旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)26・・・伊予路(44番と大洲)

 愛媛県西部へ

 

 愛媛県にある四国八十八か所霊場は26。私たちは、これまで21か寺の参拝を終え、残すところ、あと5か寺となりました。

 次の札所の44番大宝寺は、45番岩屋寺へ向かう途中にあった久万高原町にある古刹です。一旦、もと来た道を引き返し、その後は、愛媛県の中でも最西部、宇和島市西予市など、豊後水道を望む地域に向かいます。

 

 

 44番大宝寺

 岩屋寺から大宝寺(たいほうじ)へは、もと来た道を引き返します。位置関係では、44番→45番→43番と進むのが、道を引き返す距離が少なく、効率的にも思えます。ところが、今年は逆打ちを徹底し、逆順通りに巡ることに徹します。

 数年前に順周りした時は、43番→45番→44番と、効率的な道を選びましたが、43番→45番の山越えの道は、細くて、しかもカーブが続く大変な悪路です。この時に往生した経験を思い出し、できればその道は避けたい思いもありました。

 そんな訳で、今回は忠実に順序通り巡拝し、43番札所へは、遠回りの道を選びます。

 

 快適な県道を走って久万高原町に引き返すと、町の中心部に向かう下りの坂道の左手に、大宝寺への案内標識が見えました。ただ、私たちが訪れた時は、あいにく道路工事が行われていて、この道は通行止め。やむなく少し迂回して、町の中から大宝寺に向かいます。

 大宝寺は、町の中心部から至近距離のところです。家並みをすり抜けて進むと、すぐに未舗装の駐車場がありました。

 

 大宝寺

 大宝寺へは、駐車場から少し歩かなければなりません。山の中に入り込んで行くような道ですが、道路脇のせせらぎは心地よく、散策気分で歩けます。

 途中には、1軒だけ、小さなお店がありました。土産物などの商品が慎ましく並べられ、印象的な店構え。いつまでも残してほしい光景です。

 

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※境内へと向かう道筋。

 しばらく歩くと、道は2方向の林道のような細道に別れます。大宝寺への道は、左側。ぐり石が敷かれたような歩きづらいつづら折れの坂道です。

 この坂道を少し上ると、右手の斜面に堂々とした仁王門が現れました。

 

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大宝寺の仁王門。

 

 門の先をさらに上ると、今度は杉林の中に、今は利用されていない大きな木造の建物がありました。この建物は、元は宿坊だったのかも知れません。

 時代の流れから取り残され、朽ちていくしかないような、どこか寂しい光景でもありました。

 その先は、本堂へと続く石段です。

 

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※本堂に続く石段。

 

 石段を上り詰めると、正面が本堂です。大師堂は、本堂のすぐ右側にありました。大宝寺の大師堂は、右下の写真にもあるように、少し変わった様式です。お堂の正面に階段はなく、左隅の階段から正面に回って参拝し、右隅の階段を下りていくというスタイルです。

 

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※左、本堂。右、大師堂。

 大洲城

 大宝寺を出た後は、久万高原町を後にして、もう一度、松山市方面に戻ります。途中の道路は、今度は下りのカーブ道。ただでさえスピードが出てしまうので、慎重に運転です。

 坂道を下り切ったところから、今度は松山自動車道に入って西進です。道路は、すぐに松山平野を通り抜け、山の中に入ります。雨の少ない松山とは打って変わって、雨林帯にでも入ったような、密林が茂る山々が広がります。

 

 私たちは、次の札所に向かう途中で、少しばかり寄り道です。目的地は大洲城。時々、テレビなどで目にすることはありますが、これまで訪れたことはなく、是非とも立ち寄りたいと思っていたところです。

 今回は、思い切って大洲インターチェンジで途中下車。次の札所の43番明石寺に向かう前に、大洲の街の見学です。

 

 大洲城

 高速道路を下りてから大洲城までは、僅か10分ほどの道のりです。町の真ん中を流れる肱川の橋を渡って右に折れ、しばらく進むと、大洲城天守閣が近づきます。

 大洲城天守閣は、4層4重の建物で、珍しい構造です。小高い丘の上にそびえるその姿は、大洲市の象徴でもあり、いかにも誇らしげに映ります。

 

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大洲城天守閣。

 

 この天守閣、実はまだ新しい建物です。資料によると、2004年に復元工事が完了したということで、意外にも思えます。

 大洲市は、「男はつらいよ」シリーズの第19作で登場する町ですが、そういえば、寅さんが石垣に沿った道を歩く姿はあっても、天守閣は映っていなかったように思います。

 

 大洲の街

 大洲城天守閣から東に向かって歩いて行くと、昭和の時代に戻ったような町並みに出会えます。商店街は、歩道上だけがアーケードになっていて、少しレトロな雰囲気です。ただ、開いているお店は少なくて、随分と寂しく写ります。

 商店街を越えてさらに東に進んで行くと、町の風景は、もう一時代遡ったような姿に変わります。さすがに、新しく新築された家などもありますが、昔のままに取り残されたような建物がたくさんありました。

 

 町の中には、かつては銀行だった赤レンガの建物(おおず赤煉瓦館)や、昭和メトロを売り物にした、雑貨店などが軒を連ねる「ポコペン横丁」などもあり、どこか懐かしさを感じさせるところです。

 そういえば、この横丁の近くには、”「おはなはん」通り”、と呼ばれる通りもあるようです。今の時代、このTV番組を知る人はそんなに多くはないでしょう。私がまだ子供の頃、NHKの朝ドラで放映されたドラマです。

 その当時、母親が毎朝このドラマを観るのを楽しみにしていたことを思い出し、何故か郷愁に駆られたものでした。

 

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※左、おおず赤煉瓦館。右、ポコペン横丁。

 

 大洲での寄り道を終え、次に向かうは、43番札所の明石寺(めいせきじ)。大洲からは松山自動車道を利用して、30分ほどのところです。