南予巡り
愛媛県の最も西側の地域は、南予と呼ばれているようです。伊予の国の南西の隅にあり、多くは山に囲まれていて、平地はほんのわずかしかありません。入り組んだ海岸沿いや、山間に点在する小さな盆地に、主として、街や集落が開けています。
この地域の代表的な都市は、宇和島市。ここにも立派な城がありますが、宇和島の市街地には向かわずに、札所巡りに徹します。
43番明石寺へ
大洲市からは、再び松山自動車道を利用して、西予宇和ICに向かいます。この区間、およそ15分。インターチェンジを降りてからは、肱川(ひじかわ)沿いに細長く開けた西予市の街を横切って、市街地の東の方角へ。
農地が広がる谷合の道を進んで行くと、明石寺(めいせきじ)がある小高い山の入口に差し掛かります。ここからは坂道となりますが、道幅は比較的広くなっていて、急な坂も苦になりません。この坂道を少し上ると、その先の左手に駐車場がありました。
ここまで、インターチェンジからは10分ほどしかかかりません。明石寺は、駐車場の奥の方。木々が茂る小高い山に抱かれるようにして、境内は佇みます。
駐車場から境内に向かう途中には、軽食が食べられる小さな食堂が併設された土産物店がありました。このお店、お遍路道具が豊富にそろい、参拝者が気軽に立ち寄れるところです。
※左、駐車場と土産物店。右、土産物店の脇を通り過ぎて境内へ。
明石寺の境内は、土産物店の右脇を通り抜け、斜面に延びる急な石段を上ったその先です。納経所や庫裏などがある建物を右に見て、正面が仁王門。そして、その奥の、もう一段高いところに本堂です。
明石寺は、仁王門や本堂の屋根瓦が少し赤みを帯びていて、日本建築でありながら、微妙に大陸の建物のにおいを感じます。大屋根の棟のところも、龍のような模様があって、異国感漂うデザインです。
※左、仁王門。右、仁王門から本堂を見上げます。
大師堂は、本堂の右隣り。随分と小さな建物です。正面の開放されたお堂の入口からは、弘法大師の姿がはっきりと見えました。
これまでも、鎮座する大師像を確認できるところはあったのですが、これほど明るい光を帯びた像を見るのは初めてのような気がします。*1失礼とは思いつつ、せっかくの機会です。記念に写真を撮らせていただいた次第です。
※大師堂と、堂内の弘法大師のお姿。
明石寺を後にして、西予の街に戻ります。西予市は、平成の合併で5つの町が合わさって、新たに市政が施行されたということです。肱川沿いに開けた旧宇和町が市の中心地のようで、盆地に街並みが広がります。
西予宇和のインターチェンジのすぐ傍には、道の駅「どんぶり館」がありました。この道の駅は、そこそこの規模。食堂や地産地消の野菜販売所なども広々としていて、人気のスポットです。
42番仏木寺へ
西予市の明石寺から、次は宇和島市の仏木寺(ぶつもくじ)に向かいます。本来は、道の駅の前を走る県道を南下して、山越の道を進むのでしょうが、今となっては、松山自動車道が便利です。僅かに1区間だけとはいえ、山の中の屈曲した道を避けて、安易な道を選びます。
自動車道の降り口は、三間IC。仏木寺の位置からは、少し通り過ぎる形になりますが、山道を進むより、15分ほど早く到着します。
仏木寺へは、松山自動車道を降りてから、県道31を少し北に戻ります。交通量が少ないこの県道を進んで行くと、道路沿いに小さな駐車場がありました。車を停めて、県道をわずかに北に向かって歩いて行くと、その先の右手に仁王門が現れます。この辺り、松山自動車道がすぐ前に見え、辺りは農地の景色が広がります。
※仁王門。
仏木寺の仁王門は、県道からすぐのところです。きれいに整備された門の周辺は、スッキリとした印象です。仁王門の正面奥には弘法大師の像があり、出入りする参拝者を迎えて頂いているようにも感じます。
弘法大師の像の前を通り過ぎ、石段を上って左に進むと、小高いところに境内がありました。
本堂は、境内の正面奥。その左側が大師堂という配置です。いずれのお堂も、控えめな大きさで、山の斜面を右に見てその陰にひっそりと佇みます。
※左、境内の様子。正面が本堂で、その左側が大師堂。右、大師堂。
この仏木寺、弘法大師にまつわる伝説があるようですが、説明は省きます。それよりも、境内には少し変わった六角のお堂がありました。このお堂、聖徳太子堂と名付けられているようです。
聖徳太子は仏教を広められた方ではありますが、どうしてこの寺院の境内に、その方を祀るお堂があるのかは分かりません。ただ、少し目を引くお堂の姿は、印象に残る建物でした。
※聖徳太子堂。
次の札所は、仏木寺にほど近い龍光寺。伊予路も残すところあと2か寺となりました。