旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[東海道]113・・・江戸へ

 都心の道

 

 品川駅からの街道は、都心の主要道路に沿いながら、最終地点の、江戸日本橋に近づきます。この間は、これまでから、何回か訪れた場所もありますが、詳しい位置関係は分からず仕舞い。駅と目的地の周辺だけを、点として捉えていたため、地点同士のつながりが、曖昧なままでした。

 それでも、今回の歩き旅を行う中で、品川・日本橋間の、距離感や位置関係が分かったような気がします。

 東海道の歩き旅、いよいよ、最終章に向かいます。

 大きなビルが所狭しと建ち並び、車や人の動きも、絶えることはありません。道筋は、その昔、街道が通っていたとは、想像すらできない光景です。往時の姿はどのようなものだったのか。思い描くことさえ叶わない、巨大な、首都の街が広がります。

 

 

 高輪(たかなわ)

 品川駅を通り過ぎると、かつて、高輪プリンスホテルがあった、建物前を通ります。今も、この建物の裏側には、グランド・プリンスホテルがあるようですが、時の流れを感じます。

 わずかに、北に進んで行くと、間もなく道路標識は、「高輪ゲートウエイ駅」の表示です。2020年、新たに開設されたこの駅は、品川駅とは目と鼻の先。1Kmも離れていないように感じます。

 私たちが歩いた時(2021年10月)は、駅前の整備工事が大々的に進められ、辺りはまだ、混沌とした状態でした。

 

※高輪の街。右手先の奥が高輪ゲートウェイ駅。道路標識も駅の表示が出ています。

 道沿いに置かれていたのは、「港区旧町名由来板」。そこには、高輪の地名について、次のような記載がありました。

 

 「この地は海より眺めて高台の縄手道から「高縄手(たかなわて)」と称されていましたが、転じて「高縄」から「高輪」となりました。古くから海沿いに民家が点在していましたが、江戸初期に幕府が参勤交代のために東海道を整備し、これにより街道沿いに町が広がっていきました。」

 

※歩道上に置かれていた「港区町名由来板」。

 札の辻

 高輪ゲートウエイ駅を右に見て、しばらく進むと、道は二手に分かれます。斜め左に向かう道が国道1号線。その先は、皇居の桜田門につながります。

 道なりに、右方向に弧を描いているのが、国道15号線、通称、第一京浜道路です。街道は、この道を辿りながら、新橋へと向かいます。

 

※国道1号線と枝分かれする手前の状況。

 

 国道1号線と枝分かれする交差点は、札の辻と呼ばれています。そして、この辺りの地名が田町です。山手線の田町駅も、交差点のすぐ東側に位置しています。

 札の辻交差点を越えた所の歩道には、「芝地区旧町名由来板」とともに、「札の辻」と記された、案内板がありました。

 

 「江戸時代のはじめ、ここに高札場が設けられて、布告法令などが掲示されたところから札の辻と呼ばれるようになりました。元和2年(1616)には、芝口門をここに建てて江戸正面入り口としての形式を整えました。この門は「日暮御門(ひぐらしごもん)」といわれましたが、これはこの東がすぐ江戸湾に接し、海を隔てて房総の山々を望む、1日眺めてもあきない景色であったためといわれます。」

 

 高札場も芝口門も、江戸時代の途中には、他の場所に移されたとのことですが、今もこの地を、札の辻と呼び続けているのです。

 

※札の辻の案内板。

 

 札の辻を越えた先で、再び大きな交差点を迎えます。そこは、芝四丁目の交差点。右手には、JRの高架の軌道も見られます。

 この辺りは、港区の芝と呼ばれるところです。有名な、増上寺がある芝公園や、東京タワーのすぐ近く。東京湾にも、至近距離のところです。

 

※芝四丁目交差点。

 

 街道は、芝四丁目交差点を過ぎた後、方向をやや北向きに転じます。道沿いは、相変わらず、大きなビルが並んでいます。道路標示は、日本橋まで4Km、銀座まで2Kmの位置を示しています。

 

※芝の街を通る街道。

 

 浜松町

 しばらくすると、街道は、人通りの多い交差点に入ります。大門と呼ばれるこの交差点。左を見ると、東京タワーの姿です。この道をタワーに向かって進んだところに、増上寺の山門があり、そこを潜った突き当りにあるのが、浄土宗大本山増上寺の境内です。

 反対の右方向には、少し先に、JRの浜松町駅。さらに、その先は、竹芝埠頭などがある、東京湾最奥の地域です。レインボーブリッジやお台場も、すぐそこにあり、都心の海辺を楽しめます。

 

※浜松町、大門の交差点。

 

 新橋へ

 街道は、浜松町の街を過ぎ、新橋に入ります。東新橋と記された、歩道橋の地名板。道路標示は、日本橋まで3Kmの地点を示しています。

 道路の前方奥には、鉄道の高架橋が見られます。JR東海道本線などの、幾本もの路線の軌道が、この道路を跨いでいます。

 

※東新橋辺りの街道。

 

 新橋駅

 街道が、高架に近づいたところには、よく、テレビなどでも映っている、新橋駅軌道下の、赤レンガの壁が現れます。レンガに囲まれたスペースには、何軒もの飲食店が並んでいて、夕方からは、大賑わいになるのでしょう。

 街道は、赤レンガに囲まれた、ひとつの、アーチ下のトンネルをくぐります。

 

※新橋駅の南辺りの高架下。

 街道は、この先で、新橋駅の東側、汐留の区域に入ります。そして、その先が銀座です。街道歩きは、ついに、最後の区間を迎えます。