浅草
浅草にある、浅草寺の雷門。その正面に延びる道が、日光道中だということを、今回初めて知りました。これまでに、何回か足を運んだ浅草寺。日光道中の道筋にある、歴史ある寺院だったのです。
この浅草寺、朱塗りの門と大提灯のある一角は、誰もが知る、東京を代表するスポットです。江戸時代の旅人達も、日光へと向かう途中で、雷門を目に納め、手を合わせていたのでしょう。
街道は、浅草寺から隅田川の方向へ。雷門のすぐ前で、進路を東に転換します。
蔵前へ
神田川を越えた後、街道は、蔵前に向かいます。道沿いは、相変らず、幾つものビルが建ち並び、事務所やお店が連なります。
街道の少し右には、隅田川の流れです。幾つかの橋を示した標識を、ひとつずつ確認しながら歩きます。
※蔵前の街に近づきます。
街道は、やがて、厩橋(うまやばし)の交差点を迎えます。この右側で、隅田川を渡るのが厩橋なのでしょう。
この辺りが、蔵前の街。幾つものお店が集まって、賑やかなところです。
※厩橋交差点。
駒形橋
車が往き交う主要道路の歩道に沿って、さらに北へと進んでいくと、今度は、駒形橋西詰の交差点。
ここは、5叉路になっていて、街道は、斜め左の方向です。これまでの主要道路は、国道の6号線。国道は、この交差点を直進し、その先で、再び街道と出合うことになるのです。
※橋西詰交差点。斜め左(写真では中央)の道の奥には、雷門が望めます。
交差点を通過中、右手を見ると、青空に突き刺すようにそびえ立つ、スカイツリーの姿が見えました。地方の者にしてみれば、実際にこの塔の姿を目にすると、興奮と感動を覚えます。
何とも、迫力のある光景を目に焼き付けて、浅草寺へと向かいます。
※スカイツリーと駒形橋。
雷門へ
交差点を越えたところは、浅草寺の駒形堂。渋い朱塗りの小さなお堂が印象に残ります。私たちは、ここで手を合わせ、道中の安全を祈ります。
※浅草寺駒形堂。
駒形橋西詰の交差点から、斜め左に進んでいくと、正面の前方に、雷門が見えました。徐々に近づく雷門。次第に人の数も増してきて、独特の雰囲気を放っています。
やがて、雷門の交差点に入ってくると、新型コロナの影響が、まだ残っているにもかかわらず、溢れんばかりの人だかり。付近の歩道も、普通には歩けないほど、混雑した状態です。
※雷門交差点から見た雷門の様子。
交差点の右手には、スカイツリーがそびえています。
街道は、この交差点を右折して、スカイツリーの方向へ。ごった返す歩道の中に踏み込んで、人をかき分け進みます。
雷門の東に続く商店街、人の波をかき分けながら、歩道に沿って東へと向かいます。
しばらくすると、ここも、五叉路の吾妻橋交差点。街道は、ここで、先の国道と合流です。
※吾妻橋交差点。多くの人が往き交います。
南千住へ
国道と合流した後、しばらくは、賑やかな歩道に沿って歩きます。やがて、人ごみも和らぐと、中層のマンションなどが建ち並ぶ、落ち着いた街並みに変わります。
※少し落ち着いた雰囲気の国道。
国道は、その先で、言問橋交差点を迎えます。右手には、一段と見事なスカイツリーを眺めながら、この交差点を斜め左の方向へ。
ここで、国道とは別れを告げて、南千住に向かう道に入ります。
街道は、さらに落ち着いた街並みへ。車道を走る車の量も、随分と減ってきた感じです。
※南千住に向かう道筋。
しばらく進むと、浅草高校前交差点。ここには、「よしのはし」と記された、小さな橋が架かっています。川の流れは無いようですが、地中には、かつての川の名残りがあるのかも知れません。
※浅草高校前交差点。
街道は、やがて、泪橋(なみだばし)の交差点を迎えます。ここから先は、荒川区南千住に入ります。
※泪橋交差点。
思川と涙橋
泪橋の交差点を渡っていくと、歩道の際に、「思川と涙橋」と記された案内板がありました。
そこには、泪橋の由来について、次のように書かれています。
「思川と小塚原縄手(日光道中)が交差する所に架かっていた橋が涙橋。泪橋とも書く。橋名の由来は、小塚原の御仕置場に赴く囚人たちが現生を去るに際して涙を流しながら渡ったからとも、囚人の知人が今生の別れを惜しんで袖を濡らしたからだとも伝える。」
そう言えば、東海道を歩いた時も、立会川に架けられた、泪橋がありました。鈴ヶ森刑場に送られた、囚人達の分かれの涙。江戸の町の南と北に、悲しい地名が残っています。
※思川と涙橋の案内板。
南千住
泪橋を過ぎた後、しばらくすると、常磐線の南千住駅が正面に。ここは、歩道橋を利用して、鉄道の軌道を渡ります。
※南千住駅に架かる歩道橋。
少し複雑な感じの歩道橋を渡り切り、概ね、真っ直ぐに続いていく、道筋に戻ります。
この辺り、東京メトロの駅もあり、賑やかさが少し戻ってきた感じです。
※歩道橋を下り、街道道に戻ります。
街道は、この先で、大きく西側に蛇行した、墨田川の川越しです。ここからは、芭蕉の影も追いながら、道中を進みます。