旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ28・・・中山道、追分宿から軽井沢宿へ

 信濃路の最終章

 

 追分宿を出ると、浅間山が大きくその姿を現します。街道は、そのすそ野を東へと延び、碓氷峠(うすいとうげ)に向かいます。峠に向かう山道の入口が軽井沢の宿場町。今では、旧軽井沢の銀座通りとして、若者や観光客で大賑わいです。

 有名人の別荘が点在し、お洒落な町として人気を集める軽井沢。ここも中山道の道中です。

 軽井沢は、しなの鉄道御代田駅辺りから、西軽井沢。追分宿の次の宿場、沓掛宿は中軽井沢。そして、軽井沢宿に近い地域が旧軽井沢と呼ばれているようです。一概に軽井沢と言っても、結構広範囲。街道は、色々な顔を持つ軽井沢の町を縫うように延びていきます。

 

 追分宿を後に

 追分の一里塚を過ぎると、少しの間、国道18号を歩きます。途中、国道沿いにある小学校近くの歩道橋を渡るとき、雪をかぶった浅間山が、その姿を現わしました。

 富士山は、元より日本を代表する名山ですが、浅間山も負けてはいないと思います。中山道から望む山では、近江路の伊吹山木曽路御嶽山とともに、信濃路の浅間山は絶景です。特に雪を頂くこの時期は、いつまでも眺めていたい名山です。

 

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※この浅間山は、中山道の”借宿”の近くから。

 

 借宿(かりやど)

 街道は、すぐに国道から右方向にそれていきます。ここから、さらに右に下ると、しなの鉄道の追分駅です。

 この辺りの街道筋は、借宿(かりやど)と呼ばれるところです。追分宿からそれほど離れていないため、間の宿(あいのしゅく)*1というよりも、追分宿を補完する宿場だったようなところです。

 借宿は、それこそ宿場町の雰囲気です。追分宿が、往時の面影を消しつつある中で、借宿こそかつての面影を今に伝えているようです。

 

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※借宿の町並。

 沓掛宿

 借宿を出て一旦住宅が無くなると、中山道は、道なりに国道18号に吸収されます。ところが、そのまま進んでしまうと、間違いです。道なりの方向は、バイパスで、軽井沢の南に向かいます。街道は、このバイパスを潜り抜け、本来の国道18号方向へ。

 木々に囲まれた国道の側道を少し歩くと、ゆうすげ温泉旅館という建物が現れます。この建物が目印で、右方向の旧道へと入ります。

 旧道は、住宅がまばらな道。やがて、国道に再合流して中軽井沢に到着です。

 

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※左、国道18号の側道。中、ゆうすげ温泉旅館前。右、旧道の風景。

 

 19番沓掛宿(くつかけじゅく)

 中軽井沢には、しなの鉄道中軽井沢駅があり、ちょっとした街の雰囲気です。駅近くを通る幹線道路が国道18号。この道路沿いが、沓掛宿の宿場町です。

 今では、宿場の面影は全くと言っていいほど残っていません。22番岩村田宿と同様に、主要道路の沿道伝いに形成された、商店街に姿を変えているのです。

 追分宿から4Km。途中には、借宿もあるこの宿場町。中山道最後の難所、碓氷峠を目前にして、行程の調整的な機能を有していたのでしょうか。

 

 軽井沢へ

 沓掛宿を出ると、いよいよ信濃路の最後の宿場、軽井沢宿です。

 沓掛宿を後にして、すぐに湯川沿いの旧道に入ります。今となっては、ごくありふれた川伝いの道。それでもこの道は、これまで、長い歴史を刻んできたのです。

 

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※左、国道18号の歩道を渡り、向こうに見える川伝いの道に入ります。右、川伝いの街道。線路はしなの鉄道

 

 川伝いに少し歩いて、小さな橋を渡ります。街道は、そこから林間の別荘地へ。

 小さな橋の上からは、見事な浅間山の姿を見ることができました。この景色は絵に描いたような素晴らしさ。中山道を往来する旅人たちは、きっとこの風景に心を和ませたに違いありません。

 

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※軽井沢に向かう途中、湯川からの浅間山


 橋を渡り、林間の坂道へ。その辺りには別荘のようなお洒落な住宅が点在しています。次第に、軽井沢に近づいてきた空気を感じながら進みます。

 街道は、軽井沢中学校のところで、一旦国道と合流します。そして、国道の歩道を歩いていると、左手に立派な屋敷の跡が見えてきました。

 そこは、近衛文麿の別荘跡。戦前から戦中にかけての政治家で、内閣総理大臣でもあった歴史上の人物の屋敷です。超有名人が憩いの場とした軽井沢。この辺りから、うっそうと茂る木々の中に、重厚な別荘やホテルなどが佇みます。

 

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近衛文麿の別荘跡。

 

 国道を少し歩くと、中山道は左脇に入ります。そこから先は、軽井沢の中心地を目指して緩やかな坂道が続きます。

 道の左右は森のよう。そして、別荘が点在します。やがて、六本辻と呼ばれるラウンドアバウトが。そこは、6差路の交差点です。

 中山道はそこから真っすぐな道の方角。軽井沢の宿場は間もなくです。

 

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※左、国道から旧道へ。右、六本辻の直前。

 

 次回は、軽井沢宿から碓氷峠越え。信州から上州へ。長野県から群馬県へと入っていきます。

 

*1:これまで、何回か触れてきた間の宿です。「歩き旅のスケッチ9」あたりを参考にして下さい。