旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ26・・・中山道、塩名田宿から追分宿へ(前編)

 佐久盆地から西軽井沢へ

 

 千曲川に隣接する塩名田宿を過ぎると、小高く、なだらかな傾斜の佐久盆地が広がります。視界が開け、遠くには、雪雲がかかる山並みも望めます。

 冷たい空気が心地よい初冬の信濃路。街道は、次第に標高を上げていき、西軽井沢の住宅地を見ながら、林間の坂道に。江戸に向かう中山道の最後の難所、碓氷峠(うすいとうげ)へと向かいます。

 

 見晴らしの良い農地を進む

 今回は、塩名田宿からスタートです。前日歩き終えた、塩名田のバス停留所に舞い戻り、再び街道歩きを続けます。

 バス停留所から少し東に向かったところが、塩名田の宿場の外れです。そこは、信号のある交差点。ここを真っ直ぐに、さらに東に進むと国道へ。交差点を、斜め右方向にそれると中山道です。

 街道は、途中から、少し急な坂道に。丘の上に上るように延びていきます。左手には、古い神社が鎮座して、旅人の往来を静かに見守ってくれています。

 

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塩名田宿を出た後の上り坂。

 

 中山道はこの後、緩やかな丘陵地状の佐久盆地を、僅かずつ上るように続いていきます。ところどころに、新しい住宅が見受けられるものの、農地が広がり、見晴らしが利く風景です。

 左手には、北陸新幹線の軌道が延びていて、その向こうには頂上に雪雲がかかる山並みが望めます。上部が真っ白になった、ひと際高い山は、浅間山でしょうか。美しい山々の景色を愛でながら、岩村田宿を目指します。

 

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岩村田宿に向かう街道の風景。

 

 岩村田宿(いわむらたじゅく)へ

 農地が広がる街道は、やがて集落の中に吸い込まれます。幾つかの趣ある集落を越えると、佐久の街が近づいてきます。

 自動車専用道路の高架下を潜って、市街地方面へ。国道141号を横切った辺りから、中山道は、住宅地の中に入ります。住宅に囲まれた、浅間総合病院のすぐそばを通り過ぎて行く時に、相生の松(あいおいのまつ)が目に止まりました。新しい雰囲気の町中に、歴史を感じる小さな塚。そこには、松とともに、石碑や中山道の道標も。

 皇女和宮が休憩されたとされる、相生の松。街中に忽然と現れた歴史の跡が、少し疲れを癒してくれるように感じます。

 小さな塚を通り抜け、街道は少し湾曲しながら、街中を縫って進んでいきます。

 

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※左、佐久の市街地へ。右、病院のすぐそばを通る街道。追分まで11Kmとの道案内板が建っています。

 

 22番岩村田宿(いわむらだじゅく)

 浅間総合号病院の正面を過ぎてしばらく進み、JR小海線(こうみせん)の踏切を渡ります。その後、街並みは、旧市街地のような家並みに変化して、県道9号との交差点へ。中山道は、この交差点を左に折れ、県道と合流します。

 岩村田の宿場町はこの辺りから。塩名田宿から5Kmのところです。

 岩村田宿は、今は商店街に様変わり。宿場町であったとは思えない街の姿です。

 

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※左、JR小海線を過ぎ、旧市街へ。右、岩村田宿。今は、佐久市の商店街。

 

 この宿場町は、かつての面影を偲ぶことはかないません。そればかりか、街道も主要な県道に飲み込まれ、幹線道路の有様です。道路を挟んで、商店などが建ち並び、佐久市の中心地の様子。近くには、神社やお寺などもあるようですが、案内板が目に入った程度です。

 岩村田は、元々、岩村田城が構えていた城下町だったとのこと。ここの中山道は、その城下町のすぐそばを通っています。

 近江路や美濃路中山道は、城下町から随分離れたところを通っていましたが、岩村田宿は、距離感が少し違う様子です。*1

 

 小田井宿(おたいじゅく)へ

 岩村田の商店街を抜けると、街道は県道沿いに北の方角に延びていきます。建物もまばらになり、自動車が行き交う歩道を歩きます。途中、上信越自動車道の高架下を進む辺りは、佐久インターチェンジがすぐそこに。自動車が頻繁に往来する区間です。

 しばらくして、県道は右方向に。その左手には、ショッピングセンターのような郊外型の商業施設が広がっていました。

 

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 ※この道の左が商業施設。この先右手、道路際の木々のところが一里塚跡です。

 

 商業施設からしばらく進んだ右手には、鵜縄沢端(うなわざわはし)の一里塚跡。さらに進むと、北陸新幹線の高架をくぐり、小田井の集落に近づきます。

 県道は、やがて、旧道と二股に分かれます。小田井は右の方向です。中山道が県道から外れると、道は街道らしい雰囲気に。道幅も少し狭まり、緩やかに湾曲していきます。道沿いには民家が連なり、次第に宿場町らしい家並みに変わります。

 小田井の宿場はもう目前。久しぶりに宿場町らしい雰囲気が漂ってきました。

 

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※左、県道と別れて小田井の集落へ。右、小田井宿の入口付近。

  岩村田宿から小田井宿までは、5Kmの道のりです。この日の朝、千曲川に面した塩名田宿を出発して、10Kmの行程を刻むことになりました。

 この日の予定は、さらに先。北国街道との分岐がある、追分の宿場です。

 

*1:城下町と中山道の位置関係については、「歩き旅のスケッチ19」の後段、小文字の文章で少し触れています。