旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]17・・・甲府柳町宿へ

 甲府城

 

 甲府市は、山梨県の中心地。かつて、武田信玄が居を構えたところです。甲府と言えば、信玄公。この2つ、どうしても切り離せない関係です。

 そんな甲府の中心地、JR中央本線甲府駅のすぐ傍に、頑強な石垣で囲まれた、甲府城址が残っています。駅前には、信玄公の像もあり、甲府城こそ、信玄公の城であると思い込んでしまうのも、仕方のないことだと思います。

 ところが、その城は、武田氏の城ではないのです。戦国の武田氏が居を構え、拠点としたのは、甲府城から数キロ北に位置している、今の、武田神社辺りです。躑躅ケ崎館(つつじがさきやかた)と称される居館こそ、信玄公のまつりごとの中心地だったところです。

 今残る、甲府城址。この城は、武田氏が滅亡した後、徳川の世になって、築城された城郭です。江戸期には、時の政権を陰で支える、重要な役割を与えられていたところです。

 

甲府市の北、武田家の拠点があった辺りに鎮座する武田神社

 高台を経て

 下今井の町並みを過ぎ、急坂を上っていくと、広々とした高台に出てきます。新しい道が交差する、見晴らしの良いこの場所は、これまでの街道の道筋とは、また趣が異なります。

 交差点を越えたところの右手奥には、お洒落な感じの、食堂などが並んでいます。街道と駐車場の境には、再び、二十三夜塔。やはり、この辺りには、何らかの月信仰が残っているのかも知れません。

 

※高台に出た街道。二十三夜塔もありました。

 街道と富士山

 街道は、この先で、新しい開発地を通ります。整備された道の向こうに、富士の姿もありました。

 やがて、高台は、少しずつ高度を下げて、甲府市方面へと向かいます。行く手には、甲府盆地の街並みも広がります。甲斐の国の中心は、もうそれほど遠くはありません。

 

※左、整備された道路の向こうに富士山が望めます。右、下り坂に入ると、甲府盆地も視野に入ります。

 竜王

 坂道を下っていくと、道は次第に、旧道の雰囲気へと変わります。所々に、石仏などの姿も見られ、街道の面影が感じられる道筋です。

 坂道を下りきって、しばらくすると、JR中央本線の踏切です。この踏切のすぐ左には、JR竜王駅。この辺りは、甲斐市竜王新町と呼ばれる地域です。

 

竜王駅近くの踏切を渡ります。

 

 踏切を越えた後、真っ直ぐに進んで行くと、左手に、球体の石を掲げた、不思議な感じの石像がありました。少し変わったこの古跡、下の写真にあるように、江戸時代の地域活動の拠点の場所を、継承しようとするものです。地域の人の、厚い思いが伝わってくるような気がします。

 

※左、球体の石像。右、古跡保存標識と甲斐市甲州街道の史跡案内。

 

 甲府市

 街道は、竜王新町の交差点で、国道52号線に入ります。この道は、元は、国道20号線だったのか。甲州街道の流れをくんだ、国道の道筋です。

 現在の国道20号線の道筋は、甲府バイパスとして整備され、甲府市の南の地域を回り込み、笛吹市勝沼方面へとつながります。

 

※国道52号線真福寺入口交差点。

 国道と合流した街道の沿線は、しばらくは、新しく整備された街並みが続きます。この辺りは、往時の街道の面影を感じるところはありません。国道の歩道に沿って、一路東に向かいます。

 やがて、中央高速自動車道路の高架下を潜り抜けると、甲府市を示す標識です。いよいよ、山梨県の中心地、甲府市に入ります。

 

中央自動車道路の高架下を潜り、甲府市に入ります。

 しばらく、車が往き交う国道を進んで行くと、右側に、木々が茂る空間が。広い駐車場も整備され、落ち着いた雰囲気のところです。よく見ると、そこは、山梨県立美術館。何となく、芸術の空気感が漂います。

 その後、国道をさらに進むと、道筋は、右に左に蛇行する、街道風の流れに変わり、街並みも、どことなく、歴史を感じる雰囲気が漂います。

 

※曲線を描いて蛇行する国道。

 甲府柳町宿へ

 街道は、やがて、再び整備された街並みに姿を戻し、甲府市の中央部を縦断する、荒川の橋を渡ります。

 行く手には、甲府市の中心部に建ち並ぶ、ビルなどの建物が目に入り、その向こうには、山並みが広がります。

 

※左、荒川へと向かう国道。右、荒川に架かる荒川橋から甲府市の中心部を望みます。

 荒川の橋を渡ると、広々とした国道は、甲府市の中心部へと、吸い込まれていくように、ビルが並ぶ地域へと向かっています。

 街の様子は、それこそ近代的な市街地です。建物は、徐々に高さを増して、賑わいも感じられる街に変わります。

 

甲府の市街地に向かう街道。

 甲府柳町宿

 街道は、ビルが並ぶ街中に入ります。そして、相生一丁目の交差点。そこには、交差点を取り結ぶ歩道橋が設けられ、交通の円滑化と安全性が図られている様子です。

 この交差点を左に折れて、数百メートル向かった先が、JR甲府駅。そして、甲府駅のすぐ傍には、冒頭でも少し触れた、甲府城址の石垣です。

 街道は、甲府城の外側を、大きく回り込むように、その道筋を描いています。

 

※相生一丁目交差点。

 

 甲府柳町の宿場町は、相生一丁目交差点の辺りです。韮崎宿から13Kmの間隔を開け、甲斐の国の中心地に、その宿場町はありました。