旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

気まま旅のスケッチ4・・・サンミゲル・デ・アジェンデ

 サンミゲル・デ・アジェンデ

 

 サンミゲル・デ・アジェンデは、グアナファトから東におよそ100Km離れたメキシコの小都市です。この街もスペイン植民地時代の面影を残すコロニアル都市。どんな街並みが見られるか、どんな出会いが待っているのか、期待が膨らみます。

 私たちは2つ目の魅惑の街を目指してグアナファトを後にしました。

 

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※左、サンミゲル教区教会。右、サンミゲル・デ・アジェンデの遠景。

 

 グアナファトからサンミゲル・デ・アジェンデへ*1

 グアナファトのバスターミナルを朝9時50分に出発。今回はFTN社ではなく、Primera Plus社のバス利用です。このバスは、2階はありません。普通の長距離バスという内装で、左右それぞれ2列の座席が並んでいます。*2

 バスは、高速道路ではなく一般道を東に向かって進みます。道中には目立った街は無く、なだらかな山あいの風景の連続でした。

 出発からおよそ1時間半、ほぼ時刻通りにサンミゲル・デ・アジェンデのバスターミナルに到着です。

 

 Centroへ

 サンミゲル・デ・アジェンデも見どころは街の中心部にあります。私たちはここでも地元のバスを利用して、Centroに向かいまいした。バス停は、バスターミナル前の送迎道を横断したところにあります。そこには東西に幹線道路がはしっていて、東のカナル通りにつながっています。

 バスはそれほど待たずにやってきました。同乗する方に、「Centro?」と尋ねると、「Sin!」と、心地よい返答。安心してバスに乗り込みました*3

 バスは石畳の道路を走るうえに座席も固く、結構な振動が伝わってきます。それに、途中の停留所でたくさんの乗客が加わり、満員状態で車体を揺らして進んでいきます。

 

 

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※左、バスターミナル。中央はシビカ広場から見たサンフェリぺ・ネリ教会。右は中央の写真に続く街並み。 

 

 Centroと 市場

 15分ほどの乗車で、バスは最終の停留所Centroに到着しました。下車すると、当初想定していたサンミゲル教区教会付近ではなく、上の中央の写真にあるシビカ広場前だったため少し混乱しました。この辺りの街並みは、僅かに埃っぽく感じるほど灰色や茶系統の建物が多く、壁や路面の傷みも目につきます。小ぎれいなグアナファトの街とは少し様相が異なっています。

 行き交う人も地元の方ばかり。メキシコの地方都市の日常がよく感じ取れます。

 シビカ広場の奥を進むとイグナシオ・ラミレス市場が見えてきます。入り口付近には野菜や果物を売る店が集まり、少し進むと民芸品の店舗が現れます。カラフルな陶器、繊細な細工をほどこした装飾品、手作りの手芸品など、目移りするほどたくさんの商品が並べられています。

 サンミゲル・デ・アジェンデは手工業で発展した街として紹介されているように、延々と続く市場は見ごたえ満載です。

 

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※市場の様子

 

 ソカロと街並み

 Centroはシビカ広場でしたが、やはり街の中心はソカロ。サンミゲル教区教会の優雅な姿は圧巻ですし、教会前の広場であるソカロとそれを取り巻く建物には銀行や飲食店が軒を連らね、地元の人たちや観光客が混在する一画です。

 

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 ソカロから少し離れて街並みを散策すると、それぞれの通りには個性的な手工芸品のお店やレストランなどが点在しています。道幅は狭く、車道は石畳というより、ぐり石を整然と並べてコンクリートで隙間を埋めるタイル風。歩道もひと一人がようやく歩けるほどの広さです。

 建物は、歴史を感じさせてくれますが、やはり茶系統の色合いが中心です。出入り口や窓には必ず太い鉄格子。それを見ると街の治安が想起され、ある種の防衛本能が働きます。

 時に歩道に腰掛け、小銭を待つお年寄りの姿が痛々しく感じられる一方、陽気な着ぐるみが観光客を楽しませる光景も。

 

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※サンミゲル・デ・アジェンデの街の様子。

 

 ここも世界遺産の街

 この街はグアナファトと同様、”サン・ミゲルの要塞都市”*4として世界文化遺産に登録されています。グアナファトとは僅か100Kmしか離れていないコロニアル都市が、それぞれ別登録されていることに驚かされます。

 色鮮やかでどこか愛くるしいグアナファトと、落ち着いた色合いの古きが故に親しみを感じるサンミゲル・デ・アンジェ。それぞれが、こちらこそコロニアル都市との主張をしているようで相乗効果は絶大です。

 

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※左、早朝のカナル通り。この道を手前に約1Km進むとバスターミナルがある。右、メキシコ・シティ行きのETN社のバス。

 

 帰路へ

 私たちは、Pila Seca 11 という街中の小さなホテルに1泊し、次の早朝、徒歩でバスターミナルに向かいました。バスターミナルまでの道は幹線道路のカナル通りに出れば下り坂の一直線。朝の新鮮な空気を感じながらの心地よい散策です。

 メキシコ・シティまではグアナファトまで利用したETN社のバスを選びました*5。何せ5時間の長距離移動。少しでも快適なバスの旅が欠かせません。9時10分発のバスに乗りコロニアル都市を後にしました。

 

 グアナファトもサンミゲル・デ・アジェンデも街の人々は優しく、また、エネルギッシュでした。生活感がにじみ出て、メキシコの活気を感じます。バスの中では若者は必ずお年寄りや子供に席を譲りますし、道を尋ねると目的地付近がよく分かるところまで付いて案内してくれます。本来は陽気な国民性なのかも知れませんが、こんな人々の側面も感じ取ることができました。

 民芸品市場でたまたま出くわした一人旅の若い日本人女性は、サンミゲル・デ・アジェンデを気に入ってしまい、「将来、ここに住みたい」と語ってくれました。若者の心をつかむ不思議な魅力がこうした街に潜んでいるのかも知れません。

*1:2019年8月19日

*2:料金は税込みで1人164ペソ。日本円で900円ほどです。

*3:バス料金は1人8ペソ。日本円で約45円です。

*4:実際は、”サン・ミゲルの要塞都市とヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地”、2008年に登録。

*5:料金は1人税込みで605ペソ。日本円で約3,300円。今回、長距離バスはETN社とPrimera Plus 社を利用しましたが、断然ETN社の方をお薦めします。