旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[東海道]2・・・草津宿を発つ

 草津追分から東海道

 

 都から江戸を目指して歩くとき、草津宿は大津宿に続く2番目の宿場です。京都三条大橋から蹴上の坂道を上って山科を越え、逢坂の関を過ぎると大津の宿場に入ります。その先は、膳所(ぜぜ)、石山を経て瀬田の唐橋へ。さらに、一里山の小高い丘を越えて進むと草津の宿場に到着です。

 この間は、東海道中山道が重なる区間往時は、大勢の旅人で賑わっていたことでしょう。

 草津宿には、今も、草津追分と呼ばれる街道の分岐点が残っています。ここから右に折れると東海道、真っ直ぐ進むと中山道という地点です。この2つの街道が次に出会うところは江戸日本橋草津追分からその先は、どちらの道を選ぶかで、旅の様相は大きく異なったに違いないと思います。

 

 草津宿は、江戸から数えて52番目の宿場町。中山道では68番目の宿場です。どちらの街道を歩いてきても、あと一息で京の都という場所です。

 今回の「歩き旅のスケッチ[東海道]」は、2つの街道が交わる、草津追分から始めます。

 

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草津追分。

 

 草津の街

 草津宿がある草津市は、滋賀県南部の地方都市。隣接する大津市とともに、湖南地域の市街地を形成しています。交通の便も良く、JR京都線琵琶湖線を利用すれば、大阪からは50分、京都からはわずかに20分という便利さです。

 JRは、草津駅で、中山道方面に進む琵琶湖線と、東海道方面に進む草津線に分かれます。この分岐は、さながら鉄道の追分といったところです。

 草津宿は、JR草津駅の東口を出て、商店街を少し南に向かったところです。今はもう廃川となった、草津川のトンネルを抜けると、左手に追分の道標が現れます。

 

 草津宿

 草津の宿場は、往時の面影が残る建物などはそれほど多くはありません。街の様子は、時代の波に抗えず、その姿を変えてきたという印象です。ただ、追分の道標と草津本陣の建物は良く保存されていて、東海道中山道の分岐点としての役割の重みが伝わります。

 

 草津

 私たちは、草津追分を出発し、東海道を東へと向かいます。追分からしばらくは、緩やかに曲線を描いた街道が延びていて、その先で、国道1号線を横切ります。

 国道を横切る場所は、国道と草津川が十字に交差するところです。元々国道は、天井川となっている草津川の河床の下に築かれたトンネルを通っていましたが、今は、草津川は廃川となっていて、国道部分の堤や河床は取り除かれてしまっています。

 東海道は、国道の手前で草津川の堤防を進むのが本来の道筋のようですが、前述のように、今はもうこの道はなく、歩道橋を渡らなければなりません。

 

 国道を横切ると、右手には、廃川となった草津川の堤防が見えました。少し進んだところには、かつて草津宿に向かう時に利用した、堤防に上がる東海道の坂道が現れて、そこには、東海道を示す道標がありました。

 ただ、この道は既に通行止め。今では、堤防道を歩くことはできません。

 

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※左、草津川に上がる坂道。本来なら、草津宿を出て国道手前で土手道を歩き、この坂を下って来ることになります。右、栗東の方向に続く東海道

 

 栗東

 草津川の堤防を右に見ながらしばらく歩くと、草津市の東隣の栗東市(りっとうし)に入ります。この辺りは、旧街道の雰囲気が何となく残っていて、趣がある道筋です。

 残念なのは、道幅が狭いわりに自動車の往来が頻繁で、歩くには、少し注意が必要なところです。

 

 街道は、東海道新幹線の高架下を潜り抜けると、沿線に古くからの住宅が貼り付きます。この辺り、道沿いに町が開けたような格好で、旅人をもてなす施設などがあったのかも知れません。

 しばらく歩くと、少しスペースが広がった三角地のような交差点(三差路)に差し掛かります。ここからは、真っ直ぐに道なりに延びる道と、左折して北東に進む道に分かれます。この三差路の右手には、再び河川の土手が現れますが、この川は、金勝川(こんぜがわ)と呼ぶそうです。

 

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※三差路の辺り。土手は、金勝川の堤防。 

 

  東海道は、この三差路を左折です。*1街道の様子はこれまでと同様で、古くからの集落がしばらく続きます。

 やがて右手にため池の堤が現れると、辺りは新しい町に変わってきます。この周辺には、国道1号線と8号線の分岐とか名神高速道路の栗東ICなどがあり、交通の要衝です。

 

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※左、三差路を左折して延びる東海道。右、写真右側がため池。

 

 ため池を過ぎ、新しい住宅地を進んで行くと、左手にJR草津線手原駅が見えました。これから先、50番目の宿場である水口宿(みなくちじゅく)の手前まで、この草津線とともに東海道も東へと向かいます。

 手原駅が左に見える交差点の右角には、稲荷神社の境内が広がって、朱塗りの木塀が鮮やかです。また、沿道には東海道を示す新しい石碑や常夜灯が街道の雰囲気を盛り上げています。

 

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※稲荷神社と東海道

 次回は、栗東市手原の町から51番石部宿を目指します。

 

*1:この三差路を道なりに真っ直ぐ進んで行くと、金勝川の右岸の道を上流へと向かう道になるようで、その先には、有名なJRAの栗東トレーニングセンターがあるようです。