旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[北国街道]25・・・丹波嶋宿と川越し

 犀川

 

 犀川(さいがわ)は、上高地に端を発する梓川木曽路から流れ下る奈良井川を上流に持つ河川です。この川は、松本市辺りから犀川へと名前を変えて、長野市までの深い山中を縫うようにして流れています。長野市に流れ着いたその後は、千曲川に合流し、さらに川幅を増しながら新潟へと下ります。

 急峻な山岳地帯と安曇野塩尻の平地の水を集めながら、ゆったりと流れ下る犀川は、丹波嶋の宿場の先で北国街道と交わります。街道は、篠ノ井川中島に入る前には、矢代の渡しで千曲川を越えました。そして、川中島を過ぎた先で、今度は犀川の川越しが待ち受けます。

 2度にわたる川越しを求められるこの区間、往時の旅は、さぞや大変な道中だったことでしょう。

 

 

 丹波嶋宿

 街道は、丹波嶋の宿場町を進みます。

 浄生庵観音堂を通り過ぎたすぐ先は、丹波島の交差点。街道が真っ直ぐ先に延びる中、左右を横切る立派な道路と交わります。この道路、おそらくまだ新しい道なのだと思います。丹波島の集落は、古くからの宿場町であった場所。その近くには、新しい住宅地が開発されて、車の往来が頻繁になってきたのでしょう。

 

丹波島の交差点。

 

 街道は、丹波島の交差点を直進し、その先で、右方向に曲がります。この屈曲地点の左のところに、小さな神社がありました。鳥居に掲げられた扁額には、「於佐加神社(おさかじんじゃ)」と書かれています。

 

※於佐加神社を左に見ながら街道は右方向に屈曲します。

 右に折れた街道は、今度は、真っ直ぐに東に向けて続いています。この道沿いが、丹波嶋の宿場町の中心地だったところです。

 今では、道幅だけが往時の街道の感覚を残しています。道沿いの建物は、近代的な住宅が軒を連ねて並んでいます。

 

丹波嶋宿の様子。

 

 表札

 丹波嶋の宿場町の前半は、往時の面影を感じるところはありません。それでも、新しい家々には、宿場町での屋号が書かれた表札が掲げられ、何となく過ぎた時代を懐かしむ、工夫を感じたものでした。

 

※新しい家の表札は、「丹波嶋宿 だいこくや」と表示されています。

 

 宿場町の風情

 しばらく、東に向かって進んで行くと、やがて、左手に高札場が見えました。御触書などが掲げられた高札場。見事な状態で残っています。

 そして、高札場の隣りには、少し貧弱な塀が残っています。この奥にあったのは、宿場の脇本陣だということです。

 この辺りの一角は、少しだけ、宿場町の雰囲気が感じられるところです。

 

※宿場町には高札場が残っています。

 

 高札場を通り過ぎ、しばらくすると、今度は立派な門構えがありました。この門は、修復されたもののようですが、門の脇に建てられた説明板を見てみると、「丹波島宿本陣 柳島家」と書かれています。

 この奥にあったのが、丹波嶋宿の本陣です。今は一般の住宅がその敷地に並んでいます。

 

丹波嶋宿の本陣跡。

 

 街道は、もうしばらく東に向けて進みます。そして、その先で、左に折れる分岐の場所に至ります。

 道は、直線状に延びてはいますが、街道は、ここを左折です。

 

※直線状に延びる道の途中で左折です。

 

 丹波嶋宿の遺産マップ

 左折後は、北に向けて進みます。ただ、もうこの道筋のところには、宿場町を思わせる建物はありません。

 途中、細長い緑地のような場所があり、そこには、「丹波嶋宿の遺産マップ」と記された、宿場の地図がありました。

 下の写真をご覧いただければと思います。マップの左下、南から北へと上った街道は、於佐加神社を左に見ながら右折して、東へと進みます。この東進する街道の中ほどに、高札場や旧本陣跡が見られます。そして、しばらくすると、北向にその進路を変えるのです。

 

丹波嶋宿の遺跡マップ。

 

 犀川

 遺産マップを過ぎた後、しばらく北方面に向かって行くと、道は次第に上り坂に変わります。そして、その先が犀川の堤防です。

 そして、犀川の右岸堤防道と交わるところには、立派な石碑が置かれています。

 

※街道は、犀川右岸道路と合流します。

 

 この石碑、「丹波嶋の渡し」と刻まれた、見事な作品です。そこに書かれていたのは、「北国街道 丹波嶋宿 開設四百年記念」との一文と、次に掲げる2つの歌のみです。

 

  まっすぐに かすみたもうや 善光寺  小林一茶

  大江山 ならねと 酒の鬼殺し 売る家もある 丹波嶋かな  十返舎一九

 

丹波嶋の渡しの石碑。

 

 犀川

 街道は、おそらく、この石碑があった辺りから、犀川の渡しによって対岸へと向かって行ったことでしょう。

 現代の道筋には川の渡しはありません。私たちは、右岸の堤防道を下流に下り、主要道路に架けられた、丹波島橋を利用して対岸へと向かいます。

 

犀川の右岸道路伝いに丹波島橋を目指します。

 堤防道をしばらく進むと、丹波島橋南詰交差点に入ります。この丹波島橋の付け根には、立派な常夜燈を模したようなモニュメントがありました。

 私たちは、そこから、橋伝いに対岸へと渡ります。

 

丹波島橋南詰交差点。