旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]14・・・韮崎の道

 韮崎

 

 韮崎(にらさき)の中心部は、少し変わった地形です。西は、釜無川の流域で、東側は、塩川の流域です。市域の中央部分には、2つの川に挟まれた、分水嶺の高台が、南へと突き出します。突き出した高台が尽きる辺りで、2つの川は合流し、甲府盆地の西寄りを一気に南下するのです。

 ウイキペディアの解説では、この高台の丘の形が、長く伸びるニラの葉に似ていることからこの地名が付けられた、との一説も。

 ただ一方で、やはり、この地に植物のニラが茂る光景を、捨て去ることはできません。伊豆には、韮山と言う地名がありますが、この地名からも、植物のニラを連想します。

 甲斐の国と伊豆の国、2つの”韮”がつく町は、何れも、川が近くに流れていて、山が迫る地形です。

 

 

 韮崎の集落

 韮崎市に入った街道は、国道上円井の交差点から、斜め左の旧道へ。韮崎でも、これまでと同様に、集落の道を進みます。

 落ち着いた、集落内の住宅は、美しく手入れされた庭木が並び、街道の景観を盛り上げます。道もゆったりと、流れるように続いています。

 

韮崎市の円井の集落。

 車が少ない旧道は、落ち着いた道筋です。春の季節の、心地よい空気の中を、ゆっくりと進みます。そして、街道は、この先で、再び国道と合流です。

 

※国土と合流する手前の旧道。

 

 釜無川の横断

 国道と合流した街道は、前回にも記した通り、資料によって、2通りの道に分かれます。

 「人力」というサイトが示す道筋は、国道の左に流れる釜無川を渡らずに、国道を横断し、その先の集落に入ります。その後、釜無川の右岸に沿った集落や農地の中を、ジグザグに進むという、複雑なルートです。

 一方、「ちゃんと歩ける甲州街道」の資料では、釜無川を横断し、川の左岸に沿って下る、国道のルートです。この道は、一部の区間で旧道にそれますが、基本的には、国道20号線を辿るため、分かりやすいルートです。

 私たちは、後者の道、国道ルートを選択します。

 

釜無川を横断する国道20号線のルート。

 

 川越え

 釜無川に架けられた、穴山橋を渡っていると、上流側の左岸には、丘が削り取られたような崖地の地形が見られます。市街地近くでありながら、露出した、切り立つ壁を見ていると、恐怖感さえ覚えます。

 風化して崩落したのか、或いは、釜無川の勢いが、底を洗い流したために、崩れ落ちたものなのか。自然の仕業の恐ろしさを、目の当たりにすることになりました。

 一方、穴山橋から下流を見ると、崩落した先線が南に延びる、丘陵地の稜線が見られます。この丘こそが、韮崎を東西に分ける高台です。

 韮崎の宿場町は、高台の先端辺り。川を越え、宿場を目指して歩きます。

 

※穴山橋から下流方向の光景。

 釜無川左岸

 釜無川を越えた先は、河川に沿って真っすぐに南下です。国道20号線のこの道は、美しく整備されてはいるものの、河床との高低差は、それほど無いようにも思えます。川幅があるために、防災上は安全なのか。詳しくは分かりませんが、十分な対策は図られているのでしょう。

 

※少し変わったモニュメントの傍を通る国道。

 

 国道の風景

 この先は、国道の歩道に沿って、ひたすら、南へと向かいます。右手には、すぐ傍に、釜無川の流れです。その向こうは、丘陵地と山々が連なります。

 街道の左には、農地とともに、様々な事業所や空き地などが点在します。

 

※左、街道の右方向の光景。右、国道伝いの街道。

 

 街道は、途中、少しだけ、国道から左にそれる旧道を進みます。この辺り、農地が連なる、のどかな雰囲気のところです。

 

※国道を右に見て、旧道と思われる道を進みます。

 

 祖母石(うぼいし)

 旧道を進んで行くと、やがて道は、次の集落に入ります。上祖母石と表示されたこの集落は、新旧の住宅が入り混じる、静かな町並みが続きます。

 実は、この集落のすぐ右に、釜無川を渡る橋、桐沢橋が架かります。街道の別ルート、釜無川の右岸の道は、この桐沢橋を渡った後に、上祖母石の集落に入るのです。上祖母石の集落で、街道は、ようやく、ひとつの道になりました。

 

※左、集落の入口辺り。右、上祖母石の集落。

 

 新府城

 上祖母石の集落は、左手に、高台の丘が迫ります。この丘の上には、新府城と呼ばれている、城跡があるようです。詳しくは分かりませんが、かつてここに、武田家最後の城郭が、築かれていたということです。

 街道沿いには、赤地蔵と呼ばれる石の碑や、蔵などの建物が残っていて、歴史ある地域であることが分かります。

 

※赤地蔵と街道。

 

 街道は、上祖母石の集落を過ぎ、下祖母石の集落に入ります。ゆったりと流れるような街道筋を、ひたすら、南へと向かいます。

 

※祖母石の集落内を通過する街道。

 国道へ

 やがて、右方向から国道が近づくと、その先で、街道は国道と合流です。旧道と国道が合流する地点には、立派な石碑がありました。

 この石碑、水害の犠牲者を弔うための供養塔。やはり、釜無川の氾濫は、繰り返されてきたのでしょう。

 

※左、国道との合流地点。石碑は、水難供養塔。右、正面から見た水難供養塔。

 

 韮崎宿へ

 国道と合流した街道は、少しの間、国道と共に進みます。そして、次第に、韮崎の宿場町へと近づきます。

 

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