旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ22・・・中山道、各務原から御嶽宿へ(前編)

 木曽川を上る

 

 中山道美濃路は、いよいよ濃尾平野から離れ、美濃の山へと向かいます。これまでの平地の道とは趣を異にして、迫りくる山並みと木曽川の豊かな流れを感じながらの、変化に富んだ街道です。

 今回の行程は、「歩き旅のスケッチ2」から書き進めた、中山道の難関に挑む玄関口、御嶽宿が目的地。風光明媚な美濃路後半の街道を歩きます。

 

 各務ヶ原駅を発つ

 今回は、各務ヶ原の駅から出発です。JR岐阜駅から高山線に乗り換えて、各務ヶ原の駅に戻ってきました。

 中山道は、駅前の国道21号線中山道は、今はその道に飲み込まれています。私たちは、国道を東に向かい、濃尾平野北限の、山裾に佇む鵜沼の宿場を目指します。

 この道は、相変わらず車の往来が頻繁です。しばらくは、車が行き交う国道の歩道を歩き、その後、枝分かれした道に入ります。ここからは、車の通りは少し減り、町中の道という雰囲気です。

 

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各務ヶ原駅からの中山道

 

 鵜沼宿

 街道は、少しづつ上り勾配に。ただ、急坂ではなく、緩やかな丘に登るような坂道です。

 やがて、右方向に視界が広がると、その先に犬山城が見えてきました。岐阜城も、中山道からは結構遠方に見えますが、ここ犬山も同様です。街道は、城下から離れた山裾の丘陵地を辿っています。

 

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※左、中山道から望む犬山城。右、鵜沼宿に向かう街道。

 

 52番鵜沼宿(うぬまじゅく)

 街道を進んでいくと、鵜沼の宿場に到着です。

 鵜沼の町*1は、宿場町の発信に力を入れられている様子です。町並みは、古くから残る建物は保存し、新たな建物などは、それなりの意匠が施されています。道標や案内板も充実し、観光誘客への意欲を感じます。

 鵜沼の町は、国道21号線が走り、並行して、JR高山線名鉄線が乗り入れています。いずれの路線も、鵜沼に駅があり、乗り換えも自在です。しかも、名鉄は、次の駅が犬山遊園駅犬山城への最寄りの駅となっています。

 このように、鵜沼の宿場は、犬山城や近辺の観光施設と合わさって、相乗効果のポテンシャルは最高です。街道好きには一見の宿場町だと思います。

 

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鵜沼宿の様子。

 

 鵜沼宿から峠を越えて木曽川

 鵜沼宿犬山城の間には、木曽川が流れています。宿場から犬山城に向かうには、街道から右方向のJR高山線名鉄線を越え、木曽川に架かる橋を渡らなければなりません。*2

 ところが、中山道はここでは木曽川を確認することなく、山道に入ります。そして、この山を越えて初めて、木曽川の姿を見ることになるのです。

 

 鵜沼宿を過ぎると、住宅地になり、道は2方向に分かれます。右に進むと国道21号へ、左に向かうと中山道です。街道は、ここから先、住宅地の中を往く急勾配の坂道に。

 

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鵜沼宿を後にして、この三差路を左手、坂の方向に向かいます。

 

 急坂を過ぎ、住宅が途切れた辺りの左手には、ため池が現れます。その後、再び坂道を進むと、右手に森が迫ります。ここは、うぬまの森と名付けられた、自然公園のようなところです。中山道は、この森の中を通っています。

 うぬまの森の中山道は、入り口の案内が分かりにくいので、注意が必要です。うっかりすると、街道を見誤ってしまいます。

 

 うぬまの森

 森の中の道は、昔の街道の雰囲気です。都を発ち、ここまでの間、自然の地道(じみち)を歩く機会はほとんどありません。振り返れば、63番鳥居本宿を出て、摺り針峠に向かう坂道以来のような気がします。*3

  森の中の街道は、道は狭く、木々が迫ります。人の気配もないために、少し不安な気持ちにもなるところです。1Kmほど、こうした道を歩きます。

 やがて、前方が明るくなり木々が開けてくると、国道21号線木曽川が見えてきます。この国道は、鵜沼から木曽川の蛇行に沿って迂回していて、鵜沼から、山道を貫く中山道は、どちらかと言うと、ショートカット。ここで街道は再び国道と合流です。

 

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※うぬまの森の中山道

 

 国道に入るには、国道下のトンネルを抜ける必要があります。少し変な感じもしながら、狭いトンネルを抜けていきます。

 

 太田宿へ

 国道は、木曽川に沿って延びています。木曽川の堤防が中山道で、川の流れをみながら上流へと向かいます。ひと山を越え濃尾平野を後にして、太田宿がある美濃加茂へ。木曽川と山が迫る街道を進んでいくと、再び町が広がります。遠方右手には、工場群の煙突も見えてきます。

 この辺りは、盆地のような地形で、平地が木曽川を中心にして広がり、市街地が形成されています。

 中山道は、一部堤防道からそれる区間もあるものの、基本的には堤防伝いに続いています。そして、太田宿に近づくと、堤防から左に少しそれ、宿場の町並みの方向へ。

 その導入路辺りには、石碑などが置かれていて、いよいよ宿場であることを知らせてくれています。

 

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木曽川の堤防道をそれ、太田宿に導く道路。

 

 51番太田宿

 太田の宿場に入って少し進むと、本陣跡や脇本陣など、宿場の名残を感じる建物が見られます。太田宿中山道会館も近くにあり、敷地内は駐車場や休憩所、土産物店などもありました。私たちが訪れた当日は、イベントが行われていて、多くの観光客で賑わっていました。

 宿場町は、特に東の区域に、往時の面影を感じるところが沢山あります。この辺りは、ひとつの観光地の様相です。

 

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※太田宿中山道会館の入口。

 この日の行程は、この太田宿まで。各務ヶ原駅から12Kmの道のりでした。翌日は、太田宿から木曽川を渡り、伏見宿を越えて御嶽宿に向かいます。 

 

*1:鵜沼はもともと鵜沼町だったようですが、今は各務原市の一部です。

*2:実は、この橋の上に、現在の岐阜県と愛知県の県境があります。従って、中山道は、ここで愛知県にかなり接近するのですが、愛知県を通過することなく岐阜の山の方向に折れ進んでいきます。

*3:この後、49番御嵩宿から46番大井宿の間の連続した峠越えや、木曽路信濃路などでは、かなりの区間、地道を歩くことになります。