琵琶湖岸
竹生島に続く札所は、滋賀県の中央部、近江八幡の湖岸近くの第31番長命寺(ちょうめいじ)。琵琶湖の近くにそそり立つ、崖地の上に境内を構えています。
琵琶湖の岸は、奥琵琶湖を除いては、概ね平地のところが多いのですが、ここ長命寺がある場所は例外です。険しい崖地が湖岸にせり出し、人々を簡単には寄せ付けない厳しい地形を作っています。元々、琵琶湖の周りは幾つもの内湖と呼ばれる入江があって、今とは随分その様子は異なっていたようです。平地と言っても、それほど広範囲ではなかったのかも知れません。そのような風景も、いつの日か、食糧増産の政策で内湖は干拓されて、平地へとその姿を変えました。
入り組んだ地形だった琵琶湖の湖岸。長命寺がある場所は、昔から、その姿を大きく変えることはありません。湖近くの門前下から808段の石段を上り進んで、長命寺山の中腹にある境内へと向かいます。
駐車場
長命寺へと向かうには、南側からアクセスするのが正解です。位置的には、近江八幡市の北東にあり、市街地から湖岸に出れば、迷うことはありません。ただ、彦根市方面からのアクセスは少し注意が必要です。崖地を通る道もあり、事前によく確認しておくと良いでしょう。
とにかく、湖周の道を辿りながら、長命寺の門前下を目指します。
門前下に近づくと、琵琶湖には長命寺の港があって、バスの転回場所などがありました。参拝者の駐車場は、どうも、琵琶湖とは反対の山手側。ちょっとした空き地があって、そこに、何台かの車が置かれています。
私たちは、僅かなスペースを探し当て、車を停めさせていただきました。
※湖岸の道を南方向に見た様子。左手が門前下で右は長命寺港。
実は、長命寺の駐車場は、崖地の中腹にも設けられてはいるのですが、そこまで車で向かってしまうと、808段の石段を上ることができません。
ここは、御利益を優先し、辛い石段を上り進むことになりました。
車を停めると、向かいには小さなお店。お土産屋さんのようですが、簡単な食事なども頂けそうなところです。
この辺り、日吉神社の鳥居を始め、石灯籠や石柱などが建ち並び、門前の雰囲気が漂います。
※長命寺の門前下。
長命寺の概要
石段の入り口付近に近づくと、まだ新しい長命寺の案内板がありました。ごく簡潔にこの寺院の概要が紹介されていますので、先ずその内容を紹介したいと思います。
「湖岸のそばから808段といわれる長い石段を登ると、諸堂の屋根の線が美しく重なりあっています。千手観音を本尊とし、聖観音・十一面観音・毘沙門天など多くの国指定の重要文化財が安置されており、その他建造物のすべてが国あるいは県の指定文化財になっているという由緒ある寺院です。」
※長命寺の案内板。
石段の風景
石段に近づくと、「西国三十一番札所 長命寺」の石柱です。そしてそこから、延々と、石の階段が続きます。
※石段の入口。
石段の両脇には、ところどころに石仏やお地蔵さんが置かれています。長い長い年月の中、風雪に耐え偲んできたような、重みのある姿を残しています。
※石段脇の石仏など。
石段は真っ直ぐに、あるいは時に方向を変え、崖地の上へと続いています。頭上には、木々の枝葉が生い茂り、直接日差しはあたりません。やわらかい木漏れ日が気持ちよく注いでいます。
※木々に覆われた厳しい石段の様子。
何段ほど上った辺りなのでしょう。石段の上方に、踊り場的な平坦地が見えました。そこには、小さな小屋と少し変わった門柱です。僅かながらも、足休を休めて、また続く石段に挑みます。
※少し変わった門柱が見えます。
この先は、真っ直ぐに急な石段が続いています。ところどころで足を休めて、少しずつ標高を高めます。
※真っすぐに続く石段。
禅林院
かなりの石段を上り進んだところには、年代を感じさせる土の塀がありました。この塀の様子を見ると、かつて、この奥のところには、何らかの建物が建っていた様子です。地図で確認してみると、禅林院とも書かれています。
朽ちかけた漆喰の塀を眺めて、悠久の時の流れを味わいながら長命寺の境内を目指します。
※土の塀を見ながらさらに上を目指します。
境内近くの駐車場
やがて、長命寺の境内に近づくと、左手に駐車場が見えました。湖岸の門前下から、つづら折れの坂道を車で来るとこの駐車場に入れます。ここで車を停めると、長命寺は目と鼻の先。たくさんの参拝者がここから境内へと向かいます。
なお、この駐車場には、休憩場所やトイレなども整備され、有難い施設です。
※トイレなどが整備されている境内近くの駐車場。
境内へ
境内近くの駐車場から残る石段を上ります。あと、およそ100段ほどで、境内に入れそう。正面上には門柱が建ち、その奥にはお堂の姿も見られます。
※境内近くの駐車場から残る石段を上ります。
門柱を通り過ぎると、がっしりとした石段がジグザグに続きます。本堂は、この石段を上り詰めた先のよう。最後の力をふり絞り、第31番札所へと重い足を運びます。
※境内への最後の石段のアクセス。