道18号から国道141号へと進路を変えた街道は、しばらくして、四ツ谷の交差点を迎えます。5叉路に交わるこの交差点、街道は、向かいに見える信号から、直ぐ左に下る旧道です。

 少し分かりにくい道ですが、地図を見てしっかりと行く先を確認します。

 

四ツ谷交差点。街道は、赤が灯る歩行者用信号のすぐ裏手の道。

 

 旧道は、丘の斜面が削られてできたような細い道。左には、開発地の擁壁が迫る中、右方向は荒れ地のようなところです。

 

※丘を下るようにつけられた旧道。

 

 乙女(おとめ)

 坂道を少し下ると、やや広めの県道に当たります。街道はここを右折して、今下りてきた丘の先へと向かうように、迂回しながら上ります。

 一方で、県道を左に下ると、JR小海線と、しなの鉄道線乙女駅があるようです。小諸駅から2駅東になりますが、それほどの距離の開きはありません。

 この辺り、駅名にもあるように、乙女と呼ばれる地域です。上り坂の街道は、右手には古くからの民家が連なり、左手は農地の先に新しい住宅が並んでいます。

 

※乙女の地域を進む街道。

 

 旧道の坂道を上り進んで丘の上に行き着くと、右側から、先ほどの国道141号線が接近します。その後街道は国道と合流し、少しの間、国道伝いに歩きます。

 

※国道141号線と合流します。

 

 唐松の一里塚

 国道伝いにしばらく進むと、やがて、唐松の交差点に入ります。この交差点、国道が箒状に3方向に分かれています。どうも、左の道が国道で、右側はバイパスのよう。そして、中央が、北国街道の旧道です。

 この交差点を見ていると、街道とバイパスの間のスペースに、こんもりとした塚のような盛り上がりがあるようです。どこかで見たような、街道沿いの塚の姿は、一里塚かも知れないと、期待しながら近づきます。

 

※唐松の交差点と一里塚。

 塚の方に近づくと、「史跡 唐松一里塚」の表示です。やはり、これは一里塚だったのです。

 先にあった平原の一里塚は、標識と石像のみがあったのですが、ここは、塚の姿を残しています。北国街道の沿線で、初めて目にした一里塚。少し感慨を覚えたものでした。

 ただ、よく見ると、バイパスの道を挟むように、塚は2つ並んでいます。旧道を挟まない一対の一里塚。理由は分かりませんが、おそらく、街道か一里塚のいずれかが、位置を変えているのでしょう。

 

 旧道へ

 私たちは、3手に分かれた中央の旧道へと進みます。道幅は一気に狭まり、蛇行しながら丘陵地を上ります。

 

※旧道に入った街道。

 

 丘の上へと向かう道は、幾つかの細い道と合流しながら次第に市街地に近づきます。道沿いは民家が並び、古くから町並みが形成されていたような、旧市街地の風景に変わります。

 

※次第に市街地に近づく街道。

 

 荒堀交差点

 坂道の途中では、先ほど別れたバイパスの道とも合流し、片側1車線の主要道路に入ります。

 そして、次に通過したのが、荒堀の交差点。まだ、緩やかに傾斜のついた道ですが、それほどの負担感はありません。この日は、追分宿から始まって、ほぼ下り通しの道だったので、体力的にはまだ大丈夫。ゆっくりとした上りの道を、小諸の宿場を目指して歩きます。

 

※荒堀の交差点。

 

 小諸宿

 荒堀の交差点を通り過ぎると、街並みは少し変化してきた様相です。道幅は、そこそこ広い幹線道路の状況ですが、道沿いの建物は木造仕立てが目立ちます。老舗のような小さなお店が点在し、小諸の宿場へと足を踏み入れた感覚になりました。

 

※小諸の宿場に入ったような感覚を覚える町並み。

 

 バイパスの延長上の幹線道路を進んで行くと、次第に、宿場町の雰囲気が漂う町並みへと変わります。

 道こそ、新しく整備されてはいるものの、町並みは、往時の面影を残こす努力が感じられるところです。

 途中、「与良館(よらかん)」と記された趣ある建物や年代物のお屋敷なども目について、宿場町の僅かな余韻を感じ取ることができました。

 

※小諸宿の様子。右手前の屋敷が「与良館」。

 

 小山家住宅

 「与良館」前を通り過ぎてしばらくすると、今度は道の左手に、立派な塀と門構えが見えました。門のところの案内には、「小山家(江戸初期の建物)」との表示です。この門の奥にはお屋敷もあるようで、説明書きには、「400年以上前に建てられたもので、東日本に現存するもっとも古い民家のひとつです。」と書かれています。

 所々に残された、古い建物を眺めながら街道歩きを続けます。

 

※小山家住宅の立派な門と塀。

 

 荒町交差点

 街道は、やがて荒町の交差点を迎えます。この辺りの町並みは、歴史的な建物は消え、どこにでもあるような、ごく普通の街中の風景です。

 道はこの先で、緩やかにカーブを描いた下り坂に入ります。

 

※ごく普通の街並みへと姿を変えた荒町交差点辺りの風景。