三河の国の最後の宿場
いよいよ、三河の国の最終章。豊橋市にある2つの宿場、吉田宿と二川宿を訪ねます。
近江の国の草津宿から出発して、伊勢、尾張へとつなぎ歩いて、三河の国へ。そして、愛知県の最東端の豊橋です。静岡の遠江の国を目前にして、三河最後の街道歩きを楽しみます。
吉田宿
広い国道の交差点を横切って、吉田宿に入ります。吉田宿は、市街地が整備され、再開発されたような街中です。街道沿いは、ほとんどが新しくできた街。かつてここが、宿場町であったことなど、なかなか感じることができません。
豊橋は、空襲や地震のために、往時の町の姿は、ほとんど見られないということです。
※吉田宿の入口付近。
吉田宿の沿道には、コンクリートの建物が並びます。街道は、ところどころで街角を直角に曲がることになりますが、道路標識が整っていて、迷うことはありません。「東海道」と記された案内を確認しながら、東へと向かいます。
ビルの間には、時々、老舗らしい店の名前の建物も見られます。しばらく進むと、本陣跡を示す石標などもありました。
※吉田宿の様子。
東へ
街道が通過する街の様子は、次第に住宅地へと変わります。道幅もやや狭くなり、歩道などもありません。道案内に従って、忠実に街道を辿ります。
豊橋の官庁街や、吉田城跡に整備された公園などは、街道のすぐ北側を通過する、国道1号線沿いに広がっていて、交差点から、わずかながら、その様子なども見られます。
東惣門
街道は、やがて、その国道へ。その先は、しばらく国道の歩道を歩きます。
街道が国道と交わる所には、歴史ある小さな門がありました。この門は東惣門というもので、そこが、吉田城下の入口だったということです。
※左、吉田宿の後半。右、東惣門跡。
東惣門のすぐ傍に立てられた説明板には、この門は、「鍛冶町の東側に位置する下モ町(ママ)の吉田城惣堀西で、東海道にまたがって南向きに建てられていた」と記されています。惣門は、朝6時から夜10時まで開けられており、これ以外の時間は、一般の通行は禁止されていたようです。
門がある大きな交差点は、歩道橋で渡ります。橋の上から眺めると、東海道の先の景色をわずかながら、眺めることが可能です。
※歩道橋から国道1号を確認します。遠方の低い山並みの下が次の宿場の二川宿。
国道から旧道へ
この後しばらくは、国道1号線に沿って歩きます。途中には、街道らしい景色のところはありません。わずかに、趣のある寺院などが目に止まる程度です。
やがて、飯村というとこから、街道は左手の旧道に入ります。この旧道の入口付近に、飯村の一里塚跡がありました。
※国道の風景。
クロマツの並木
旧道を進んで行くと、街道は、もう一度斜め左の道に入ります。上り坂が勾配を増し、丘陵のような地形のところを進みます。この辺りは、大岩というところ。後で少し触れますが、ここは、当初、宿場の機能を持ち合わせていたようです。
美しく整備された歩道を進むと、「旧東海道のクロマツ跡」と刻まれた石標が。そして、その先の歩道脇には、近年植えられた様子の、幾本かの小さな松の木がありました。今ではもう、姿を消したクロ松並木。地域による、復活の試みが行われている様子です。
※クロマツが植えられた街道。
二川宿へ
街道は、やがて下り坂。右側には、森林公園のような、森が広がります。道は、突き当りのT字路を右折です。そこからは、さらに下り勾配がきつくなり、一気に坂を下ります。
坂道を下りきったところは、火打坂の交差点。その先が二川の宿場です。
※坂道を二川へと下ります。
日打坂の交差点を直進すると、街道は、緩やかに左方向に向かいます。その先の右側に、JR東海道本線の二川駅がありました。
※火打坂の交差点。
二川駅辺り
二川の宿場町は、二川駅を越えてから、その醍醐味が味わえます。駅前自体は、ごく普通の郊外の駅の風景ですが、何となく、モニュメントや宿場案内の説明板を見ていると、これから先の宿場町の姿を予感させるような気配です。
※二川駅前に設置されたモニュメントと案内板。
駅前広場に掲げられた二川宿の案内は、宿場の成り立ちについて、次のように記しています。
「東海道の開設当時は、二川村と大岩村の二か村で一宿分の業務を行っていましたが、正保元年(1644)に両村は現在地に移転して、二川宿と加宿(かしゅく)*1大岩となり、東海道53次中33番目の宿駅として業務を行うことになりました。」
二川宿
二川駅を通り過ぎ、少し東に向かったところで、街道は、一気に道幅が狭まります。そして、街の様子は、次第に宿場町の雰囲気に変わります。
三河の国の最後の宿場、二川宿は、今残る東海道の宿場の中で、第2第3を争うような、かつての姿が良く残る宿場町。伊勢の国の関宿は別格ではありますが、近江の国の土山宿と、この二川宿の2つの宿場は、関宿の次に位置するぐらい、趣があるところです。
※二川宿の入口辺り。