旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

気まま旅のスケッチ7・・・ラスベガスからグランドキャニオン国立公園へ

 グランドキャニオン国立公園を目指す

 

 華氏110度、摂氏44度に迫る熱波のラスベガスに着いたのは、2019年7月14日、午後1時過ぎの事でした。短期滞在先のカリフォルニア州アラメダ*1からサンフランシスコ空港を利用して、アラスカ航空1904便でラスベガスへ。

 今回と次回は、2泊3日の行程でグランドキャニオン国立公園の南側、サウスリムと呼ばれる一帯を訪れる気ままなドライブ旅のスケッチです。

 

 ラスベガスからザイオン国立公園へ

 

 ラスベガスへのフライトは、事前に聞いていたように、着陸直前には気流の影響を大きく受けました。赤茶色に広がる山肌に吸い込まれるように滑空しながら、荒漠な大地に忽然と現れたオアシスの街に滑り込んで行きます。

 空港からは、シャトルバスでレンタカーセンターへ。*2そこで車を借り、すぐにフリーウエイの15号に入ります。

 きらびやかなカジノを併設するホテルの建物群を横目に見て、北東方面へ。目指すはザイオン国立公園にほど近いハリケーンという小さな街。この日の宿泊予定のホテルがあるところです。

 

f:id:soranokaori:20190920092828j:plain
f:id:soranokaori:20190920092636j:plain

※左、ハリケーンからザイオン国立公園を望む。右、フリーウエイ15号。

 ラスベガスを離れてしばらく進むと人家がなくなり、砂漠のような風景が広ります。時につむじ風が砂ぼこりを巻き上げ、あるいは、熱波に促された上昇気流が風を呼び込んで、低木の枝葉を揺らします。

 延々と変わらない景色が続くユタ州に向けたフリーウエイ。それでも2時間近く走ると少しずつ外の様子は変化していきます。なだらかに広がる低木が点在する山の中腹には、ところどころに古びたキャンピングカーや小屋などの建物も。そこには人の気配も感じます。

 道はいつの間にか坂道となり、急に灰色の岩肌がむき出しになった険しい谷間を進んでいきます。この辺りは、ネバダ州からアリゾナ州の北西角をかすめる地域で、ほどなくセントジョージの街に近づくと、そこはもうユタ州の領域です。

 

 ハリケーンザイオン国立公園

 セントジョーンズの町はずれでフリーウエイを降り、州道9号の坂道を東にしばらく進むと小高い丘の台地からハリケーンの街が見えてきます。途中、工事による渋滞もあって、ラスベガスを出発してから5時間近くが経過していました。

 私たちは、小さな街を見下ろす茶色の荒廃した台地に新しくできたClarion inn & Suites Hurricane Zaion Park Area というモーテル風のホテルに宿泊し、翌日、グランドキャニオンを目指すことにしました。

 このホテルがある台地からは、グランドキャニオンにも引けを取らないザイオン国立公園の峰々を遠方に望むことができます。

 

f:id:soranokaori:20190920103547j:plain
f:id:soranokaori:20190920140705j:plain

※ホテル付近の景色  

 

 ハリケーンからパウエル湖へ

 朝7時*3にホテルを出発し、グランドキャニオンに向かいます。道筋は、ハリケーンから州道の59号を通り、ザイオン国立公園を左に見ながらコロラドティーへ。ほどなくアリゾナ州に入れば389号に番号変更。その後フリードニアという小さな町を越え、89A号を少し北に進みます。ここで再びユタ州に。ユタ州のカナーブという町で89号に右折して東に進みます。

 この辺りは、ところどころにグランドキャニオン風の赤茶けた独特の地形が迫ってきます。大地が何万年もの時間をかけて、垂直に彫り込められた渓谷には、地層が芸術的な模様を表し、岩盤が様々な形に削り取られた峰や崖には二つとない自然彫刻の奇石がその姿を誇示しています。グランドキャニオン国立公園が近づいてきたと何度錯覚したことでしょう。

 

f:id:soranokaori:20190920163018j:plain
f:id:soranokaori:20190920162926j:plain

※パウエル湖への道中の景色

 

 ハリケーンを出発して2時間半、早朝からの長距離ドライブに疲れが見え始めた頃、少し高台の道から坂道を下ったところにパウエル湖の巨大なダムが現れました。

 グレンキャニオンダムと呼ばれるこのダムとパウエル湖が眺望できるコロラド川の右岸には、資料館を含む休憩所が設置されています。長時間のドライブには絶好の位置にあり、多くの観光客が壮大な景色に魅了されながらひと時の休息の時間を過ごしていました。

 

f:id:soranokaori:20190920190735j:plain
f:id:soranokaori:20190920190941j:plain

※左、グレンキャニオンダムとパウエル湖。右、資料館の展示。

 

 グランドキャニオン国立公園はもう間近

 パウエル湖からグランドキャニオンまではもう一息、気を引き締めて運転を続けます。道は引き続き89号。今度はキャメロンを目指して南下です。地図上ではグランドキャニオンが近づいているものの、辺りの景色はこれまでと違って、点在する灌木が砂漠然とした緩い起伏の平原に広がっています。これぞアリゾナとも感じられるような風景でした。

 こんな景色を眺めながら進んでいると、いったいグランドキャニオンはどこに行ったのかと、少し不安になってきます。

 それでも、キャメロンのラウンドアバウトを右に抜け、64号に差し掛かると、あと数十キロで国立公園に到着です。道は傾斜が強まり、車は坂道を駆け上っていきます。

 ここまで来てもグランドキャニオンの姿は現れてきませんが、しばらくするといよいよサウスリムの公園ゲートに到着です。早朝にハリケーンを出発しておよそ5時間。やっと目的地に到着しました。

 

f:id:soranokaori:20190921095041j:plain
f:id:soranokaori:20190921095125j:plain

※左、公園ゲート。右、デザート・ビュー・ウォッチタワー。 

 

 公園のゲートでは、他の国立公園と同様、入場料を支払います。*4

 窓口では、係の高齢女性が「どこから来たの?」と聞いてくれます。「日本から」と答えると、日本語と英語のガイドマップを手渡してくれました。そして、「この先の道を少し進んで右に進むと、ここから一番近いデザート・ビューに行けるから」と道案内してくれました。

 さあ、いよいよグランドキャニオン国立公園。どんな感動が待っているか楽しみです。

*1:気まま旅のスケッチ5で紹介した、サンフランシスコから湾を挟んだ東に位置する街。

*2:空港出口から出ているレンタカーセンター行きのシャトルバスでおよそ10分、センター内にはレンタカー各社のカウンターがそろっています。

*3:ユタ州アリゾナ州の大半はマウンテンタイムゾーンネバダ州のラスベガスとは1時間の時差があります。

*4:料金はヨセミテ国立公園と同じく、7日間有効のチケット35ドルを購入しました。