旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[甲州道中]56・・・布田五カ宿から高井戸へ

 京王線

 

 調布市に入った街道は、すぐ右奥(南側)を走る京王線と、肩を並べて進みます。京王線には、幾つもの駅があり、街道を歩きつなぐ者にとっては、大変便利な区間です。あと一駅、もう一駅と歩みを進め、一気に距離を稼ぎます。

 調布の街を通り過ぎても、上北沢、下高井戸や明大前などの駅があり、その先は、笹塚、幡ヶ谷と続きます。都心に迫る街道は、京王線の軌道と共に新宿へ。甲州道中最後の宿場、内藤新宿を目指します。

 

 

 下石原宿

 上石原の隣の街は、下石原。布田五ケ宿の2番目の宿場があったところです。街道は、西調布駅入口交差点に差し掛かり、下石原の街中へと向かいます。

 

西調布駅入口交差点。

 道は、この先で右と左の2方向に別れます。街道は、右方向へと進む道。道沿いは、旧道の香り漂う空気感がある一方で、大方は、街中の住宅地の様相です。

 この辺りはもう、下石原の街ですが、上石原と同様に、宿場町の面影はありません。今は、都市の街に同化して、車や人が往き交います。

 

※右方向の旧道へと向かいます。

 

 旧道をしばらく進むと、右手には、6体のお地蔵さんと石仏が納められた、木造の建物がありました。街中の街道沿いのこの光景は、周囲とは不釣り合いでありながら、何となく安らぎさえ感じます。往時を偲ぶまでには至りませんが、街道の歴史の一端を、伝えているようにも思えます。

 

※源正寺前の六地蔵と石仏群。

 

 小島

 下石原の街並みは、次第にお店の数が増していき、賑やかさも加わります。街道はその先で、下石原一丁目の交差点を通り過ぎ、小島の街に入ります。

 

※下石原の宿場町の様子。

 

 相変らず、街中の住宅地が続く中、街道は、小島一丁目の交差点を迎えます。この辺り、お店と共に、駐車場の看板なども目立ちます。

 

※小島町一丁目交差点。

 

 小島の一里塚跡

 しばらくすると、道の左の一角に、都会では似つかわしくない、趣ある石碑の姿が見えました。よく見ると、「市旧跡 小島一里塚跡」と書かれています。

 傍に置かれた説明板の記載によると、甲州道中6里目の一里塚が置かれた場所だということです。

 街中の駐車場の一角の、フェンスの先に置かれた石碑。注意しないと見落としてしまうほど、ひっそりと、その姿を隠しています。 

 

※小島一里塚跡の石標が置かれた駐車場の敷地。

 

 調布駅

 街道は、その先で、調布駅北口交差点に入ります。この右が、京王線調布駅。人の往来が激しくて、大変賑やかなところです。

 かつての布田五ケ宿の3番目、上布田宿は、この駅前付近に置かれていた様子です。ただ、下の写真で見る限り、今はもう、宿場町の面影は見ることはできません。

 

調布駅北口交差点。

 

 上布田宿と下布田宿

 調布駅北側の、賑やかな街並みは、やがて、下布田宿へと続きます。隣り合わせの宿場の町は、それほど距離を置くことはなく、連担していた様子です。

 街道は、布田駅南交差点。この辺りからの道筋は、低層のアパートなどが目立っています。それでも、ところどころに、寺社の緑が見受けられ、歴史の名残りを感じます。

 

布田駅前交差点と地蔵堂

 国領宿

 下布田宿から先に進むと、落ち着いた街へと変わります。人影も少なくなって、道沿いには、石仏などが安置された祠なども見られます。

 辺りには、高層のマンションが立ち並び、その傍に佇む木造の建物は、肩身が狭い感じです。わずかに、存在感を残しつつ、変貌する街並みに抗い続けられるのか、瀬戸際に立たされているような様子です。

 この辺りはもう、国領の街になるのでしょう。布田五ケ宿の最後の宿場、国領宿に到着です。

 

※静かな雰囲気の国領の街。

 

 街道は、この先で、国領駅入口交差点を迎えます。ここにも、高層のマンションが天を突き、辺りは賑やかな街へと変わります。

 上石原から始まって、下石原、上布田、下布田と歩きつないで国領へ。布田五ケ宿は、調布の街の沿線を、東西を結ぶように並んでいます。

 

国領駅入口交差点。

 

 前の宿場の府中宿から7.5キロ、また、日本橋へは23.5キロの位置の布田五ケ宿は、宿場としては、中途半端な位置づけだったのかも知れません。五ケ村が宿場町を形成したにも関らず、本陣と脇本陣はなかったということです。宿場の数もわずかに9軒。問屋による、荷物の引継ぎが中心の、小さな宿場だった様子です。

 

 国道20号線

 国領の街を過ぎた後、街道は、国道20号線に入ります。府中の宿場の少し手前で旧道に踏み入れた街道は、久し振りに、国道の道筋へ。ここから先しばらくは、国道伝いに、調布の街を進みます。

 

※国道20号線と合流する直前の街道。

 街道は、国道の歩道伝いを、一路東へと向かいます。ちらほらと、木々の姿も見えますが、まだこの辺りでは、並木道という感じではありません。申し訳程度に植えられた、歩道に残る木々の姿は、どこかしら、うら寂しささえ感じます。

 

※菊野台1丁目辺りの国道20号線。

 

 つつじケ丘

 街道は、京王線柴崎駅のすぐ近く、菊野台を通り過ぎ、隣の駅、つつじヶ丘駅のすぐ東、つつじヶ丘3丁目へと向かいます。

 国道は、この辺りから、立派な並木道へと姿を変えて、都心の街へと近づきます。

 

調布市西つつじヶ丘3丁目の歩道橋。