旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ29・・・中山道、碓氷峠と上州路

 峠を越えて上州へ

 

 軽井沢の賑わいを後にして、一路山道に向かいます。中山道の最後の難所、碓氷峠を越えると、上州です。

 峠から先は、基本的には下り坂。関東平野の奥深く、坂本の宿場に下り立つと、あと一息で江戸日本橋。ようやくゴールが視野に入ってきました。

 

 18番軽井沢宿

 信州最後の宿場町は、軽井沢宿です。この宿場は、今では旧軽井沢銀座として、多くの観光客で賑わっています。

 中軽井沢の沓掛宿から4.5Km。碓氷峠を目前にして、峠越えの準備を整える、重要な宿場であったことでしょう。

 

 この宿場町は、観光地化が進んでいるために、宿場の面影を見かけることはほとんどありません。ただ一部、旅館などの建物が、かすかに往時の空気を漂わせています。

 街並みは、都会の繁華街の様子です。お洒落な店がずらりと並び、人々の活気も感じます。海外からの観光客も多くいて、人気のほどが伝わってきます。

 

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※軽井沢宿の様子。

 

 碓氷峠への上り坂

 旧軽井沢の銀座通りとなっている、軽井沢宿を離れると、街道は、山の中へ。一瞬にして、賑やかな通りは無くなります。山道は、少し分かりにくい道でもありますが、この辺りは遊歩道と一体化され、慎重に位置を確認すれば迷うことはありません。案内板と地図、GPSを頼りに進みます。

 時折、遊歩道を歩く人もいて、地元の方々の良い散歩コースになっているようです。

 

 お断り

 実は、この碓氷峠越え、写真も沢山写していたのですが、iPadの操作不具合で、記録が消滅してしまいました。従って、群馬の横川駅までの行程は、写真抜きとなることをお許し下さい。

 

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※軽井沢の中の中山道の道筋。右上から碓氷峠に向かって行きます。

 

 山中の街道は、所々に急な坂道があるものの、概して、緩やかな上り坂です。ただ、道幅は峠に近づくにつれ、細いけもの道のような姿に変わります。

 林間の、杣(そま)のような道を屈折を重ねて進んで行くと、ほどなく峠に到着です。これまで、美濃路の十三峠や木曽路の馬籠峠や鳥居峠、そして、最難関の和田峠を越えてきた者にとっては、思ったよりも苦労なく、少し拍子抜けの感じがしたものです。

 よくよく考えてみれば、信州自体が山に囲まれたところです。しかも、軽井沢は高地に位置し、既に延々と、少しずつ坂道を上がってきています。峠まで、それほどの上りと感じないのは、当然のことなのかも知れません。

 

 碓氷峠

 碓氷峠の頂上は、これまでの峠とは全く違う光景です。そこは、峠越えの静かな坂道の頂ではなく、一種の観光地。軽井沢から自動車道路も通っているために、たくさんの人が訪れていました。峠には、茶屋や食堂も幾つかあって、大賑わい。ある意味、興ざめではあるものの、峠越えをする者にとっては、ありがたい休憩場所です。

 この峠は、長野県と群馬県の県境。ここを過ぎると、信州ともお別れです。県境の丁度境界線上には、熊野神社が鎮座して、旅人の安全を見守ってくれているようです。

 

 上州路へ

 熊野神社に参詣をした後は、街道は下り坂に入ります。この付近は、何か所かの分かれ道があるために、少し注意が必要です。中山道の案内も、少なかったように思います。道を誤ると、大きなロスにつながるため、慎重に位置確認をして進みます。

 次第に、下り坂は急勾配。しかも、細い道で悪路です。木々が街道を覆い尽くし、鬱蒼とした森の中をひたすら下りに徹します。

 江戸に向かう碓氷峠は、上りの苦労は少ないものの、下りは確かに難所です。これが逆であればと思うと、ゾッとするほどの坂道です。

 

 もうすぐ下界が見えるもの、と、期待しながら歩き続けます。ところが、いつまでたっても山の中。難所と言われる所以です。

 途中、「安政遠足(あんせいとうあし)マラソン*1に関する標識があり、その辺りは、勾配は少しなだらかになっていました。

 

 坂本宿へ 

 それでも、さらに進み続けると、再び急勾配になっていきます。そして、足元も、瓦礫のような石の道。この一角には、刎石の覗き(はねいしののぞき)と呼ばれる見晴らし所が。ここから望む坂本宿は、中山道を見下ろす風景の中でも、最高級のランクです。写真の消滅が悔やまれてなりません。

 

 瓦礫の急坂を下って行くと、ようやく自動車道路が現れます。この道を横切って、さらに木々の中をすり抜けて行くと、やがて、坂本の宿場に到着です。

 

 17番坂本宿

 坂本宿は、緩やかな坂道が真っ直ぐに延びる宿場町です。道幅は広く、往時の面影はほとんど残っていません。江戸から都に向かうときには、碓氷峠を目前に控えた宿場町。かつては、大賑わいだったことでしょう。

 これまで見てきた宿場町。一直線に近い宿場もありましたが、坂本宿ほど一貫した直線系の宿場町はあまりなかったような気がします。

 軽井沢から、碓氷峠を越えて、10Km。この区間は、山中の急坂を往来する、名実ともに、中山道屈指の難所です。*2

 

 横川へ

 街道は、その後緩やかに下り続けて、横川の集落に入ります。横川は、高崎方面とつながる、JR信越本線の終着駅。かつては、碓氷峠を抜けていき、軽井沢駅とつながっていたとのこと。今では、横川・軽井沢間は廃線となり、所々に線路などの名残が残っているようです。

 横川には、また、碓氷の関所跡の一部も保存されていて、街道の歴史が偲ばれるところです。

 横川駅は、峠の釜めしでも有名です。駅弁の代表格で、これを求める観光客も後を絶たない様子です。

 

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※左、横川駅。右、駅のすぐそばに通る中山道 

 

 この日は、軽井沢から歩きつないで、横川駅まで13Km。碓氷峠を越えてからの下り道に苦戦して、予定終了です。

*1:この山中から、坂本宿、安中宿にかけて、このマラソンのポスターや表示が各所に出てきます。もともと、安中藩による藩士の訓練であったようですが、今は、山登りマラソンが行われているようです。

*2:坂本宿を走る道路は、国道18号です。この国道は、信越本線廃線となり、今では、軽井沢駅と横川駅を結ぶバス路線。近くには、上信越自動車道路も整備されているものの、国道18号は重要な幹線道路です。2016年に起きたスキーバスの事故は、この道路のヘアピンカーブでのこと。碓氷峠中山道は、坂本宿辺りで、少しの間、国道に吸収されますが、それまでは、国道とは距離を置いた山中の道となります。