今治へ
西条市の北隣りは、今治市。本四架橋の尾道・今治ルート(通称、しまなみ海道)で本州と結ばれた、四国の一つの玄関口です。
この今治市にも、四国八十八か所の霊場は6か所あって、西条市とともに、多くの札所が集まる地域です。
59番国分寺へ
奥深い山中の横峰寺を出た後は、もと来た道を引き返し、国道11号に戻ります。その後は、国道196号を北に向かって今治市方面へ。
これまでは、この国道、それなりに時間がかかっていましたが、今回は、自動車専用道路が開通していて、”いよ小松IC”から”今治湯ノ浦IC”まで、あっという間のドライブでした。
国分寺は、インターチェンジを下りてそれほど時間はかかりません。駐車場は県道からすぐのところで、周囲にはまだ農地も見られます。この辺りは、今治市の南部にあたり、のどかな景色のところです。
※国分寺境内への入口。
今治市の国分寺は、伊予の国の国分寺。この辺り、その昔には国府が置かれ、この地方の中心地だったことでしょう。
国分寺の正面は、左右に置かれた常夜灯が特徴で、その奥に、少し広めの階段が真っ直ぐに延びていて、巡拝者を境内へと導きます。
階段を上がって、さらに一段高いところに境内は広がります。80番札所で紹介した讃岐の国分寺は、そこそこ広い境内でしたが、この、伊予の国の国分寺は、それほど広くは感じません。
境内の正面奥には、立派な本堂があり、その右側手前が大師堂という配置です。大師堂のすぐ傍には、台座のない、等身大の弘法大師の石像がありました。”握手修行大師”とされるこの石像、いわれはよく分からないものの、握手をすると願いがかなえられると書かれています。
※左、本堂と、その右が大師堂。右、”握手修行大師”の石像。
58番仙遊寺へ
国分寺から、少し北西方向に向かって進むと、小高い山並の麓を縫うような道に入ります。こ辺りの山の一つが作礼山(されいさん)。仙遊寺(せんゆうじ)は、この山の頂上近くに位置します。
途中、ため池の付近には、仙遊寺を示す標識がありました。ここからは、左手方向に延びる山道に進みます。最初はそれほど急な勾配ではないものの、道は次第に急坂に変わります。
そこそこ坂を上ったところの、ヘアピンカーブの左手には、立派に構える仁王門がありました。正規には、ここからの参拝となるのでしょうが、駐車場はまだ上です。
※仙遊寺の仁王門。
仁王門を通り過ぎ、もう一息上ったところには、少し不思議なスペースが。そして、左手には、急な坂道が山の上へと続きます。このスペースは、車の方向を反転させる空間で、安全性が考えられた設計です。
そこから、さらに坂を上がると、その先は行き止まり。そこは、仙遊寺の駐車場となっていて、本堂の裏手にあたります。
※左、駐車場から境内への入口。左が本堂の裏側。右、本堂正面。
本堂の脇をすり抜けて、境内に入ります。まずは、本堂の正面に回って参拝し、境内奥の右手にある、大師堂へと向かいます。境内に生い茂る大木は、太い根を土の上に出しながら自らを懸命に支えている様子です。
仙遊寺の境内は、また、見晴らしの良い位置にあり、今治の市街地と、瀬戸内の絶景が見渡せます。この景色を眺めていると、心が安らぐ気分です。
※境内からの景色。
57番栄福寺へ
仙遊寺から栄福寺までは、わずか5分程度で到着します。位置的には、仙遊寺に向かう山道に入るところにあった、ため池の向こう側。農地と集落が混在する細い道をすり抜て、林の方に進んで行くと、栄福寺の駐車場に到着です。
駐車場のすぐ奥には、比較的新しい宿坊のような建物*1が見えました。その建物の方向から境内に向かうこともできますが、私たちは、一旦道路に戻り、正規の入口へと迂回です。
永福寺の入口には、立派な標石が建っていて、その奥の左手に、弘法大師像がありました。境内は、その奥をU字状に、左に折れ曲がった方向に続きます。本堂は、そこから石段を真っ直ぐに上った突き当り。小じんまりとはしていても、歴史を感じる建物です。
※左、栄福寺入口。右、本堂と境内。
本堂を正面に見て、一段下がった右側が大師堂。境内は、丘の斜面のようなところに築かれていて、それほど広くはありません。
参拝後、境内下の納経所に向かう時、石段を下りたすぐ横の掲示板が目に止まり、そこに貼られたポスターにくぎ付けです。
ポスターや、新聞の切り抜きコピーを見ていると、どうも、この寺院の住職さんは、とても活動的な方のようで、「ボクは坊さん」という本を書いたり、講演活動などを行ったりしておられる様子です。私は観たことはありませんが、本の名前と同じ表題の映画も5年ほど前に公開されているようです。
ここで見たポスターは、まさしくこの映画のポスターで、結構名の知れた俳優たちが顔をそろえておられます。
※納経所前の掲示板。
次の札所は、56番泰山寺。今治市の中心部へと車を走らせます。
*1:調べてみると、宿坊ではなく、寺院の事務所の建物のようです。