旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[東海道]99・・・茅ケ崎から藤沢宿へ

 茅ケ崎

 

 茅ヶ崎(ちがさき)は、湘南海岸を代表する都市として有名です。サーフィンのメッカとして、また、オシャレな海岸の街として、多くの人が集います。

 この茅ヶ崎の海岸線から、1Kmほど内陸側に、JR東海道本線が軌道を延ばし、そのさらに内側に、国道1号線が通っています。古くからの街道は、概ね、この国道に沿った道。松の並木が今も残り、新しくも、由緒ある空気を感じます。

 茅ヶ崎は、西側の平塚宿と、東に位置する藤沢宿に挟まれた、街道の通過点。その昔、辺りは、湘南の平地が広がる、見通し良い場所だったのだと思います。松の並木の間から、広がる農地に目を向けながら、旅人は、松の木陰で身体を休め、或いは、先を急いで、足早に通り過ぎていたのでしょう。

 

 

 茅ケ崎の中心地

 鳥井戸橋を過ぎたところで、街道は、左に大きく弧を描きます。その後、真っすぐに東に向かい、JR茅ヶ崎駅に近づきます。

 

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※茅ケ崎の中心部に向かう街道。

 

 マンションやビルが目立つ地域に入ると、心なしか、人の通りも増してきたように感じます。交通量も一気に増えて、市街地の中心部の雰囲気です。

 やがて、茅ヶ崎駅前交差点。ここを右折し、少し進んだ先のところに、JRの茅ヶ崎駅があるようです。

 

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※左、茅ケ崎郵便局前交差点。右、茅ヶ崎駅前交差点。

 

 一里塚

 茅ヶ崎駅前交差点の東隣は、一里塚交差点。この交差点の右隅に、茅ケ崎の一里塚がありました。

 これまで、街道歩きをしてきた中で、”一里塚”と名付けられた交差点は、あまり記憶にありません。旧東海道に設置された124か所の一里塚。交差点の名称として、”一里塚”と呼ばれているのは、ここ以外にもあるのでしょうが、大変珍しいような気がします。

 

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※一里塚交差点。

 

 茅ケ崎の一里塚は、交差点の南東側に、往時の姿を伝えるような、立派な塚が残っています。史跡として位置付けられたこの塚は、大切に保存されている様子です。

 一方で、国道を挟んだ向かいには、小公園が整備され、そこには、「平成の一里塚」と標記された説明板がありました。元々、街道を挟んで一対あった一里塚。道路拡張の煽りを受けて、北側は姿を消したようですが、平成22年のこと、道路の歩道の一角に、小公園が整備され、そこを「平成の一里塚」と呼ぶようになったというのです。

 小公園には、塚は築かれてはいませんが、南側と同様に榎(えのき)などを植栽し、一里塚の証を伝えています。

 

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※左、南側の史跡一里塚。右、北側の平成の一里塚。

 松並木

 一里塚の交差点を東に向かうと、松の並木が現れます。さすがに、国道沿いの並木とあって、今では歯抜け状態ではありますが、それでも、よく残されたものだと思います。

 かつてのこの辺りの風景は、農地の中に、松の並木が緩やかに蛇行して、街道が延びていくという状況だったのだと思います。旅人が、松の根に腰掛けて、広々とした農地を見渡しながら、身体を休めている光景が、目に浮かぶような気がします。

 

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※茅ケ崎の松並木が現れる街道。

 

 街道の道筋は、今は、様々な業種の建物や住宅などが並んでいます。学校などもあったでしょうか。街の中心地から離れていくと、高層の建物は姿を消して、落ち着いた街の姿に変わります。

 

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※東小和田交差点。

 藤沢市

 断続的に、松並木が続く国道を、東へと向かいます。この辺りには、今は、農地などは見られません。住宅や店舗などが建ち並ぶ、近代的な都市の街並みが続きます。

 途中で、立派な並木が現れて、心地よい気分で歩いていると、その先が、茅ケ崎と藤沢の境界です。街道は、その辺りから、藤沢市に入ります。

 

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※左、松並木の街道。右、藤沢市へ。

 四ツ谷

 松の並木が途切れた先で、街道は、国道1号線を右にそれ、県道の44号線に向かいます。この分岐の少し手前に、四ツ谷の一里塚跡があるようですが、今は、上り線の歩道の隅に、標識だけが置かれています。

 私たちは、下り線を辿っていたため、結局、標識の確認は出来ず仕舞いとなりました。

 

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※右の歩道が旧街道のルートだと思います。

 街道は、四ツ谷交差点を右折して、県道44号線に入ります。この先は、住宅が軒を連ねる街並みで、道は、緩やかな上り坂に移ります。

 一方で国道は、この先、藤沢バイパスにつながります。藤沢から北東の方角に、直線的に延びていき、戸塚や横浜方面に向かうのです。

 

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四ツ谷交差点から東へ。

 

 藤沢市

 街道は、緩やかな坂道がしばらく続き、ちょっとした高台の街に入ります。辺りは、住宅地の様相で、路線バスが頻繁に往き来している状況です。

 

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※高台の街に向かう街道。

 

 藤沢宿

 高台の街をしばらく歩いて、その先で、坂道を下ります。坂の左方向には、工場なども見られます。下り坂のその先は、街は次第に賑やかさが増してくるような印象です。

 飲食店やコンビニなどが目立ち始める地域に入ると、歩道上に、「藤沢宿 京見附」と記された、大きな標柱がありました。京見附は、藤沢宿の西側の入口にあたる場所。前の宿場の平塚から、およそ14Kmの距離を歩いて、ようやく、藤沢宿に到着です。

 

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藤沢宿の西の入口。

 街道は、この先で、小田急江ノ島線と交わります。県道は、小田急線の軌道の上を、橋で跨いで越えていき、その先で、もう一度、緩やかな下り坂に入ります。

 かつての宿場町の坂道を下った先が、藤沢宿の中心地。往時を偲んで、この日の最後の道のりを進みます。