日光へ
今回から、再び「歩き旅」のシリーズを始めます。描くのは、五街道のひとつである、日光道中の道筋と宿場町。江戸日本橋から歩き始めて、徳川家康が祀られた、日光東照宮を目指します。
私たちが、この街道を歩いたのは、昨年*1の10月と11月のことでした。まだ、暑さが残る江戸の町を北へと進み、千住から荒川を越えました。その後、武蔵の国の北端の、栗橋で利根川を越え下総(しもふさ)へ。そして、最後の国の下野(しもつけ)です。
下野の国の中心地、宇都宮の宿場の辺りで、街道は、奥州道中との分岐点を迎えます。この追分(分岐点)を北へと進み、その先で、延々と続く杉の並木を歩き進んで、終着点、日光に辿り着くことができました。
関東平野を歩くこと、およそ140キロの道中は、ほとんどが平坦で、他の街道と比べても、歩きやすい道筋です。
東照宮の参詣へと足を運んだ、往時の旅人の影を追いながら、いにしえの道を歩きます。
※旅の途中で入手した、宿場町をつなぐ日光道中の資料です。小山・今市間は2つのルートに分かれますが、日光道中は右ルートとなります。
今回の歩き旅は、江戸日本橋から始めます。日本橋の北詰は、中山道の起終点でもあるところ。これから歩く日光道中も同様に、この北詰が起点です。
久しぶりに訪れた、日本橋の周辺は、大きな工事が進行中。少し興ざめな雰囲気の中、一路、日光を目指して出発です。
※工事が進む日本橋の北詰。
日本橋北詰交差点
街道は、日本橋のすぐ北にある、日本橋北詰交差点を直進です。少しだけ、左側に傾くような直進道路。この道は、中央道りと呼ばれています。
私たちは、この交差点から、本格的な街道歩きのスタートです。
4回目となる街道歩き。思いのほか、緊張感はありません。淡々と、目的地を視野に置きながら、取りあえずは、日光道中最初の宿場、千住の街を目指します。
※日本橋北詰交差点から日本橋を見たところ(左)。右は、その逆で、中央道りを見通します。
中央道り
私たちは、交差点を渡り切り、中央通りを進みます。道沿いは、デパートなどが建ち並び、大変賑やかなところです。特に、三越の名前が目立つこの通り、三越の発祥地なのかも知れません。
※三越デパート前。
歩道伝いにしばらく進むと、多くの人がたむろする、一角がありました。車道を見ると、神輿などがあるようです。法被姿の人たちが並ぶ中、大勢の見物客が、歩道上を埋め尽くします。
提灯は、福徳神社と書かれています。おそらくは、この神社の、秋のお祭りなのでしょう。
人をかき分け先に進むと、右手のビルの少し奥に、福徳神社がありました。このような、街中の一等地にも、静かに佇む神社があるとは、思いもかけないことでした。
※福徳神社のお祭りでしょうか。多くの人が集っています。
室町三丁目南
福徳神社のすぐ先が、室町三丁目南交差点。街道は、ここを右折です。中山道は、この交差点を真っ直ぐに北上し、神田駅の方向へ。私たちは、中山道に別れを告げて、この後、日光道中の道筋を辿ります。
※室町三丁目南交差点。日光道中はここを右折です。
昭和通りへ
中央通りを右折した後、街道は、少し静かな道筋に変わります。相変わらず、ビルが続く道ですが、落ち着いた、オフィス街の様相です。
途中から、車道伝いの駐車スペースも現れて、日本では、あまり見ることのない、道路利用の方法を、目にすることができました。
※昭和通りを目指して東に進みます。
オフィス街をしばらく進むと、昭和通りが、街道を遮ります。頭上には、首都高速1号線。街道は、歩道のところに設けられた、地下道を利用して、昭和通りを横切ります。
※昭和通りの下に設置された地下道の入口。
大伝馬町(おおでんまちょう)
地下道を通り終えた後、引き続き東に延びる街道へ。この先の街並みは、さらに落ち着いた雰囲気です。この通り、歩道には、「大伝馬本町通り」の表示板がありました。
地図を見ると、この辺りが大伝馬町。そして、少し東に向かったところが、小伝馬町となるようです。
※大伝馬町を通る街道。
馬喰町(ばくろちょう)
ビルやお店が続く道沿いを、ほぼ真っすぐに進みます。この辺り、時間帯にもよるのでしょうが、この時は、あまり人通りは無かったような気がします。
街道は、小伝馬町から馬喰町へ。都会の街の裏通り、といった雰囲気の道筋を進みます。
※古伝馬町から馬喰町へと続く街道。
浅草橋
東に向かう街道は、やがて、斜めに延びる大きな道路に出会います。ここを左に進むと、浅草橋交差点。幾つもの大きな道路が、複雑に絡んでいます。
私たちは、地図をよく確認し、しっかりと方向を見極めます。
※浅草橋の交差点。
街道は、浅草橋交差点を、向かい側の歩道へと渡ります。その後、左に進路を変えて、もう一度、この交差点を北に向かって横断です。
交差点を越えたすぐ先に、今度は、浅草橋南交差点。2つの交差点が隣接し、通行をやや複雑にしています。
街道は、ここを真っ直ぐに、北に向かって進みます。そして、そのすぐ先が、神田川。
交差点の名前にあった浅草橋は、この場所にありました。
※神田川に架かる浅草橋。
浅草橋から、神田川を眺めると、たくさんの屋形船が並んでいます。ここから船に乗りこんで、墨田川などを巡りながら、御馳走を頂く光景が、目に浮かんでくるようなところです。
※浅草橋から神田川を眺めます。神田川の向こうは墨田川でしょうか。
*1:2022年。