旅素描~たびのスケッチ

気まま旅を続けています。見たこと、感じたことを素直にお伝えすることを心掛けています。ぜひ参考にして下さい。

巡り旅のスケッチ(四国巡拝)2・・・讃岐路(88番→87番)

 讃岐路へ

 

 弘法大師ゆかりの寺院を巡るとされる四国遍路。閏年の今年は、88番札所から逆方向に周ります*1。四国巡拝の最終番の札所は大窪寺。讃岐の山中に重厚な姿を潜ませます。

 讃岐の国は弘法大師の出生地。空海という名で平安時代の初期を駆け抜けて、密教を極めた偉人です。1200年もの長きにわたり、多くの人に崇められ信仰の対象となった高僧を偲び、讃岐路に入ります。

 

 

 88番大窪寺

 讃岐山脈は、南に横切る吉野川と北に広がる讃岐平野に挟まれた、香川県徳島県の県境に東西に連なる山脈です。この山脈の東のはずれ、高松自動車道の引田インターチェンジを下りて一路西へ向かいます。

 道は、ほどなく山間の蛇行した山道に。ところどころに点在する集落を越え、20㎞ほど進んで行くと、右手方向に大窪寺への侵入道路が現れます。急坂のこの道を少し進むと、四国八十八か所の最後の札所、大窪寺に到着です。

 大窪寺は、讃岐山脈の北東部に位置します。この霊場は、山裾の斜面に境内が広がって、その下の僅かに開けた空間に、門前町が佇みます。

 

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※左、大窪寺門前町。右、境内への階段(東側の入口)。階段の上り口右にある石碑は、「八十八番結願所」の案内。

 

 四国八十八か所霊場門前町を抱えるところは、実はそれほど多くありません。大窪寺は、特に最後の札所ということで、訪れる参拝者も他の寺院より多いのでしょう。今でも、数件の大きな土産物店や飲食店が軒を連ねているのです。

 

 大窪寺

 大窪寺は、東から階段を上って境内に向かう方法と、西から仁王門をくぐって境内に入る方法の2通りのアクセス路が存在します。本堂は、東の階段を上り山門をくぐった正面です。西の仁王門から入ると、大師堂などを通り過ぎ、東奥の境内へと進みます。

 この寺の本堂は、規模としては一般的。多宝塔が本堂奥に位置しているのが特徴です。多宝塔の姿は、正面からは分かりにくいのですが、本堂の屋根の奥に見える法輪でその存在が分かります。

 

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大窪寺本堂。屋根の奥に法輪が覗きます。

  本堂の少し手前から西に進むと、大師堂がある境内です。大師堂は、Wikipediaの解説では、「日本における仏堂の呼称の1つで、大師号を贈られた僧を礼拝の対象として祀る」とされ、四国八十八か所霊場では、例外なくその境内に大師堂が配置されています。

 本堂の本尊は、薬師如来阿弥陀如来千手観音菩薩など霊場によって様々ですが、四国霊場の大師堂は、例外なく弘法大師が祀られているのです。

 四国巡拝では、本堂にお参りし、次に大師堂にも参拝してから納経帳に御朱印を頂くというのが正しい順序。ただ、この札所の納経所は本堂のすぐ隣。私たちは、本堂参拝後、先に納経を済ませて大師堂へと向かいました。

 

 大師堂近くには、かなり大きな弘法大師像が置かれています。四国霊場では、これもほぼ例外なく*2境内に大師の像が配置されていて、弘法大師信仰の厚さを感じます。

 

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 ※左、大師堂。右、弘法大師像。

 

 仁王門

  大窪寺の西側からの入口には、仁王門が構えています。大師堂からさらに西方向に少し進んだ位置にあり、この寺随一の荘厳な造りです。四国霊場の各寺院には、これも基本的に仁王門が配置され、参拝者を境内へと誘います。

 ”醫王山”と、正面大屋根の下に掲げられた扁額が勇壮で、88霊場の中でも、この仁王門は規模としては最大級と言ってよいでしょう。

 

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 原爆の火

 大窪寺には、その境内に”原爆の火”という記念碑が置かれています。この記念碑の由来は、石版に記されている通りですが、核兵器の廃絶を願う思いは、弘法大師の信仰とも相通ずるところがあるのでしょう。

 四国の霊場には、戦没者慰霊碑などが配されているところもあって、寺院の参拝と併せて、平和への思いを馳せる人も多いのではないでしょうか。

 

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原爆の火の記念碑。

 

 87番長尾寺

 大窪寺を出て、山間の道路を西に向けて少し走ると、道路は南北に延びる主要道路に突き当たります。この道を北に折れ、讃岐平野方面へ。

 途中、鴨部川のダムのところには、”道の駅ながお”がありました。この道の駅は小規模ながら、地元の野菜などが販売されていて、良い雰囲気のところです。また、道の駅のすぐ側には、”前山おへんろ交流サロン”という資料館のような施設もありました。先を急ぐ私たちは、このサロンには立ち寄ることなく通り過ぎたものの、四国遍路に関する展示が充実し、人気の施設の様子です。

 

 主要道路をさらに北に向けて進んで行くと、次第に平地が広がります。この辺りは、もう讃岐平野。さぬき市の長尾という町に入ります。87番目の札所、長尾寺は、高松市から延びている琴電長尾線の終着駅、長尾駅のすぐ側です。

 

 長尾寺

 長尾寺(ながおじ)は、ちょっとした運動場のような境内で、その隅に、本堂や大師堂が並びます。駐車場から直接境内に入ることもできますが、少し回り込んだところにある仁王門から入るのが作法です。

 仁王門に面する道路際には、経幢(きょうどう、あるいは、きょうとう)と呼ばれる古い石柱が左右に2基あって、屋根で覆われています。長尾寺の経幢は由緒があるものらしく、重要文化財に指定されているということです。

 

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長尾寺の仁王門(正面)と経幢(左右の屋根の下にある)。右はその経幢。

 

 仁王門を入ると正面が本堂です。そして、その右に大師堂。境内はシンプルな印象です。

 

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※左、境内の様子。右、手前が大師堂で奥が本堂。

 

 四国遍路と各地の見どころ

 四国遍路では、四国4県のおおよその外周を巡ります。所々で寄り道が許されるのなら、遍路をしながら四国一周の旅を楽しむことも可能です。

 本来は、巡礼の旅は神聖なもの。観光気分の参拝は慎むべきかも知れません。ただ、せっかくの四国の訪問です。巡拝は巡拝として、観光地に立ち寄ることも考えてみてはと思います。

 

 香川県では、敢えて観光地を目指さずとも、源平合戦で有名な屋島(84番屋島寺)とか、弘法大師の生誕地とされる75番善通寺などは必ず訪れるところです。また、”寛永通宝”の砂の造形で有名な琴弾浜は、69番観音寺のすぐ近く。スキー場のある雲辺寺山頂公園には、その名の通り66番雲辺寺の境内が広がります。

 さらに、坂出では瀬戸大橋の勇壮な姿を見ることができますし、順路のほど近くには、”こんぴらさん”として有名な金毘羅宮なども鎮座しています。

 

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※左、瀬戸大橋。右、琴弾浜。

 

 87番長尾寺を出ると、次は86番志度寺です。讃岐平野を縦断し、一気に瀬戸内海を望む遍路道へと向かいます。

 

*1:逆回りの理由については、前回の記事で紹介したとおり。閏年の習慣みたいです。

*2:100%かと言われると自信がありません。現在、何らかの理由で大師像が配置されていない所があるかも知れません。