旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ[東海道]31・・・岡崎宿から藤川宿へ

 三河の街道

 

 三河の国の2つの都市、岡崎市豊橋市の間には、三河の山地が横たわります。境川を越えてから、三河の国の街道は、比較的平坦な道でした。見晴らしも良く、平地が広がる地形の中を、街道は一筋の流れをつくります。

 岡崎の宿場を後にして、まだしばらくは、これまでと同様の道ですが、次第に低い山が近づくと、街道は、松並木が残る藤川の宿場へと入ります。

 

 

 岡崎を終えて

 岡崎の宿場を終えて、街道を東へと進みます。次の宿場は藤川宿。およそ6Kmの先にある、東海道37番目の宿場を目指します。

 岡崎の二十七曲りが終わる冠木門(かぶきもん)。その先は、緩やかな下り坂が続きます。途中、国道1号線と合流しつつも、すぐに旧道に戻るという道筋です。少し複雑なところは、国道と東名高速道路を結ぶアクセス道路の導入口。ここには、親切な案内板が掲示され、地下道を巧みにすり抜ける道筋が描かれていて、心強い味方になりました。

 

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※左、国道脇の東海道。右、東名高速へのアクセス地点。青い案内板が味方です。

 複雑な高架下をすり抜ける街道は、短い区間に、起伏と屈曲を繰り返しつつ、一筋のつながりを保ちながら東へと向かいます。

 

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※高架下を潜り抜ける街道。

 乙川へ

 街道は、高架下を抜けた後、少しだけ、国道を歩いて左に延びる旧道に入ります。住宅が続く集落は、大平という町です。落ち着いた集落の道を歩いていると、右側に大平の一里塚が見えました。この一里塚、塚自体それほど大きくはないものの、しっかりと保護されていて、わずかに往時の姿を留めています。

 

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※左、大平の町。右、大平の一里塚。

 

 家並みの中をさらに進むと、右方向に緩やかに下る坂道に。左には、六角堂のようなお堂が見える寺院があって、その先は、国道1号線が走ります。

 街道は、国道を横断し、向かいに続く旧道につながります。旧道の入口には、この先の乙川(おとがわ)を越える道筋や、岡崎と藤川の宿場を紹介した、分かりやすい案内板がありました。 

 

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※左、国道との交差点。右、国道を渡ったところにある案内板。

 案内板に描かれた道筋を辿りながら、乙川へと向かいます。乙川越えをする位置は、今日の街道歩きでよくあるように、昔と少しそのルートが異なります。旧街道では、集落内を真っ直ぐ進み、川に突き当たったところで川渡り。

 ところが、今はそこには橋はなく、川伝いに、一旦国道に戻ります。このルートは、迂回道。今では国道の橋を渡らなければ、川を越すことができません。

 

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※乙川を渡る橋。

 

 美合
 乙川を越えると、岡崎市の美合(みあい)の町に入ります。この辺り、川沿いには農地が広がり、国道の沿線は、飲食店が点在します。遠景は、左手から前方奥に、それほど高くはない山並みが、平地を抱き込むように連なります。この先で、豊橋の吉田宿に達するまでに、少しの間、三河の山地を通り抜けなければなりません。

 

 街道は、国道の橋を終えたところを右折して、旧道につながります。そして、次第に集落の方向へ。

 しばらく進むと、周囲の様子は、新しい街の雰囲気に変わります。街道の左手には並行して、国道1号線が走るとともに、右側奥には名鉄名古屋本線の軌道が敷かれています。名鉄の美合駅は、この新しい街中にあるようです。

 やがて松並木が現れて、少しの区間、片側だけではありますが、松が連なる歩道を歩きます。

 

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※美合の町の様子。

 

 国道歩き

 街道は、住宅の外れになると、少しずつ左手の国道1号線に近づきます。やがて、国道に吸い込まれるように合流し、しばらくは、国道の歩道を進みます。

 わずかに上り坂となった国道は、倉庫や小さな工場などが並んでいる、殺風景な景色です。やがて、前方に山並みが近づいて、辺りの景色は一変します。 

 

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※美合から藤川に向かう国道1号線。

 

 藤川宿へ

 1Kmほど、国道を歩いたところで、街道は右前方の旧道に入ります。ここは藤川西の交差点。旧道との分岐点には、「藤川宿」と記された、大きな表示板がありました。   

 街道は、ここから右手に進むのですが、その先には、青々と茂る立派な松の並木が連なります。

 

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※藤川西の交差点。右方向が街道です。

 

 藤川の松並木

 藤川の松並木は圧巻です。ここまでの東海道の沿線で、池鯉鮒宿を出た先の、知立の松並木も素晴らしいものでした。その並木道に引けをとらない見事さを、藤川の並木も誇っています。

 この先の、藤川の宿場も含めて、1Kmほども続く並木道。およそ90本の見事な松が並びます。

 

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 ※藤川の松並木。

 

 松並木が続く街道は、小高い丘の斜面に沿って築かれたような道筋です。右側は石垣状の擁壁が斜面を保護し、その上には、大きな工場が見られます。左には、一段下がった場所に、住宅などが並んでいます。

 この道は歩道が無いため、それこそ、昔ながらの並木の様子を楽しみながら歩けます。ただ、舗装もしっかりされていて、時折、車が速度を速めてすり抜けるので、気を抜くことはできません。

 

 立派に続く松並木。その先が、藤川の宿場です。