旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ12・・・中山道、塩尻峠と和田峠(後編)

笠取峠と芦田宿

 

 和田峠を下りると、信濃路の後半に入ります。信州の山並みを望みながら、長久保宿へ、そして、今度は笠取峠です。この峠の向こうには、立科町にある、26番芦田宿。千曲川に沿った盆地が広がります。

 今回の行程は、塩尻駅から2泊3日、芦田宿がゴールです。

 

 和田宿

 和田宿の入口からは、道は真っ直ぐに延びています。所々に古い建物も見受けられますが、宿場町の面影はあまり見受けられません。それでも、途中、本陣跡辺りから、少し雰囲気が変わります。右に緩くカーブしながら続く街道は、歴史ある家並みの中に、吸い込まれるように延びています。

 

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※和田宿。

 

 坂道を下りながら宿場を通り抜けて行くと、町の出口に、大きな石で造られた「是より和田宿」の碑が。江戸方面からの訪問客には良い目印となっています。

 

 長久保宿

 和田宿を出ると、山際の旧道沿いを進みます。国道142号は右手、川を挟んだ向こう側です。集落を幾つか通り抜けて歩き続けるものの、和田峠を越えてきた体には少し厳しい道のりでした。足も次第に重くなり、休憩の回数が増えていきます。

 中山道は、国道142号と大和橋で合流します。ここからは、長久保方面に向けて、ひたすら国道沿いを歩くことに。途中、歩道が無い区間が続くため、要注意です。

 長久保の入口は、少しややこしくなっています。歩道が無いので戸惑いますが、私たちは、右上に延びる国道142号に沿って進んでいきました。しばらくすると、長久保宿に向かう道が左手に見えてきます。ようやく、この日の目的地が目の前に迫ってきました。

 

 長久保宿

 長久保宿に入ると、街道は真っすぐに延びています。今は、街道の両側は民家となっていて、目立った特徴はありません。やがて右前方に、この日の宿、”濱田屋”*1さんの看板が目に入ってきました。

 長久保宿は、濱田屋のところでT字路となっています。右に濱田屋を見てすぐに右折すると、上り坂の宿場が続き、笠取峠や芦田宿の方向に。右折せずに直進すると、上田市方面に向かいます。

 このように、中山道の宿場町は、直角に曲がるかぎ型状に形成されています。町並みは、この角あたりから、ようやく宿場らしい装いに変わっていきます。

 

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※左、長久保宿の集落へ。右、濱田屋さんと笠取峠方面への宿場町。街道は、写真右手からこの角を右折して正面奥へと進んでいく。

 

 この日は、長久保宿まで、延々と歩き続けて約10時間、28Kmの長丁場でした。

 私たちは、宿でゆっくりとくつろがせて頂き、翌日、残る笠取峠から芦田宿へと向かいました。

 

 笠取峠

 

 街道は、濱田屋の角を曲がり、東方向に延びています。この道は緩やかな上り坂。途中、本陣跡や歴史的な建物、古い民家などが連なり、宿場町の名残を感じます。

 

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長久保宿旧本陣、石合家住宅。

 

 坂道は、少しずつ勾配を増していきます。

 宿場を過ぎると、左手には松尾神社が。何本もの桜が美しく咲き誇っていました。ここからは、笠取峠に向かう急な坂道です。基本的には車道を進みますが、斜面には古道も残っている様子です。

 ヘアピンカーブを幾つか越えて、国道142号に合流します。この後しばらくは、国道の歩道に沿って進みます。真っ直ぐに延びる国道を歩いていると、峠付近に、笠取峠学者村の看板が見えました。

 丘の上には別荘地のような住宅が見られます。学者の方々の住宅地なのでしょうか。

 

 学者村を過ぎると、笠取峠です。この峠は、国道の際にあり、塩尻峠や和田峠とは全く様子が異なります。峠越えの厳しさもそれほどでもありません。街道歩き3日目の体力でも、無理なく越えることができました。

 

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※左、松尾神社。右、笠取峠。

 

 芦田宿へ

 峠からは、しばらく国道を下っていきます。そして、「笠取峠松並木」の案内に従い、右方向の旧道へ。そこからは、見事な松並木が続いています。並木道の後半は、公園になっていて、散策路のような道を進みます。公園には、木々がよく管理されていましたし、モニュメントなども整備され、街道を保存する地元の方々の熱意を感じることができました。

 

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※笠取峠松並木。

 

 松並木を歩き終えると、芦田宿入口の交差点へ。そこを右に入ると、いよいよ芦田宿です。宿場では、本陣跡など、所々に古い建物を見ることができますが、全体として、家並みは時代の変遷を感じます。

 長久保宿から笠取峠を越えて5.5Km、。2日前に塩尻駅を出発しておよそ48Kmの道のりを刻むことができました。

 

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※芦田宿。

 

 宿場の中心部にほど近い所に、立科町役場があります。立科町は、バスの便が良く、行程を組むのに好都合です。北東の方面へは、しなの鉄道上田駅から2つ目の大屋駅に向かうバスがありますし、西は新幹線の駅、佐久平や、中山道の宿場町もある岩村田駅に向かえます。

 

*1:濱田屋は、おそらく、長久保宿唯一の宿だと思います。おかみさんがお一人で切り盛りされているようで、部屋も食事も真心がこもったおもてなしでした。和田宿から長久保宿の間には、少し街道をそれたところに民宿などもあるようですが、濱田屋はお薦めです。