旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

気まま旅のスケッチ3・・・グアナファト

グアナファトの街を歩く

 

 どこからともなく流れてくるラテン音楽。薄いピンクや水色、淡い茶色など思い思いに彩られた中世の街並み。石畳の小道がくねる坂道。教会や劇場などの芸術的な建造物。そこに溶け込む無数の人々。あるいは散策に興じ、あるいは街角のテーブルで食事やビールを味わい、露店や石造りの歴史を感じる店構えの商店で買い物を楽しむ観光客の姿。

 一方では地元の人々が行き交い、雑踏と呼び込みの音が響く市場。放し飼いににされた犬がさまよい、肉を蒸したようなメキシコ料理の臭い。教会にあふれる人、また人。ファレス通りには一向に進まないバスや車がひしめき合う。そんなグアナファトは、丘に上がって見下ろすと宝石を散りばめたような可愛い街。いつまでも眺めていたい、そんな風景が広がっています。

 

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※左、サンフランシスコ教会。その右の白い建物はドン・キホーテ博物館。ドン・キホーテの黒い像が少し写っています。中央は街中の様子。右は地元の人々が行き交うCentro付近。

グアナファトの概観

 グアナファトの大きな建物は教会や大学、劇場などで、街の中心部のほとんどは2階建てか3階建ての店や民家などです。建物は色彩豊かであっても、ケバケバしさはなく、むしろ落ち着いた雰囲気を感じます。

 道路は狭く石畳が中心で、車が自由に対向できる場所は限られています。何とかすれ違うことができる程度の道幅の道路か、とても車が入り込めない小道ばかりです。もともと、車が行き交う道路など想定外の街づくりだったはずで、人や馬車が往来できれば充分だったのでしょう。ただ、今は地下や丘の麓近くに張りめぐらされたトンネルが車の重要な交通網となっているようです。

 

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※左、ファレス劇場とピピラの丘に登るケーブルカー駅に向かう小道。右は街中の坂道。

ピピラの丘

 街を俯瞰するには、ピピラの丘は外せません。メキシコ独立の英雄と言われるピピラの像が丘陵に堂々とそびえ立つ辺りは、グアナファト屈指のビューポイントです。

 ファレス劇場の左の小道を進むと、左側に民芸品などの露店が現れます。上の左の写真がその場所で、さらにしばらく進むと左手に丘に上がるケーブルカー駅の入り口にたどり着きます。人通りが少ない時間帯は、注意していないと見過ごしてしまうような小さな入り口です。まず、1階の窓口でチケットを購入します。*1次に階段を2階に上がりケーブルカーの到着を待ちます。

 ケーブルカーは十数人ほどしか乗れない大きさで、10分間隔ぐらいに出発します。おそらく込み合う時間帯はよほど待ち時間がかかるのではないでしょうか。

 上の駅に到着すると土産物店などが入ったお店が連なり、さらに階段を少し上がるとピピラ像のある展望デッキに出られます。ここからのグアナファトの眺めは何とも言えない絶景です。

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※ピピラ像とピピラの丘から見たグアナファトの街並み。右の写真に見える黄土色の教会が観光地の中心に建つバシリカ、その奥の白い大きな建物がグアナファト大学です。

 ピピラの丘から街並みを眺めていると、しばし時の過ぎるのを忘れてしまいます。いつまでも見とれてしまうほど何とも言えない悠久の歴史を感じる景色です。

 

街の見どころ

 街の中にはいくつものモニュメントや小さな公園、教会などが散らばっています。石畳の路地には、本当に1人2人がようやく通れる”口づけの小道”の名所もあり、見どころは満載です。

 観光地からCentroに向かうと、イダルゴ市場の大きな建物が目に入ります。この市場は、建物内部には恐らく100店舗近いお店や屋台などがひしめいています。民芸品店や食料品店、日用品店など、まさに何でもそろう市場です。また、建物の中だけではなく、屋外にもテントなどの露店や飲食店が軒を連ね、それこそ喧騒に包まれた世界が広がっています。

 

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※左、写真奥が口づけの小道。撮影スポットとして賑わっています。右はイダルゴ市場の中。

 

夜のグアナファト

 グアナファトは夜も遅くまで賑わっています。街角ではラテン音楽を奏でる楽団が独特の節回しで心地よい響きを披露しているかと思えば、屋外に準備されたテーブルでは多くの観光客がグラスを傾けています。

 住宅地ではランタンの光が幻想的な街を創り上げ、その景色を一望に見てみようとピピラの丘は超満員。

 いつまでも鳴り響くラテン音楽は、メキシコのコロニアル都市にいるのだという現実を感じさせてくれます。

 

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※左、遅くまで賑わう街中。遠方上部にはピピラ像も見える。右は薄暮の街。

世界遺産都市

 グアナファトは”古都グアナファトとその銀鉱群”として世界文化遺産に登録されています。*2もともとスペイン植民地時代に銀の鉱山が発見され、その後の銀の産出により富が集まり街が発展したようです。

 往時の街の姿をそれほど変えずに今に至り、それがまさしく”遺産”に値する価値として認められたのでしょう。

 街自体が世界遺産になることとは、ここまでの遺産的価値がないとなかなか難しいのかも知れません。グアナファトは多くの人がその価値を認める、まさにメキシコのコロニアル都市なのです。

 

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※街角でラテン音楽を演奏するグループ。

 

 

 多くの観光客が訪れるエリアはもちろん、市民が集う街中も含めてグアナファトの街はあまりゴミが目立ちません。街を歩いていると、時々清掃用具を持った方々が目立たないようにゴミ拾いをされていて、街の美化に努めていただいている様子です。

 もちろん、街自体が遺産の維持管理に力を注いでおられるのでしょうが、それを理解し、清掃や音楽、様々なイベントなどで街を盛り上げようとする市民の皆さんの努力を感じることができました。

 

 サンミゲル・デ・アジェンデに向かう

 

  グアナファトの街に別れを惜しみ、次に私たちはもう一つのコロニアル都市、サン・ミゲル・デ・アジェンデに向かいました。グアナファトからは長距離バスでおよそ1時間30分。民芸品の街として紹介される小じんまりとした街の姿に思いを馳せます。

*1:チケットは1人片道30ペソ。往復は割引はなく30ペソ×2となります。

*2:1988年登録