旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ6・・・中山道、三留野宿から福島宿へ(後編)

寝覚の床から木曽福島

 

 中山道木曽川伝いに、上流へ上流へと向かっていきます。寝覚の床から上松宿を経て、御嶽山木曽本宮を望みつつ木曽の中心、木曽福島へ。

 この間、木曽川は徐々に川幅を狭めますが、源流まではまだ遠い道のりです。

 

 寝覚の床

 寝覚の床は、前回少し触れたように、浦島伝説が残るところです。元々、自身で助けた亀の背中に乗って竜宮城へ行き、そこでもらった秘密の玉手箱を開けてしまうという物語が、どうして山深い木曽川の岸に残っているのか不思議でなりません。多分、物語自体が、年代を重ねるに従って変遷し、様々なお話が錯綜して伝承されてきたのでしょう。

 いずれにしても、昔から中山道を歩いた旅人たちは、ここで浦島太郎の伝説を思い浮かべて、微笑んでいたに違いありません。

 

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※寝覚の床。

 

 38番上松宿(あげまつじゅく)へ

 寝覚の床から上松宿までは、それほど遠くありません。宿泊先*1を出てすぐに中山道に入ると、由緒ある建物などが見られ、宿場町のような街道となります。蛇行した道の先には、国道19号をまたぐ高架が。その後、坂道の住宅地を上ります。ほどなく坂を下っていくと車道と合流。上松の町中に入ります。

 ここは、宿場の面影はあまり残っていませんが、本町通り辺りには、少しその雰囲気を感じます。

 上松にはまた、中央線の駅があります。駅前は整備され、商店も幾つか並んでいます。大相撲で優勝した御嶽海の出身地とあって、お店にはあちこちに御嶽海のポスターが貼り付けられていました。

 

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※左、本町通り。右、宿場のはずれ、十王橋付近。

 

 木曽川を進む

 上松宿の次の宿場は福島宿です。福島宿は、木曽の中心地、木曽福島にあります。

 上松の十王橋を出て、舗装された道路の歩道を北に進みます。途中、国道19号と少しの区間合流しますが、中山道は、中央線の軌道下をくぐって直ぐに右方向へ。木曽川の左岸を進むことになります。国道自体は、川の対岸を通っていますので、街道は静かな堤防道が続きます。

 この辺りは、左に木曽川を見てどんどん上流に向かいます。街道の面影はほとんどなく、単調な道のりです。私たちは、ひたすら木曽福島を目指して歩みを進めました。

 途中、木曽の桟(かけはし)辺りでは、紅葉が真っ盛り。単調なウオーキングに、少し疲れた心身をリフレッシュしてくれる景色が広がっていました。

 

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※木曽の桟付近。

 御嶽山木曽本宮

 木曽の桟を過ぎると、沓掛の一里塚です。そして間もなく、今までの堤防道からそれて、右上方に上る細い坂道を上って行きます。その先は、少し分かりにくい道になっています。元々JRの軌道の下をくぐって山すその道に進んでいくようですが、この道は今は雑草や木々が茂って歩くことはできません。やむなく、JRの左すぐ傍を線路伝いに歩きました。

 ほどなく普通の道となり、国道19号に。ここで国道を横断する歩道橋を渡ります。そして、しばらく進むと道の駅です。

 ここは、道の駅木曽福島木曽川の左岸に大きな駐車場を広げたドライブインです。

 私たちはここで小休止。

 渓谷深い木曽川と川を挟んだ山の中腹には、堂々と翼を広げる御嶽山木曽本宮が鎮座しています。対岸から見ると圧倒的な迫力で、遠方からではありましたが、思わず拍手を打ちました。

 

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※道の駅から御嶽山木曽本宮を望む。 

 

 木曽福島

 道の駅を出ると、またしばらく国道沿いの歩道を歩きます。本来、中山道は山すその道のようですが、入り口がわからず諦めました。ほどなく、国道から西に向かう自動車道が現れます。これを進むと御嶽山王滝村に行けるようです。何年か前の噴火事故を悼みながら、私たちはまっすぐ先へと進んで行きました。

 少し歩くと、中山道は国道からそれて、左方向に下ります。左手に下る傾斜と右上方の国道に挟まれるように続く街道を進むと、木曽福島の町が見えてきます。川の両岸に少しずつ建物が張り付き、やがて町へとつながっていきます。自動車道から住宅地裏の路地に入り、再び自動車道に出ると、右手に急坂が。ここを上ると木曽福島駅に到着です。

 木曽福島駅は大きな駅ではありませんが、木曽の中心駅です。駅舎や駅前付近は街道を彷彿とさせる意匠も施されています。

 福島の宿場は駅から少し北に向かったところにあります。今回は、そこまで行かず、木曽福島駅で終了です。

 寝覚の床からおよそ10Km、3時間弱の行程でした。

 

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※左、木曽福島の入口。右、木曽福島駅

  

*1:この日は、寝覚の床にある”ねざめホテル”に宿泊しました。国民宿舎風の宿でしたが、温泉が心地よく、くつろげる宿でした。