旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ7・・・中山道、福島宿から藪原宿へ

木曽川最上流へ

 

 木曽路は美濃と接する山の中から始まり、木曽川の岸に沿って上流に向かいます。そして、藪原宿に迫る鳥居峠分水嶺。今回は、木曽川最上流の宿場を目指します。

 

 福島宿

 木曽福島駅を出て右方向に坂道を下っていくと、福島宿に入ります。途中、坂道からは、木曽川や川伝いに延びる福島の町を眼下に見下ろすことができます。

 宿場は、歴史を感じる家並みがよく残っています。また、かぎ型に折れる街道も趣ある空間です。中山道は、川の左岸*1にありますが、福島の町は木曽川の両岸に延びていて、街道沿いだけではなく、町全体が賑わっていた様子がよく分かります。

 

 

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※福島の宿場

 

 かぎ型の細い旧街道を抜け、木曽川左岸の主要道路に出ると、右手に本陣跡が見えてきます。この道をしばらく進むと右上方向に細い坂道が現れます。ここを上ると福島の関所です。今は、主要道路が木曽川伝いに整備されていますが、昔はおそらくこの崖道が中山道だったのでしょう。関所は、逃げ場のない、獲物を追い詰める仕掛けのような場所に設けられていたのです。

 

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※左、本陣跡。右、福島の関所。 

 

 中山道の中間地点

 福島の関所を過ぎると、国道をまたぐ大きな関所の門が設置されています。町のウエルカム・ゲートのような感じで、木曽福島のシンボルマーク的な存在です。

 私たちは、ゲートを抜けて、木曽川伝いに上流を目指します。しばらくは、国道19号伝いに歩きますが、やがて国道からも離れます。出尻の一里塚を過ぎ、旧道に入ると、のどかな里道に。真っ直ぐに延びるこの道を進んでいくと、道端に案内板が見えてきます。

 実は、ここが中山道の中間点。京の都から江戸を結ぶ中山道の半分の道のりを刻んだことになります。

 

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※左、出尻の一里塚。右、宮ノ腰宿への道中。

 

 

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中山道中間点。

 

 36番宮ノ腰宿へ

 中山道の中間点を過ぎて旧道をさらに進んでいくと、左手に中央線の原野駅。この辺りは、道幅は広いのですが、宿場町のような面影を残しています。

 木曽川の左岸の道をさらに進んでいきます。街道は、川のすぐそばに近づくと、そこが宮ノ腰の宿場です。宮ノ腰は、「歩き旅のスケッチ」の初回に、膳所(ぜぜ)の義仲寺(ぎちゅうじ)のところで少し触れたように、木曽義仲にゆかりのあるところです。

 木曽義仲は、この地で平家追討の旗揚げをしたとのこと。ここには、義仲館という故人を偲ぶ記念館がひっそりと佇んでいます。

 道中この間、休憩できる場所はあまりありません。宮ノ腰も食堂はほとんどなく、唯一、義仲館の前にあった”ともえ庵”が街道のオアシスとなりました。地元の方が素朴な昼食を提供してくださり、ほっと一息つくことができました。

 ここまで、福島宿からおよそ9Kmの道のりです。宮ノ腰には中央線の駅があるため、この日はあまり無理をせず、翌日、再び宮ノ腰から35番藪原宿に向かうことにしました。

 

 木曽川の最上流へ

 翌日、朝の9時過ぎに宮ノ腰駅に降り立ちました。駅からは150mほどで宮ノ腰の宿場です。ここで木曽川に架かる橋を渡ります。橋を過ぎると、先に紹介した義仲館。その後しばらくは、木曽川の右岸を歩きます。山が迫り、川幅も狭まっていきます。途中、猿の軍団に出くわし、先に進むのも躊躇するほど。目を合わせず、恐る恐る通り過ぎていきました。

 巴ケ淵の橋を渡り、再び木曽川左岸の方向へ。ほどなく、国道19号と合流します。そして今度は、国道361号との分岐点。国道361号は、伊那市方面に向かう道です。中山道はそのまま19号のトンネル内に入っていきます。ここからは、ひたすら国道の歩道を進みます。

 

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※左、宮ノ腰宿。右、国道361号との分岐。中山道はトンネル内を進む。

 

 トンネルを抜けても、ひたすら国道の歩道を歩きます。山が迫り、車で走ると急なカーブ道もありますが、歩く者にとっては、変化があって歓迎です。

 やがて、藪原の駅が近づくと、中山道は国道からそれて左手方向に。藪原の町は、山に向かう国道や中央線を右上に見て、木曽川近くの少し開けた空間に広がっています。

 SLが展示された小さな公園を通り、駅の方向へ。この辺りの中山道は、案内を見落とすと、違う道に入ってしまうので要注意です。地図でしっかり確認しながら藪原の宿場に向かいます。

 

 藪原宿

 藪原駅を過ぎてしばらく北に進むと宿場町です。緩やかにカーブしながら宿場に入って行きますが、その後はほぼ直線の町並みです。この町も、かつての面影が残る建物などはあまりありません。それでも、休憩所や案内看板なども設置され、何とか中山道の名残をつないでいこうとの思いを感じます。

 

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藪原宿

 藪原宿は、木曽川の最上流の宿場です。ここからは、分水嶺鳥居峠を隔てて木曽の谷の様相が変わります。

 峠の向こうは34番奈良井宿。馬籠、妻籠とひけを取らない、伝統的な町並みが残る宿場町です。

 宮ノ腰宿から藪原宿まで7.5Km。私たちはこの日、引き続き、難関の鳥居峠越えに挑戦し、奈良井宿に向かいました。その様子は、次回のブログでお伝えします。

*1:「左岸」とは、川の流下方向の左側という意味です。私たちは川の流れに逆らって上流に向かっていますので、この時、川は左手に見えます。