旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]58・・・新宿へ

 都心へ

 

 街道は、高井戸の宿場町を通り過ぎると、いよいよ都心に迫ります。”甲州街道”の愛称で親しまれている国道は、途中、首都高速の高架道路に覆われて、どこか薄暗い道筋ですが、副都心に近づくと、一気に空が開けます。

 辺りの様子は大きく変わり、都庁などの高層ビルが、大空を突き刺すようにそびえています。コンクリートで固められた人工都市は、わずか150年ほど昔の姿も、ほぼ完全に消し去って、街道の風情を残すことはありません。

 かつて、人流と物流を支えた道を辿りながら、ビルの谷間を進みます。

 

 

 一区切り

 街道は、やがて、下高井戸駅入口の交差点を迎えます。私たちの街道歩きは、この日はここで終了し、京王線高井戸駅から、宿泊地へと向かいます。

 この日の午前、雨が降る府中の宿場を発った後、調布市の布田五ヶ宿を経由して下高井戸の宿場まで、およそ15.5キロの道を歩きつなぐことになりました。

 

※下高井戸駅近くの街道。

 最終日

 翌日は、甲州道中歩き旅の最終日。下高井戸から、内藤新宿の宿場を通り、一気に街道の終着点、江戸日本橋を目指します。

 まずは、京王線を利用して、下高井戸へ。下高井戸の駅からは、少し北側にある、昨日の歩き旅を終えた場所、国道20号線の、下高井戸駅入口交差点に戻ります。

 首都高速が覆いかぶさる道中は、相変わらず、暗い感じの道筋です。窮屈な国道の歩道に沿って、東へと進みます。

 

※下高井戸駅入口の交差点。

 

 玉川上水

 国道の歩道の左手は、墓地や寺院が連なって、木々の緑も続きます。この辺りには、有名な、玉川上水の流路も近づき、明治から昭和の初め頃の面影が、味わえるようなところです。

 太宰治が身を投げたこの水路。その場所は、どのあたりだったのか。何となく、郷愁さえも漂うような景観を保っています。

 

※寺院などの緑が続く道沿の風景。

 明治大学

 都心近くの緑地を見ながら進んでいくと、明治大学和泉校舎が現れます。左には、幾つもの大きな校舎が建ち並び、往き交う人を圧倒する勢いです。

 首都圏で名を馳せるこの大学は、和泉校舎以外にも、多くのキャンパスを有しているとのことですが、ここだけでも相当な規模だと思います。巨大化した大学の姿を眺めながら、正門前へと向かいます。

 

明治大学和泉校舎。

 

 明治大学の正門は、小じんまりとした構えです。それでも、奥に広がるキャンパスは、都心の近くにありながら、広大な空間を誇っています。

 正門から国道を挟んだ南の先には、京王線京王井の頭線が乗り入れる、明大前駅があり、学生たちばかりではなく、多くの人が往き交います。明大前周辺は、都心近くの交通の、一つの要の様相です。

 

明治大学和泉校舎正門。

 

 渋谷区へ

 街道は、相変らず、右に首都高速4号新宿線の高架道路を眺めながら、東へと向かいます。しばらくすると、京王線代田橋(だいたばし)駅の表示です。明大前駅があった場所から、わずかの距離で次の駅に近づきます。

 道沿いは、並木が植えられてはいるものの、緑の景色は減少し、ビルの壁が続きます。

 

代田橋駅近くの街道。

 次第に、大きなビルが近づくと、街道は、大原の交差点。左右に延びる大きな道路は、環七通りと呼ばれています。都心を遠回りにつないでいるこの道は、大変な交通量。街道は、この先で、渋谷区に入ります。

 

※大原交差点。

 

 笹塚

 渋谷区に入った街道は、笹塚の街を東進します。左側に並ぶビルの低層階には、様々なお店が並び、何となく、賑わいも増してきた感じです。

 

※笹塚に入った街道。

 幡ヶ谷

 笹塚に続く街は幡ヶ谷です。街の様子は、これまでと、大きな変化はないものの、心持ち、ビルの高さは増してきた感じです。

 笹塚も幡ヶ谷も、いずれも京王線の駅があり、どこへ行くにも、大変便利なところです。

 

※幡ヶ谷を通る街道。

 

 新宿へ

 幡ヶ谷を過ぎた後、街道は、渋谷区の本町へ。京王線初台駅(はつだいえき)は、国道を挟んだすぐ先です。

 街道を少し進むと、左には、代々木警察署。道は、少し明るさが増し、空が開けてきた感じです。

 

※代々木警察署前の街道。

 

 この先、街道の左には、立派で大きな特徴ある建物が現れます。この建物、壁に掲げられた文字を見ると、「新国立劇場」との表示です。どのような施設なのか、私には分かりませんが、日本を代表するような、舞台や音楽などの公演が催されているのでしょう。

 

新国立劇場前を通る街道。

 

 首都高速

 新国立劇場のすぐ先は、地上の道と高架の道が、同時に交わる交差点。地上の道は、国道20号線と山手通りが交差して、高架の道は、首都高速4号線と首都高速中央環状線が交わります。

 立体的に交差する道路網の様子を見ると、まさに、大都市の雄大ささえ感じます。空中を往き交う道と、空高く伸びあがるビル群を見上げつつ、江戸時代の幹線道路の道筋を辿ります。

 

首都高速西新宿ジャンクション

 初台交差点

 首都高速のジャンクションの下にある、地上の道の交差点。そこは、初台の交差点と呼ばれています。街道は、ここで、山手通りを横切って、相変らず、”甲州街道”の愛称を持つ、国道20号線を進みます。

 交差点の左前の角にあるのは、NTT東日本の本社ビル。その先も、幾つもの高層ビルが並んでいます。

 街道は、この辺りから、渋谷区の区間を通り過ぎ、新宿区に入ります。

 

※初台の交差点。角にあるのがNTT東日本本社ビル。