旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]12・・・台ケ原宿へ

 南アルプス

 

 甲州に入った街道は、左手に、八ヶ岳の裾野を眺め、右には、甲斐駒ヶ岳の秀峰や、南アルプスの山々を望みながら進みます。岩盤がそびえるような甲斐駒ヶ岳。頂きの辺りには、真っ白い雪が覆います。さらに、その南には、富士山に次ぐ高さを誇る北岳です。

 見事に連なる南アルプスの山々は、圧倒的な迫力を放ちながら、旅人を、甲州の中心地へと誘います。

 

甲斐駒ヶ岳(右)と北岳(左)。

 

 白州町(はくしゅうまち)

 教来石宿(きょうらいしじゅく)を後にして、甲州の2番目の宿場町、台ヶ原を目指します。街道は、一時的に、国道と合流しますが、その先で、再び旧道へ。落ち着いた景色が広がる、のどかな道を進みます。

 下教来石の境界付近に近づくと、左には、白州総合グラウンド。この辺りから、北斗市白州町の、白須という地域に入ります。

 

※白州総合グラウンド前を通る街道。

 

 白州町には、サントリーの白州蒸留所がありますが、その位置は、街道の右手奥。この道からは見えません。それでも、ウイスキー好きの私にとって、白州という名の響きだけで、ワクワクとしてしまうほど、魅力のある地名です。

 街道は、その先で、国道に入ります。この辺り、両脇には、赤松が生い茂り、まるで、林の中にいるような感覚です。

 

※赤松が茂る中を通っている国道20号線。

 

 前沢

 街道は、この先で、釜無川の支流のひとつ、神宮川を渡ります。川底や河原の石は白っぽく、白州という地名が付けられたのが、分かるような気がします。

 橋を渡ったその先の、前沢上交差点を左折して、再び旧道に入ります。ここからは、白須地域の、前沢と呼ばれる集落です。

 

※前沢集落。

 前沢の集落は、農家のような家屋が並び、その間に、畑地や果樹の畑も点在します。概ね、真っ直ぐに延びる道。ここも、釜無川が造りあげた、バレー(valley)状の平地です。

 

※前沢の集落を通る街道の様子。

 集落の途中には、立派な松が配された、大きな木造の建物がありました。かなり古く、壊れかけているようですが、歴史がありそうな建前です。

 

※大きな木造建物。

 

 白須の中心

 前沢の集落を通り抜けると、一気に農地が広がります。道は、緩やかな上り下りを繰り返し、弓なりに方向も変わります。

 ゆったりとした道筋を台ケ原へと向かいます。

 

※農地が広がる白須地区。

 農地を過ぎると、再び、集落に入ります。この辺りから、白須地域の中心部になるようです。

 

※農地を過ぎて集落に入ります。

 白須地域の中心部には、立派な建物が並んでいます。生け垣や塀を配した木造家屋、それに、なまこ壁の蔵なども見事です。歴史が感じられる道筋は、街道の雰囲気が漂います。

 街道の左側には、白砂山自元寺の案内板。由緒あるお寺のようですが、私たちは、そのまま先を急ぎます。

 

※白須の町を通る街道。

 街道は、やがて、白須下の集落に入ります。道沿いは、新旧の建物が混在しているようですが、何となく、街道の空気も感じられるところです。

 次の宿場、台ケ原宿はもう間もなくのところです。

 

※白須下の町に入った街道。

 一里塚

 住宅が軒を連ねる街道を、ゆっくりと進んで行くと、右側に、「旧甲州街道一里塚跡」と刻まれた、石柱がありました。ここは、台ケ原の一里塚。側面を見てみると、江戸から43里に当たる、と書かれています。

 この石柱、台ケ原地区の方々により、建立されたもののよう。平成17年に設置したとの表記などもありました。

 街道は、この辺りから、台ケ原の集落を迎えます。

 

※台ケ原の一里塚跡。

 

 一里塚から少し進むと、今度は、「甲州海道台ケ原宿」と記された石標です。「みうらや」という小さな石の表示もあって、いよいよ、台ケ原宿に入ったことが分かります。

 前の宿場の教来石から、およそ、5Kmのところです。

 

※台ケ原宿を示す石標。

 

 台ケ原宿

 台ケ原の宿場町は、ほぼ真っ直ぐの道筋です。町の様子は、往時とは、随分変わっているようですが、それでも、何となく、宿場町の面影を感じます。

 立派な門構えのお屋敷や、木造の古い建物なが、ところどころに見られます。

 

※台ケ原宿の様子。

 

 七賢醸造元など

 宿場町を歩いていると、右側に、「金精軒」の看板が掲げられた、立派な建物がありました。ここは、明治になって、信玄餅のお店として開業されたようですが、元々は、旅籠だった様子です。

 なかなか、味わいがある建物で、台ケ原を代表するお店のひとつだと思います。

 

※金精軒と宿場町。

 金精軒から少し進むと、今度は、左手に、それこそ見事な建物が目にとまります。ここは、山梨銘醸株式会社、通称、七賢醸造元。看板も、「七賢」の金文字が迫力を放っています。

 建物の玄関口には、巨大とも言えるような杉玉もありました。

 

※七賢醸造元。

 七賢の建物は、気軽に中に入れます。入り口の右側には、日本酒などの販売所。左を見ると、歴史ある、お屋敷の上がり間です。神棚や古い調度品など、奥ゆかしさを感じます。奥を見ると、幾つもの掛け軸が並べられ、歴史を背負った老舗の気概が伝わってくるようです。

 

※七賢醸造元の内部の様子。

 

 台ケ原の宿場町は、今では、歴史ある建物や構造物が、わずかに残る状況ですが、それでも、甲州道中の中にあっては、宿場町の面影を、良く残している方だと思います。

 私たちは、宿場町の後半へ、そして、次の宿場の韮崎へと向かいます。

 

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