旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]50・・・日野宿へ

 日野市

 

 八王子の東隣は、日野市です。関西人にしてみれば、あまり名の通った都市ではないものの、日野自動車の社名については、多くの方が知る名前だと思います。トラックなどの車輌を手がけるこの企業。日野市に広がる台地状の丘陵地に、大きな敷地を有しています。

 日野市には、日野宿があるように、元々は、宿場町だったのだと思います。浅川と多摩川に挟まれて、水運なども発達していた様子です。今は、日野自動車を始めとして、名だたる企業が肩を寄せあう、産業の街。高台に、穏やかに通り抜ける、空気の流れを楽しみながら、日野の宿場へと向かいます。

 

 

 横山宿を後に

 八王子宿の西端に位置する横山宿は、国道沿いの、八王子駅入口東の、交差点辺りにありました。

 街道は、その交差点を左折して、落ち着いた雰囲気の、街の中へと進みます。横山宿があったところは、その入り口のところまで。かつては、そこに、江戸側の入口の、木戸があったということです。

 宿場町を後にして、その先で右折した街道は、さらに閑静な、住宅地へと入ります。

 

※国道裏の落ち着いた雰囲気の街を通る街道。

 一里塚

 静かな道を少し歩くと、「史蹟一里塚趾」と刻まれた、大きな石柱がありました。ここは、竹の鼻の一里塚があった場所。今は、公園の一角に、その痕跡を残しています。

 

※竹の鼻の一里塚跡。

 

 浅川

 静かな街中の道を進んで行くと、その先に、広い道路が現れます。街道は、そこを右折です。ここからの道沿いには、幾つものマンションが立ち並び、車の通りも頻繁です。

 

※マンションが立ち並ぶ、八王子駅の北側の地域。

 

 街道は、やがて、八王子の北を流れる浅川に出合います。そして、そこには、浅川に架けられた、国道の大和田橋。街道は、大和田橋を利用して、対岸に渡ります。

 

※浅川に架かる大和田橋。

 

 日野市へ

 浅川を越えた後、少しの間、右方向の旧道を歩きます。この道は、国道20号線の一筋南に位置していて、その先で、再び国道と出合います。

 旧道の道沿いは、住宅やマンションなどが建ち並び、まさに、国道の裏道という感じです。

 

※大和田橋北詰交差点を右方向の旧道へ。国道も、その北を右へと折れて行きます。

 国道と合流した街道は、しばらくの間、広々とした幹線道路の歩道上を進みます。そこには、銀杏の木が植えられて、八王子の市街地と同様に、銀杏並木を作っています。

 

※銀杏が植えられた国道20号線。

 

 しばらくすると、国道は、右前方に進路を変えて、日野市の中央部へと向かいます。一方で、街道は、真っすぐ延びる県道へ。

 この県道は、日野市の北部に位置する、JR中央本線の、日野駅へと向かう道。目指す宿場の日野宿は、日野駅のすぐ傍です。

 

※高倉町西交差点。街道は、国道と別れ、左側(実際は直進方向)の県道へ。

 

 高倉町西交差点が、国道と県道の分岐点。変則的な交差点を渡りつないで、私たちは、直進する県道に入ります。

 この先の県道は、片側2車線の広い道。緩やかな上り坂を、東に向かって進みます。歩道には、相変わらず、立派な木々が植えられて、見事な並木道を作っています。

 

※立派な並木道の県道。

 日野台

 街道は、少しずつ、高台の平坦な地形のところに近づきます。日野台と呼ばれるこの地域。歩いていると、有名な企業の建物や、工場などが見られます。

 日野台五丁目の交差点にあったのは、コニカミノルタの工場なのか、大きな看板と建物が1ブロックほど続いています。

 

コニカミノルタ前の日野台五丁目交差点。

 

 街道は、その先で、高台の住宅地を通ります。この辺り、県道の左右には、幾つもの住宅団地が、広がっている様子です。

 その昔、甲州道中を往き来していた旅人たちは、この高台から、遠方の山々や、広大な関東平野を眺めながら、足を進めていたのでしょう。今は、建物などが視野を遮り、そのような風景を愛でることはできません。

 ただ、肌に感じる空気感は爽やかで、高台らしい、清々しさを感じます。

 

※日野台の交差点。

 

 日野自動車

 日野台の交差点を過ぎた後、視野の先には、広大な敷地を有する、日野自動車の工場が見えました。

 赤と白のコントラストで描かれた、日野自動車の企業マークは、道行く人を圧倒するほど印象的で、日野市という、都市の名前と相まって、その存在感を高めています。

 

日野自動車前を通る街道。

 

 下り道

 長々と続いた、日野自動車の敷地前を通り過ぎると、街道は、県道から右にそれ、旧道に入ります。Y字状に分岐するこの地点、信号には、日野大坂上の表示です。

 旧道に入った街道は、右手に、学校の敷地を見ながら、落ち着いた雰囲気の、住宅地を進みます。

 

※右方向が旧道で、県道は左へと迂回します。

 

 しばらくすると、街道は、急な下り坂を迎えます。日野市北部の高台から、一気に平地に下るような坂道は、緩やかに高度を上げてきた、西側の地形とは対照的。日野の街を、坂の向こうに見下ろしながら、歩調が一段と速まります。

 

※急坂を下る街道。正面の高架は、中央自動車道路。