旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

気まま旅のスケッチ16・・ロッキーマウンテン(後編)

ロッキーマウンテンを後に

 

 ロッキーマウンテンは、カナダからアメリカに連なる大山脈です。私たちが訪れたのは、この山脈のほんの一部分。雄大な自然に畏れるばかりです。

 カナダ最後のシリーズは、山中に広がるアメリカ国境に近い盆地の町、クランブルックから、山脈を東方向に横断して、カルガリーに戻るドライブです。

 

 クランブルック

 フェアモント・ホットスプリングスからおよそ100Km、アメリカ国境から50Kmほどの位置にある、クランブルックの町に着いたのは、午後6時頃のことでした。この日の朝、カルガリーを出て、10時間近くのドライブです。

 クランブルックは、高い建物こそありませんが、平面的に広がるそこそこ大きな町。95号線沿いには、モーテルやレストランなど、沿道サービス関連の施設が連なります。街中には、住宅地や小さな商店街、鉄道の駅などもあります。

 私たちは、この町のトラベラーズ・モーテル・クランブルックで宿をとりました。

 このモーテルは、典型的な北米式。チェックインは、建物端の小さなドアを開け、小じんまりした部屋のカウンターで行います。ドアの開け閉めで鈴が鳴り、それを合図に、奥からおばあさんが出てきます。

 

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※左、トラベラーズ・モーテル。右、クランブルックの95号線。

 トラベラーズ・モーテル

 小さなカウンターに出てきたおばあさんに名前を告げると、 

 「〇〇さんだね。ID*1とクレジットカードをお願いね。」と、優しく話しかけて下さいます。

 そして,パスポートとクレジットカードを渡すと、

 「カナダドルで払うかい? 日本円かい?」

 日本円でお願いします、という返事に、

 「そうかい日本円ね・・・。それじゃあ、▢▢円だね。」、そして、

 「あら、すごくお得だね! あんた、お金がセーブできるね!」*2

 愛想のよいおばあさんとの会話です。

 「明日の朝食、ここに準備しておくから、部屋でお食べ。」との親切な案内も。

 このモーテルは、おばあさんとそのご主人で経営されている様子です。それでも、部屋は小ぎれいで、人気のあるモーテルだと分かります。

 翌朝、朝食を取りに行くと、チェックインをした部屋に色々なパンや果物、飲み物などが準備されていました。ドアの鈴の音で、また、おばあさんが現れると、

 「冷蔵庫がそこにあるだろ。中にジュースが入っているからね。」とのこと。

 気さくで親切なモーテルに、心が和みました。

 

 クランブルックからカルガリーへの帰路

 クランブルックからカルガリーへは、再び93号線に乗り、途中の町、エルコから3号線に乗り換えます。エルコは、アメリカとの国境から僅か20Kmほどの町。アメリカ方面への道路案内も出てきました。

 3号線は、そこから山の中を北東と、東の方向へ進んでいきます。

 

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※3号線からの風景。

 

 3号線を走っていると、山間にファーニーという、これもまた小さな町が現れました。その町の郊外に、観光案内所を兼ねた地域の自然を紹介する施設*3を見つけ、そこで休憩です。

 施設の中には動物のはく製などが展示されていて、迫力満点です。

 

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※ファーニーの施設と、屋内展示。

 

 ファーニーを出ると、再び山間の道が続きます。そして、峠を越え、谷間の景色を抜け出ると、次第に空は晴れ渡ってきました。青空が広がるとともに、徐々に視界も開けてきます。周囲は、丘陵地のような地形に変わり、草原が広がります。

 朝の出発地、クランブルックから200Km、ファーニーからは120Kmほど。カルガリーへの帰路にある、ランドブレックの滝は間もなくです。

 

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※3号線を東へ。

 

 ランドブレックの滝

 3号線沿いの案内版で、ランドブレックの滝の表示が出てきました。案内に従い、右方向の側道を進んで行くと、すぐに滝に到着です。ここには、数十台が停められる駐車場やトイレ、説明版などの施設があり、数組の観光客が美しい滝を鑑賞されていました。

 この滝は、小さな谷川にできた二筋の滝で、落差はそれ程でもありません。ところが、その形は愛くるしく、いつまでも眺めていたい光景です。この辺りは、古くは海底の地層であったらしく、古代魚類の化石などが出るようです。

 想像を遥かに超える年月の変遷に思いを馳せて、自然の景観を味わいます。

 

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※ランドブレックの滝。

 

 カルガリー

 ランドブレックの滝を後にして、昨日の出発地、カルガリーに戻ります。3号線のピンチャークリークという町で遅めの昼食を取ったのち、フォートマクラウドで2号線へ。そこからは一路カルガリー空港を目指して北上です。

 もうこの辺りに山は無く、どこまでも大地が広がる平原です。草原や畑地が大部分を占め、時々小さな町やガソリンスタンドなどの沿道サービスの店が現れます。

 カルガリーに近づくと、車の数が極端に増え、街の中心地近くから空港までは5~6車線のフリーウエイが、車であふれかえる勢いです。しかも、低速度で込み合う渋滞道路ではなく、時速100Km近くで車がひしめきあう高速道路。アメリカの都市近郊のフリーウエイとよく似た状況です。

 

 ドライブの終了

 カルガリー空港からロッキーの山中に入り、山脈の中央部に開けた谷あいの道をアメリカ国境近くまで南下。そして、再びロッキーの山中を東に抜けてカルガリー空港に。2日間でおよそ1000Kmのドライブの旅でした。

 雪を頂く岩の山、針葉樹林、湿地と渓谷、温泉のリゾート、丘陵に広がる草原。

 カナダの自然を満喫したドライブ旅でした。
 

 

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※ドライブルート。

*1:身分証明になるもののこと。ホテルのチェックインでは必須です。また、酒の購入時などにもIDを求められる場合があります。

*2:カナダドルは、1ドル80円ほど。彼女にとってはお得感を感じたのでしょう。

*3:Fernie Chamber of Commerce 、商工会議所なのでしょうか。小さな施設ですが、トイレや観光案内カウンターなどもありました。