旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[東海道]105・・・保土ヶ谷宿から神奈川宿へ

 横浜へ

 

 保土ヶ谷の次の宿場は、3番目の神奈川宿。いよいよ、横浜の中心地に近づきます。藤沢からここまでは、三浦半島の付け根に広がる丘陵地帯を通過するため、海からは遠ざかっていた東海道。横浜で、再び、海岸線に近づきます。

 その昔、街道は、神奈川宿の辺りでは、海を見下ろす、山際を通っていたということです。安藤広重の浮世絵にある神奈川は、海伝いの高台に、宿場が並ぶ光景が描かれていて、その証を伝えています。

 しかし、今は、埋め立て地が広がって、海は後退しています。今日の街道は、港に面した市街地からは、やや内陸側を通るのです。かすかに潮の香りを感じつつ、街道から鉄道へと、大きく時代を転換してきた、開国の港町を進みます。

 

 

 保土ヶ谷宿

 保土ヶ谷一丁目の交差点を左折して、街中の道に入ります。そこは、マンションなどが建ち並ぶ、静かな雰囲気の住宅地。人通りも少なくて、国道とは一変した空気が流れています。

 

保土ヶ谷駅方面の街道。

 

 街道は、その先で、JR東海道本線の踏切を越え、保土ヶ谷の商店街に入ります。真っ直ぐに、北東方向に延びるこの道は、かつての宿場町の中心地なのかも知れません。ところどころに、高札場跡や問屋場跡など、宿場施設の跡地を示す案内表示がありました。

 

※左、保土ヶ谷の商店街。右、問屋場跡の案内板。

 私たちの街道歩きは、この日はここで終了です。街道の右側の、細い道に入った先の保土ヶ谷駅から、宿泊先へと向かいます。藤沢の遊行寺から始まって、保土ヶ谷まで、この日進んだ道のりは、16Kmほどになりました。

 

 翌日

 翌日の朝、私たちは、保土ヶ谷駅に降り立って、街道歩きの再開です。

 前日に歩き旅を終えたところは、保土ヶ谷の商店街。その先は、お店が並ぶ狭い道がもう少しだけ続いた先で、道は一気に広がります。この地点は、北西や北東側から、保土ヶ谷駅にアクセスする、メイン道路が走る道。この先の街道は、整備された、広い道路の歩道上を歩きます。

 

※一気に広がった保土ヶ谷駅へのアクセス道路。駅は、道路の右手前になります。

 

 帷子橋(かたびらばし)

 街道は、整備された街中を、真っすぐに、北東方向に向かいます。しばらくすると、前方に、道路を跨ぐ、相鉄本線の高架の軌道が現れて、そのすぐ左手に、天王町駅のホームです。

 軌道に近づいたところには、地域の公園が整備され、その一角に、「横浜市地域史蹟 旧帷子橋跡」と記された、案内板がありました。

 案内板の記述によると、今では、相鉄本線を越えた先に帷子川(かたびらがわ)が流れていて、そこで帷子橋を渡るのですが、その昔には、この公園辺りに流れがあって、帷子橋も、公園内に位置していたというのです。鉄道や、街の開発の影響で、川の流れは付け替えられて、往時の街道の道筋は、大きくその姿を変容させているようです。

 

※左、正面には、道路を跨ぐ相鉄本線。右、旧帷子橋跡の案内板。

 今日の街道は、公園のところで自動車道路から離れます。その先は、少し複雑ではありますが、案内板の隣に置かれた地図を見て、正しいルートを辿ります。

 天王寺駅へと向かう通路が分かったら、あとは、そこを真っ直ぐに潜り抜けるだけ。軌道下のその先は、ちょっとした、商店街が続きます。

 

相鉄本線の軌道下の通路を潜り抜けます。

 小さな商店街を抜け出ると、今日の帷子橋。由緒ある橋とは思えない、殺風景な姿です。

 街道は、橋を越え、住宅やお店などが軒を連ねる、狭い道を進みます。

 保土ヶ谷の宿場町は、おおよそ、この辺りまで。私たちは見落としましたが、道の途中に、保土ヶ谷宿の江戸方見附跡があるようです。

 

※今日の帷子橋。

 洪福寺松原商店街

 宿場町の東のはずれを通り抜け、しばらく歩くと、八王子街道(国道16号線)との交差点を迎えます。この交差点を渡った先は、賑やかそうな商店街。入り口には、「洪福寺松原商店街」と表示された、立派なアーチがありました。

 

洪福寺松原商店街の入口。

 アーチを潜って進んで行くと、道の左右にお店が連なり、果物や野菜など、あふれんばかりの商品が並びます。多くの買い物客が往来し、活気に満ちた空間です。

 この商店街は、横浜のアメ横とも言われているほど賑やかで、お買い得な品々が揃えられているようです。お店を眺めて歩いていると、目の保養にもなるような、心地よい道筋です。あっという間に、出口を迎え、一転して、静かな住宅地の道に入ります。

 

洪福寺松原商店街の様子。

 

 横浜駅方面へ

 商店街を抜け出ると、すぐに、「追分」と記された標柱が置かれています。ここは、東海道と八王子道との分岐の地点。左に進むと、先に横切った、八王子街道につながります。

 

※八王子道との追分。

 

 この先の街道は、幹線道路の裏道のような道筋です。住宅が軒を連ねて、静かな空気が流れています。

 道路には、”旧東海道”と記された表示版が埋められていて、安心して、街道を辿れます。

 

旧東海道の表示板。

 

 静かな街中の街道を、北東へと進みます。途中、首都高速の高架下を潜り抜けると、その右手には、旧の国道1号線の道路が走り、さらにその右奥が、JR横浜駅の駅舎です。横浜の街の中心は、JRの鉄道の東側に広がっているため、街道が通過する西側の表情は、少し落ち着いた雰囲気です。

 

横浜駅方面に向かう街道。

 神奈川宿

 街道は、落ち着いた道筋を進みながら、横浜の神奈川宿へと近づきます。